正弦定理とは$BC=a,AC=b,AB=c$である$△ABC$と半径$R$である外接円$O$において
\[\frac{a}{\sin∠A}=\frac{b}{\sin∠B}=\frac{c}{\sin∠C}=2R\]
という関係があるという定理です。
なぜこのような式になるのでしょうか?
鋭角三角形の場合
上図のような鋭角三角形$ABC$の頂点$A$とその対辺$BC$に着目します。
$△A'BC$について、$∠A$も$∠A'$も弧$BC$に対する円周角なので、円周角の定理より$∠A=∠A'$となります。
$A'C$は直径なので、タレスの定理より$∠B=90°$となるから$△A'BC$は直角三角形であることがわかります。
直角三角形$A'BC$の三角比より
\[\sin∠A'=\frac{a}{2R}\]
また、$∠A=∠A'$より
\begin{align*}\sin∠A&=\frac{a}{2R}\\[0.5em]\frac{a}{\sin∠A}&=2R\tag1\end{align*}
となります。
頂点$B,C$とそれぞれの対辺$AC,AB$に着目した場合も、同様の手順で
\[\frac{b}{\sin∠B}=2R,\frac{c}{\sin∠C}=2R\tag2\]
を得られるので、$(1),(2)$から
\[\frac{a}{\sin∠A}=\frac{b}{\sin∠B}=\frac{c}{\sin∠C}=2R\]
が成り立つことがわかります。
直角三角形の場合
$(1)$に代入すると$\sin90°=1$なので左辺は
\begin{align*}(左辺)&=\frac{a}{\sin∠A}\\[0.5em]&=\frac{2R}{\sin90°}\\[0.5em]&=2R\end{align*}
であるため成り立ちます。
$∠B,∠C$は鋭角なので、鋭角三角形と同様の手順で$(2)$を得ることができ、正弦定理が成り立つことがわかります。
鈍角三角形の場合
今度は$∠A$が鈍角である鈍角三角形$ABC$の場合を考えます。
この場合は頂点$A$を円周角が一定となるように頂点$A$がある方の弧$BC$上を動かしても、どの辺も円$O$の直径となることはありません。
この場合は頂点$A$を円周角が一定となるように頂点$A$がある方の弧$BC$上を動かしても、どの辺も円$O$の直径となることはありません。
直角三角形$DBC$の三角比より
\[\sin∠D=\frac{a}{2R}\]
ここで、四角形$ABDC$は円に内接する四角形なので、$∠A$の対角の$∠D$は
\[∠D=180°-∠A\]
となります。
また、三角関数の性質より
\[\sin(180°-∠A)=\sin∠A\]
なので、
\begin{align*}\sin∠D=\sin∠A&=\frac{a}{2R}\\[0.5em]\frac{a}{\sin∠A}&=2R\end{align*}
となり$(1)$を得ます。
$∠B,∠C$は鋭角であるから鋭角三角形の場合の手順により$(2)$を得ることができ、正弦定理が成り立つことがわかります。
すべての三角形は内角によって3つに分類することができます。
したがって、すべての三角形について正弦定理が成り立つことがわかります。
したがって、すべての三角形について正弦定理が成り立つことがわかります。
また、証明の過程で1つの内角とその対辺に着目していることから、円周角と弦の長さの関係についての定理であるとも言えます。
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