指数が実数の範囲で絶対値が変えずに正負を反対にすることができるのは−1−1の累乗だけです。
(−1)n(−1)nのnnが偶数のとき11となります。
このことから、−1−1以外の実数は実数乗では絶対値を変えずに正負を反対にすることはできないので、複素数乗ならば可能かを考えます。
(−1)n(−1)nのnnが偶数のとき11となります。
このことから、−1−1以外の実数は実数乗では絶対値を変えずに正負を反対にすることはできないので、複素数乗ならば可能かを考えます。
底が正の実数のとき
まずは正の実数aaを負の実数−a−aにする場合について考えます。
ax+yi=−aax+yi=−a(1)
が成り立つときの指数x+yix+yiが何になるのかを求めます。
aaを極形式の複素数で表すと
a=a{cos(2mπ)+isin(2mπ)}=aei2mπ(m:整数)a=a{cos(2mπ)+isin(2mπ)}=aei2mπ(m:整数)
となります。また、a=elogea=elnaa=elogea=elnaなので、
a=elna⋅ei2mπ=elna+i2mπa=elna⋅ei2mπ=elna+i2mπ
のように書くことができるのでax+yiax+yiは
ax+yi=(elna+i2mπ)x+yi=e(lna+i2mπ)(x+yi)=exlna−2mπy+i(ylna+2mπx)ax+yi=(elna+i2mπ)x+yi=e(lna+i2mπ)(x+yi)=exlna−2mπy+i(ylna+2mπx)
となります。
また、−a−aは同様にして
−a=a{cos((2n+1)π)+isin((2n+1)π)}(n:整数)=aei(2n+1)π=elna+i(2n+1)π−a=a{cos((2n+1)π)+isin((2n+1)π)}(n:整数)=aei(2n+1)π=elna+i(2n+1)π
となるので、(1)(1)は
exlna−2myπ+i(ylna+2mπx)=elna+i(2n+1)πexlna−2myπ+i(ylna+2mπx)=elna+i(2n+1)π
となります。
底が等しいとき指数も等しいので、
(i)(i)の両辺を2mπlna2mπlna倍すると
xlna−2myπ+i(ylna+2mπx)=lna+i(2n+1)πxlna−2myπ+i(ylna+2mπx)=lna+i(2n+1)π
複素数が等しいとき実部と虚部がそれぞれ等しいので
{xlna−2mπy=lna⋯(i)ylna+2mπx=(2n+1)π⋯(ii)⎧⎨⎩xlna−2mπy=lna⋯(i)ylna+2mπx=(2n+1)π⋯(ii)
となります。(i)(i)の両辺を2mπlna2mπlna倍すると
2mπx−4m2π2lnay=2mπ2mπx−4m2π2lnay=2mπ
(ii)(ii)の辺々から引くと
ylna+4m2π2lnay=(2n+1)π−2mπ(lna)2+4m2π2lnay=(−2m+2n+1)πy=(−2m+2n+1)πlna(lna)2+4m2π2ylna+4m2π2lnay=(2n+1)π−2mπ(lna)2+4m2π2lnay=(−2m+2n+1)πy=(−2m+2n+1)πlna(lna)2+4m2π2
これを(i)に代入して
xlna−2mπ⋅(−2m+2n+1)πlna(lna)2+4m2π2=lnax−2mπ⋅(−2m+2n+1)π(lna)2+4m2π2=1
x=1+2mπ⋅(−2m+2n+1)π(lna)2+4m2π2=1+2m(−2m+2n+1)π2(lna)2+4m2π2=1+{−4m2+2m(2n+1)}π2(lna)2+4m2π2=(lna)2+4m2π2(lna)2+4m2π2+{−4m2+2m(2n+1)}π2(lna)2+4m2π2=(lna)2+2m(2n+1)π2(lna)2+4m2π2
となるため、指数x+yiは
x+yi=(lna)2+2m(2n+1)π2(lna)2+4m2π2+(−2m+2n+1)πlna(lna)2+4m2π2i
となります。特にm=n=0のときは
x+yi=1+πlnai
となります。
底が負の実数のとき
次は負の実数−aを正の実数aにする場合について考えます。
(−a)x+yi=a
が成り立つときの指数x+yiが何であるのかを求めます。
−a,aはそれぞれ
−a=elna+i(2m+1)πa=elna+i2nπ
で(−a)x+yiは指数部分が
(lna+i(2m+1)π)(x+yi)=xlna−(2m+1)πy+i{(2m+1)πx+ylna}
となるので、
(−a)x+yi=exlna−(2m+1)πy+i{(2m+1)πx+ylna}
となります。
指数部分の実部と虚部を比較して連立すると
{xlna−(2m+1)πy=lna⋯(iii)(2m+1)πx+ylna=2nπ⋯(iv)
(iii)の両辺を(2m+1)πlna倍すると
(2m+1)πx−(2m+1)2π2lnay=(2m+1)π
(iv)から辺々を引くと
ylna+(2m+1)2π2lnay=2nπ−(2m+1)π(lna)2+(2m+1)2π2lnay=(−2m+2n−1)πy=(−2m+2n−1)πlna(lna)2+(2m+1)2π2
これを(iii)に代入すると
xlna−(2m+1)π⋅(−2m+2n−1)πlna(lna)2+(2m+1)2π2=lnax−(2m+1)(−2m+2n−1)π2(lna)2+(2m+1)2π2=1
x=1+(2m+1)(−2m+2n−1)π2(lna)2+(2m+1)2π2=1+{−(2m+1)2+2n(2m+1)}π2(lna)2+(2m+1)2π2=(lna)2+2n(2m+1)π2(lna)2+(2m+1)2π2
となるため、指数x+yiは
x+yi=(lna)2+2n(2m+1)π2(lna)2+(2m+1)2π2+(−2m+2n−1)πlna(lna)2+(2m+1)2π2i
となります。特にm=n=0のときは
x+yi=(lna)2(lna)2+π2−πlna(lna)2+π2i
となります。
底がa=0の場合は符号に関係なく0であるため、符号を反対にする指数は存在しません。
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