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2022年4月21日

方程式変形のための4つの基本操作(両辺に足す、両辺から引く、両辺に掛ける、両辺を割る)

 方程式を変形するときにもちいる4つの基本的な手段があります。
それは、
  • 両辺に同じ数を足す
  • 両辺から同じ数を引く
  • 両辺に同じ数を掛ける
  • 両辺を同じ数で割る
です。

 方程式とは、文字(変数)を含む等式のことです。

また、等式とは、等号”$=$”で数や式などを結んだ式のことで、”$=$”の左右にあるものが同じ、等しいことを表します。
例えば、等式$a=b$において、$a$と$b$は等しい、$a,b$を数として扱うのならば$a$と$b$は同じ数であることを表すということです。

そして、同じ数に対して同じ操作をすれば、同じ結果を得られるはずです。

方程式変形のための4つの基本操作はこの考え方に基づいています。

両辺に同じ数を足す

 上述したように等式$a=b$は$a$と$b$が同じ数であることを表す式です。
$a$と$b$が同じ数であるならば、それぞれに$c$を加えた数(和)、すなわち$a+c$と$b+c$もまた同じ数となります。
したがって、
\[\large a+c=b+c\]
がいえます。

例:

等式$2+3=5$の両辺に$2$を加えると
\begin{align*}2+3\textcolor{red}{+2}&=5\textcolor{red}{+2}\\[1em](左辺)&=2+3+2=7\\[0.5em](右辺)&=5+2=7\end{align*}

両辺から同じ数を引く

 等式$a=b$において、$a$と$b$が同じ数であるならば、それぞれから$c$を引いた数(差)、すなわち$a-c$と$b-c$もまた同じ数となります。
したがって、
\[\large a-c=b-c\]
がいえます。

例:

等式$10-4=6$の両辺から$5$を引くと
\begin{align*}10-4\textcolor{red}{-5}&=6\textcolor{red}{-5}\\[1em](左辺)&=10-4-5=1\\[0.5em](右辺)&=6-5=1\end{align*}

 等式$a-b=c$について、両辺に$b$を足すと
\begin{align*}a\textcolor{blue}{-b}&=c\tag1\\[0.5em]a\textcolor{blue}{-b}\textcolor{red}{+b}&=c\textcolor{red}{+b}\\[0.5em]a&=c\textcolor{red}{+b}\tag2\end{align*}
となり、$(1)$から$(2)$への変形は項$b$が符号を変えてもう一方の辺に移動したように見えます。
また、等式$a+b=c$について、両辺から$b$を引くと
\begin{align*}a\textcolor{blue}{+b}&=c\tag3\\[0.5em]a\textcolor{blue}{+b}\textcolor{red}{-b}&=c\textcolor{red}{-b}\\[0.5em]a&=c\textcolor{red}{-b}\tag4\end{align*}
となり、$(3)$から$(4)$への変形も項$b$が符号を変えてもう一方の辺に移動したように見えます。

このように、両辺に同じ数を足す、両辺から同じ数を引くことを利用して一方の辺にある項を符号を変えてもう一方の辺へ移す操作のことを移項といいます。


両辺に同じ数を掛ける

 等式$a=b$において、$a$と$b$が同じ数であるならば、それぞれに$c$を掛けた数(積)、すなわち$a×c$と$b×c$もまた同じ数となります。
したがって、
\[\large a\times c=b\times c\]
がいえます。

例:

等式$2+3=5$の両辺に$7$を掛けると
\begin{align*}(2+3)\textcolor{red}{\times7}&=5\textcolor{red}{\times7}\\[1em](左辺)&=(2+3)\times7=35\\[0.5em](右辺)&=5\times7=35\end{align*}
ただし、掛ける数$c$が$0$の場合は除きます。
どんな数、数式であっても$0$を掛ければ$0$になります。すなわち、元の数や数式をなかったことにできます。
等式の場合、元の等式が正しくても、$2+2=5$のように間違っていても両辺に$0$を掛ければ、両辺ともになかったことにして$0=0$という正しい等式になります。
これは、両辺に$0$を掛けると元の等式が全くの無意味になるということなので、議論を進めるための変形で両辺に$0$を掛けることはありません。

両辺を同じ数で割る

 等式$a=b$において、$a$と$b$が同じ数であるならば、それぞれを$c$で割った数(商)、すなわち$a÷c$と$b÷c$もまた同じ数となります。
したがって、
\[\large a\div c=b\div c\]
がいえます。

例:

等式$10-4=6$の両辺を$3$で割ると
\begin{align*}(10-4)\textcolor{red}{\div3}&=6\textcolor{red}{\div3}\\[1em](左辺)&=(10-4)\div3=2\\[0.5em](右辺)&=6\div3=2\end{align*}
ただし、割る数$c$が$0$の場合は除きます。
これは、$0$で割ることができないためです。

 両辺に同じ数を掛ける、両辺を同じ数で割るにおいて、等号で結ばれているのが数式の場合、数式全体で表す数が等しいという関係の対象となります。
したがって、両辺に掛ける数、割る数は数式全体を対象とし、上記の例のように数式を括弧で括る必要があります。

実は、両辺に同じ数を足す、両辺から同じ数を引く場合も数式全体を対象として足したり引いたりしているため本当は括弧で括っているのですが、括弧の有無によって計算の仕方に影響が出ないので括弧をつけずに足したり引いたりしています。


 これら4つの基本操作は方程式変形に欠かせないため、非常に活用場面が多いです。
方程式を解くことも、その中の1つです。
方程式の変数には、等式として成り立たせるのに適する値が存在します。
この値を求めることを方程式を解くといいます。
特に1次方程式は、方程式変形のための4つの基本操作のみで解きます。
例として、1次方程式$\dfrac{2x-3}{5}+4=7$を解いてみます。
両辺から$4$を引くと
\begin{align*}\frac{2x-3}{5}+4\textcolor{red}{-4}&=7\textcolor{red}{-4}\\[0.5em]\frac{2x-3}{5}&=3\end{align*}
両辺に$5$を掛けると
\begin{align*}\frac{2x-3}{5}\textcolor{red}{\times5}&=3\textcolor{red}{\times5}\\[0.5em]2x-3&=15\end{align*}
両辺に$3$を加えると
\begin{align*}2x-3\textcolor{red}{+3}&=15\textcolor{red}{+3}\\[0.5em]2x&=18\end{align*}
両辺を$2$で割ると
\begin{align*}2x\textcolor{red}{\div2}&=18\textcolor{red}{\div2}\\[0.5em]x&=9\end{align*}
したがって、1次方程式$\dfrac{2x-3}{5}+4=7$の解は$x=9$であることがわかります。

(2025/8)内容を変更しました。

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