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2022年4月3日

円に内接・外接する正二十角形、正三十角形、正六十角形の周の長さと円周率の関係

 円に内接・外接する正多角形の周の長さを求める公式を作ってみたのでこれを使って正二十角形、正三十角形、正六十角形の周の長さを求めて、円周率との関係を求めてみます。

周の長さを求める公式

円に内接する正多角形の周の長さ

 半径$r$の円に内接する正$n$角形の周の長さ$L_{ni}$を求める式は以下のようになります。
\[L_{ni}=2nr\sin\frac{180°}{n}\quad(n=3,4,5,\ldots)\]
本記事では半径は$r=1$とするので
\begin{equation}L_{ni}=2n\sin\frac{180°}{n}\quad(n=3,4,5,\ldots)\end{equation}
となります。

円に外接する正多角形の周の長さ

 半径$r$の円に外接する正$n$角形の週の長さ$L_{no}$を求める式は以下のようになります。
\[L_{no}=2nr\tan\frac{180°}{n}\quad(n=3,4,5,\ldots)\]
本記事では半径は$r=1$とするので
\begin{equation}L_{no}=2n\tan\frac{180°}{n}\quad(n=3,4,5,\ldots)\end{equation}
となります。

正二十角形

円に内接する場合

 半径$1$の円に内接する正二十角形の周の長さを求めるには(1)の式に$n=20$を代入して
\begin{align*}L_{20i}&=2×20\sin\frac{180°}{20}\\ &=40\sin9°\end{align*}
ここで、
\[\sin9°=\frac{\sqrt{10}+\sqrt{2}-2\sqrt{5-\sqrt{5}}}{8}\]
なので、
\begin{align*}L_{20i}&=40\cdot\frac{\sqrt{10}+\sqrt{2}-2\sqrt{5-\sqrt{5}}}{8}\\ \\ &=5(\sqrt{10}+\sqrt{2}-2\sqrt{5-\sqrt{5}})\end{align*}
となります。
円周の長さは$2\pi$で、円に内接する正二十角形の周の長さより長いので
\begin{align*}2\pi&>5(\sqrt{10}+\sqrt{2}-2\sqrt{5-\sqrt{5}})\\ \\ \pi&>\frac{5(\sqrt{10}+\sqrt{2}-2\sqrt{5-\sqrt{5}})}{2}≒3.129&...(a)\end{align*}

円に外接する場合

 半径$1$の円に外接する正二十角形の周の長さを求めるには(2)の式に$n=20$を代入して
\begin{align*}L_{20o}&=2×20\tan\frac{180°}{20}\\ &=40\tan9°\end{align*}
ここで
\[\tan9°=\sqrt{5}+1-\sqrt{5+2\sqrt{5}}\]
なので、
\[L_{20o}=40(\sqrt{5}+1-\sqrt{5+2\sqrt{5}})\]
となります。
円周の長さは$2\pi$で、円に外接する正二十角形の周の長さより短いので
\begin{align*}2\pi&<40(\sqrt{5}+1-\sqrt{5+2\sqrt{5}})\\ \\ \pi&<20(\sqrt{5}+1-\sqrt{5+2\sqrt{5}})≒3.168&...(b)\end{align*}

 (a)、(b)より円に内接・外接する正二十角形の周の長さから円周率の値を調べてみると$3.129<\pi<3.168$の範囲にあることがわかります。

正三十角形

円に内接する場合

 半径$1$の円に内接する正三十角形の周の長さを求めるには(1)に$n=30$を代入して
\begin{align*}L_{30i}&=2×30\sin\frac{180°}{30}\\ &=60\sin6°\end{align*}
ここで
\[\sin6°=\frac{\sqrt{30-6\sqrt{5}}-\sqrt{5}-1}{8}\]
なので、
\begin{align*}L_{30i}&=60\cdot\frac{\sqrt{30-6\sqrt{5}}-\sqrt{5}-1}{8}\\ \\ &=\frac{15(\sqrt{30-6\sqrt{5}}-\sqrt{5}-1)}{2}\end{align*}
となります。
円周の長さは$2\pi$で、円に内接する正三十角形の周の長さより長いので
\begin{align*}2\pi&>\frac{15(\sqrt{30-6\sqrt{5}}-\sqrt{5}-1)}{2}\\ \\ \pi&>\frac{15(\sqrt{30-6\sqrt{5}}-\sqrt{5}-1)}{4}≒3.136&...(c)\end{align*}

