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2022年11月23日

余弦定理 なぜ成り立つ?

余弦定理
 余弦定理とは$BC=a,AC=b,AB=c$である$△ABC$について
\begin{align*}a^2&=b^2+c^2-bc\cos∠A\tag1\\[0.5em]b^2&=c^2+a^2-2ca\cos∠B\tag2\\[0.5em]c^2&=a^2+b^2-2ab\cos∠C\tag3\end{align*}
という関係があるという定理です。
なぜこのような式になるのでしょうか?

鋭角三角形の場合

 上図のような鋭角三角形$ABC$の場合を考えます。
鋭角三角形の余弦定理
$∠A$に着目するとき、頂点$C$から$AB$に対し垂線を引き、その足を$H$とします。
直角三角形$ACH$の三角比より
\begin{align*}AH&=b\cos∠A\\[0.5em]CH&=b\sin∠A\end{align*}
となるので、直角三角形$BCH$において三平方の定理より
\begin{align*}BC^2&=BH^2+CH^2\\[0.5em]a^2&=(c-b\cos∠A)^2+(b\sin∠A)^2&(\because BH=c-b\cos∠A)\\[0.5em]&=c^2-2bc\cos∠A+b^2\cos^2∠A+b^2\sin^2∠A\end{align*}
ここで、三角関数の相互関係より
\[\sin^2∠A=1-\cos^2∠A\]
なので
\begin{align*}a^2&=c^2-2bc\cos∠A+b^2\cos^2∠A+b^2(1-\cos^2∠A)\\[0.5em]\therefore a^2&=b^2+c^2-2bc\cos∠A\end{align*}
となり、余弦定理のうち$(1)$が成り立つことがわかります。

 $∠B,∠C$に着目した場合も同様の手順により$(2),(3)$を得ることができ、余弦定理が成り立つことがわかります。


直角三角形の場合

直角三角形の余弦定理
 $∠A=90°$である直角三角形$ABC$の場合を考えます。
$(1)$について考えると$\cos90°=0$なので
\begin{align*}a^2&=b^2+c^2-2bc\cos90°\\[0.5em]\therefore a^2&=b^2+c^2\end{align*}
となり、三平方の定理そのものとなります。

 $∠B,∠C$に着目した場合、鋭角三角形と同様に$(2),(3)$を得ることができ、余弦定理が成り立つことがわかります。


鈍角三角形の場合

鈍角三角形の余弦定理
 $∠A$が鈍角である鈍角三角形の場合を考えます。
鈍角三角形の余弦定理
鋭角三角形の場合と同様に$∠A$に着目し、頂点$C$から辺$AB$の延長に対し垂線を引き、その足を$H$とします。
直角三角形$ACH$において$∠CAH=180°-∠A$となります。
$∠CAH$に着目して三角比は
\begin{align*}AH&=b\cos∠CAH=b\cos(180°-∠A)\\[0.5em]CH&=b\sin∠CAH=b\sin(180°-∠A)\end{align*}
直角三角形$BCH$において三平方の定理より
\begin{align*}BC^2&=BH^2+CH^2\\[0.5em]a^2&=\{c+b\cos(180°-∠A)\}^2+\{b\sin(180°-∠A)\}^2\end{align*}
ここで、三角関数の性質より
\begin{align*}\sin(180°-∠A)&=\sin∠A\\[0.5em]\cos(180°-∠A)&=-\cos∠A\end{align*}
なので
\begin{align*}a^2&=(c-b\cos∠A)^2+(b\sin∠A)^2\\[0.5em]&=c^2-2bc\cos∠A+b^2\cos^2∠A+b^2\sin^2∠A\\[0.5em]&=c^2-2bc\cos∠A+b^2\cos^2∠A+b^2(1-\cos^2∠A)\\[0.5em]\therefore a^2&=b^2+c^2-2bc\cos∠A\end{align*}
となり、$(1)$が成り立つことがわかります。

このとき$∠B,∠C$は鋭角なので、鋭角三角形の場合と同様の手順により$(2),(3)$を得ることができ、余弦定理が成り立つことがわかります。


 以上から、内角によって3つに分類することができるすべての三角形について余弦定理が成り立つことがわかります。

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