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2022年11月12日

log0はどんな数?

 $\log{0}$はどのような数になるでしょうか?


 $\log{0}$を$1$を除く任意の正の実数$a$を底にもつ実数$\log_a{0}$のことと仮定します。
対数の定義より$\log_a{b}$は
\[a^x=b\]
を満たす指数$x$のことです。
したがって、$\log_a{0}$は
\[a^x=0\]
を満たす数$x$であるということです。
しかし、指数関数の性質より$a$が$1$を除く正の実数のとき
\[a^x>0\]
は成り立ちますが、$a^x=0$を成り立たせるような$x$は存在しません。
すなわち、実数の範囲で$\log_a{0}$を定義できないということです。
ここで、$0<a<1$のとき
\[\lim_{x\to\infty}a^x=0\]
$a>1$のとき
\[\lim_{x\to-\infty}a^x=0\]
という極限は関係ないのかと思うかもしれませんが、$0<a<1$のときの極限は「限りなく$x$を大きくすると$a^x$は$0$に限りなく近づく」、$a>1$のときの極限は「限りなく$x$を小さくすると$a^x$は$0$に限りなく近づく」ということであり、$\infty$という数が存在し、そのときに$a^x=0$になるという意味ではありません。

 次は$\log_a{0}$を複素数と仮定します。
複素数$z$は極形式で
\[z=r\{\cos\theta+i\sin\theta\}\quad(r,\theta:実数;r>0)\]
と書くことができ、オイラーの公式により
\[z=re^{i\theta}\]
となります。
さらに$r=e^{\ln r}$より
\[z=e^{\ln r}\cdot e^{i\theta}=e^{\ln r+i\theta}\]
と書くことができます。
このことと$e^{\ln r+i\theta}=e^{\ln r+i(\theta+2n\pi)}$($n:$整数)であることより複素数の対数$\log z$は
\[\log z=\ln r+i(\theta+2n\pi)\]
となります。
$z=0$であるためには$r=0$であることが条件となるので、
\[\log0=\ln0+i(\theta+2n\pi)\]
となります。このとき$\ln0$は実数の範囲の$\log_a{0}$の$a=e$の場合なので上述の通り定義できません。

したがって、実部が$\ln0$である複素数の対数$\log0$も定義できません。


 以上より、実数の範囲でも複素数の範囲でも$\log0$がどんな数かを定義することはできません。
(2024/7)内容を修正しました。
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