円に外接する場合

 半径$1$の円に外接する正三十角形の周の長さを求めるには(2)に$n=30$を代入して
\begin{align*}L_{30o}&=2×30\tan\frac{180°}{30}\\ &=60\tan6°\end{align*}
ここで
\[\tan6°=\frac{\sqrt{10-2\sqrt{5}}-\sqrt{15}+\sqrt{3}}{2}\]
なので、
\begin{align*}L_{30o}&=60\cdot\frac{\sqrt{10-2\sqrt{5}}-\sqrt{15}+\sqrt{3}}{2}\\ \\ &=30(\sqrt{10-2\sqrt{5}}-\sqrt{15}+\sqrt{3})\end{align*}
円周の長さは$2\pi$で、円に外接する正三十角形の周の長さより短いので
\begin{align*}2\pi&<30(\sqrt{10-2\sqrt{5}}-\sqrt{15}+\sqrt{3})\\ \\ \pi&<15(\sqrt{10-2\sqrt{5}}-\sqrt{15}+\sqrt{3})≒3.153&...(d)\end{align*}

 (c)、(d)より円に内接・外接する正三十角形の周の長さから円周率の値を調べてみると$3.136<\pi<3.153$の範囲にあることがわかります。

正六十角形

円に内接する場合

 半径$1$の円に内接する正六十角形の周の長さを求めるには(1)に$n=60$を代入して
\begin{align*}L_{60i}&=2×60\sin\frac{180°}{60}\\ &=120\sin3°\end{align*}
ここで
\[\sin3°=\frac{\sqrt{30}+\sqrt{10}-\sqrt{6}-\sqrt{2}-2\sqrt{20-10\sqrt{3}+4\sqrt{5}-2\sqrt{15}}}{16}\]
なので
\begin{align*}L_{60i}&=120\cdot\frac{\sqrt{30}+\sqrt{10}-\sqrt{6}-\sqrt{2}-2\sqrt{20-10\sqrt{3}+4\sqrt{5}-2\sqrt{15}}}{16}\\ \\ &=\frac{15(\sqrt{30}+\sqrt{10}-\sqrt{6}-\sqrt{2}-2\sqrt{20-10\sqrt{3}+4\sqrt{5}-2\sqrt{15}})}{2}\end{align*}
となります。
円周の長さは$2\pi$で、円に内接する正六十角形の周の長さより長いので
\begin{align*}2\pi&>\frac{15(\sqrt{30}+\sqrt{10}-\sqrt{6}-\sqrt{2}-2\sqrt{20-10\sqrt{3}+4\sqrt{5}-2\sqrt{15}})}{2}\\ \\ \pi&>\frac{15(\sqrt{30}+\sqrt{10}-\sqrt{6}-\sqrt{2}-2\sqrt{20-10\sqrt{3}+4\sqrt{5}-2\sqrt{15}})}{4}\\ &\quad≒3.140&...(e)\end{align*}

円に外接する場合

 半径$1$の円に外接する正六十角形の周の長さを求めるには(2)に$n=60$を代入して
\begin{align*}L_{60o}&=2×60\tan\frac{180°}{60}\\ &=120\tan3°\end{align*}
ここで
\[\tan3°=\frac{\sqrt{110-60\sqrt{3}+46\sqrt{5}-28\sqrt{15}}+4-3\sqrt{3}+2\sqrt{5}-\sqrt{15}}{2}\]
なので
\begin{align*}L_{60o}&=120\cdot\frac{\sqrt{110-60\sqrt{3}+96\sqrt{5}-28\sqrt{15}}+4-3\sqrt{3}+2\sqrt{5}-\sqrt{15}}{2}\\ \\ &=60(\sqrt{110-60\sqrt{3}+46\sqrt{5}-28\sqrt{15}}+4-3\sqrt{3}+2\sqrt{5}-\sqrt{15})\end{align*}
となります。
円周の長さは$2\pi$で、円に外接する正六十角形の周の長さより短いので
\begin{align*}2\pi&<60(\sqrt{110-60\sqrt{3}+46\sqrt{5}-28\sqrt{15}}+4-3\sqrt{3}+2\sqrt{5}-\sqrt{15})\\ \\ \pi&<30(\sqrt{110-60\sqrt{3}+46\sqrt{5}-28\sqrt{15}}+4-3\sqrt{3}+2\sqrt{5}-\sqrt{15})\\ ≒3.144&...(f)\end{align*}

 (e)、(f)より円に内接・外接する正六十角形の周の長さから円周率の値を調べてみると$3.140<\pi<3.144$の範囲にあることがわかります。
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