\[\{f(g(x))\}'=f'(g(x))g'(x)\]
微分の定義式を考えると、$f(x)$を$x$で微分するとは
\[f'(x)=\lim_{h\to0}\frac{f(x+h)-f(x)}{h}\]
$x$で微分することを明確にして、平均変化率で求めることを意識すれば
\[\frac{df(x)}{dx}=\lim_{h\to0}\frac{f(x+h)-f(x)}{(x+h)-x}\]
となります。
これをもとに合成関数の微分について考えます。
合成関数$f(g(x))$は$x$の関数…ではなく$g(x)$の関数なので、$f(g(x))$を$g(x)$で微分することは
\begin{equation}\frac{df(g(x))}{dg(x)}=\lim_{h\to0}\frac{f(g(x)+h)-f(g(x))}{\{g(x)+h\}-g(x)}\end{equation}
と書けます。
ここで変化量$h$について考えます。
\[f'(x)=\lim_{h\to0}\frac{f(x+h)-f(x)}{(x+h)-x}\]
においては$x$の変化量を指しますが、(1)においては$g(x)$の変化量を指します。
\[g(x)+h\quad\rightarrow\ g(x+h)\]
と置き換えることができます。したがって、
\begin{equation}\frac{df(g(x))}{dg(x)}=\lim_{h\to0}\frac{f(g(x+h))-f(g(x))}{g(x+h)-g(x)}\end{equation}
となります。
次に$g(x)$を$x$で微分することは
\begin{equation}\frac{dg(x)}{dx}=\lim_{h\to0}\frac{g(x+h)-g(x)}{(x+h)-x}\end{equation}
と書けます。
(2)と(3)を掛けると
\[\frac{df(g(x))}{dg(x)}\cdot\frac{dg(x)}{dx}=\lim_{h\to0}\frac{f(g(x+h))-f(g(x))}{g(x+h)-g(x)}\cdot\lim_{h\to0}\frac{g(x+h)-g(x)}{(x+h)-x}\]
となります。
ここで(2)、(3)が極限値をもつ、すなわち微分可能であるならば
\begin{align*}\frac{df(g(x))}{dg(x)}\cdot\frac{dg(x)}{dx}&=\lim_{h\to0}\left\{\frac{f(g(x+h))-f(g(x))}{g(x+h)-g(x)}\cdot\frac{g(x+h)-g(x)}{(x+h)-x}\right\}\\ \\ &=\lim_{h\to0}\frac{f(g(x+h))-f(g(x))}{(x+h)-x}&...(4)\end{align*}
となり、これは$f(g(x))=F(x)$とおけば
\[\lim_{h\to0}\frac{F(x+h)-F(x)}{(x+h)-x}\]
となるため$F(x)$、すなわち$f(g(x))$を$x$で微分、すなわち$\{f(g(x))\}'$であることを意味します。
(2)、(3)はそれぞれ
\[\frac{df(g(x))}{dg(x)}=f'(g(x)),\ \frac{dg(x)}{dx}=g'(x)\]
と書けるので(4)は
\[\{f(g(x))\}'=f'(g(x))g'(x)\]
となることがわかります。
ただし$g(x)$が定数関数など$g(x+h)-g(x)=0$となるような関数の場合、分母が$0$になってしまい(2)の不定形が解消できないため極限値を持つかが不明になります。すると(4)が示せなくなるため合成関数$f(g(x))$の微分ができるかわからなくなってしまいます。
※微分の定義式も不定形になりますが、分母が$h$であるため解消できます。
なので、上記だけでは合成関数の微分の説明が十分にできません。
一例として定数関数$g(x)=c\ (c:定数)$の場合微分できることを確かめてみます。
$g(x)=c$のとき、
\[f(g(x)=f(c)=k\ (k:定数)\]
となるので、微分の定義にしたがって$x$で微分すると
\begin{align*}\{f(g(x)\}'&=\lim_{h\to0}\frac{k-k}{h}\\ \\ &=\lim_{h\to0}\frac{0}{h}\\ \\ &=\lim_{h\to0}0=0\end{align*}
となり、この場合合成関数は微分できることがわかります。
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