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2022年11月21日

正弦定理 なぜ成り立つ?

正弦定理
 正弦定理とは$\text{BC}=a,\text{AC}=b,\text{AB}=c$である$△\text{ABC}$と半径$R$である外接円$\text{O}$において
\[\frac{a}{\sin∠\text{A}}=\frac{b}{\sin∠\text{B}}=\frac{c}{\sin∠\text{C}}=2R\]
という関係があるという定理です。

なぜこのような式になるのでしょうか?


鋭角三角形の場合

上図のような鋭角三角形$\text{ABC}$の頂点$\text{A}$とその対辺$\text{BC}$に着目します。
鋭角三角形の正弦定理
頂点$\text{A}$だけ円周上を動かし、三角形の1辺が円$\text{O}$の直径となる位置$\text{A'}$におきます。上図の場合は$\text{A'C}$が円$\text{O}$の直径となるようにします。

$△\text{A'BC}$について、$∠\text{A}$も$∠\text{A'}$も弧$\text{BC}$に対する円周角なので、円周角の定理より$∠\text{A}=∠\text{A'}$となります。
$\text{A'C}$は直径なので、タレスの定理より$∠\text{B}=90°$となるから$△\text{A'BC}$は直角三角形であることがわかります。

直角三角形$\text{A'BC}$の三角比より
\[\sin∠\text{A'}=\frac{a}{2R}\]
また、$∠\text{A}=∠\text{A'}$より
\begin{align*}\sin∠\text{A}&=\frac{a}{2R}\\[0.5em]\frac{a}{\sin∠\text{A}}&=2R\tag1\end{align*}
となります。
頂点$\text{B},\text{C}$とそれぞれの対辺$\text{AC},\text{AB}$に着目した場合も、同様の手順で
\[\frac{b}{\sin∠\text{B}}=2R,\frac{c}{\sin∠\text{C}}=2R\tag2\]
を得られるので、$(1),(2)$から
\[\frac{a}{\sin∠\text{A}}=\frac{b}{\sin∠\text{B}}=\frac{c}{\sin∠\text{C}}=2R\]
が成り立つことがわかります。

直角三角形の場合

直角三角形の正弦定理
 $∠\text{A}=90°$である$△\text{ABC}$が直角三角形の場合を考えます。
このとき、タレスの定理の逆より$\text{BC}$は円$\text{O}$の直径となります。
$(1)$に代入すると$\sin90°=1$なので左辺は
\begin{align*}(左辺)&=\frac{a}{\sin∠\text{A}}\\[0.5em]&=\frac{2R}{\sin90°}\\[0.5em]&=2R\end{align*}
であるため成り立ちます。

$∠\text{B},∠\text{C}$は鋭角なので、鋭角三角形と同様の手順で$(2)$を得ることができ、正弦定理が成り立つことがわかります。


鈍角三角形の場合

鈍角三角形の正弦定理
 今度は$∠\text{A}$が鈍角である鈍角三角形$\text{ABC}$の場合を考えます。
この場合は頂点$\text{A}$を円周角が一定となるように頂点$\text{A}$がある方の弧$\text{BC}$上を動かしても、どの辺も円$\text{O}$の直径となることはありません。
鈍角三角形の正弦定理
そこでもう1つの弧$\text{BC}$上に点$\text{D}$をおきます。このとき、$△\text{DBC}$の1辺が円$\text{O}$の直径となるようにします。
すると、タレスの定理より$∠\text{DBC}=90°$なので、$△\text{DBC}$は直角三角形です。
直角三角形$\text{DBC}$の三角比より
\[\sin∠\text{D}=\frac{a}{2R}\]
ここで、四角形$\text{ABDC}$は円に内接する四角形なので、$∠\text{A}$の対角の$∠\text{D}$は
\[∠\text{D}=180°-∠\text{A}\]
となります。
また、三角関数の性質より
\[\sin(180°-∠\text{A})=\sin∠\text{A}\]
なので、
\begin{align*}\sin∠\text{D}=\sin∠\text{A}&=\frac{a}{2R}\\[0.5em]\frac{a}{\sin∠\text{A}}&=2R\end{align*}
となり$(1)$を得ます。

$∠\text{B},∠\text{C}$は鋭角であるから鋭角三角形の場合の手順により$(2)$を得ることができ、正弦定理が成り立つことがわかります。


 すべての三角形は内角によって3つに分類することができます。
したがって、すべての三角形について正弦定理が成り立つことがわかります。
また、証明の過程で1つの内角とその対辺に着目していることから、円周角と弦の長さの関係についての定理であるとも言えます。

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