「平坦な土地に上図のように三角形にブロックを敷き詰めた。
この三角形の各頂点を上図のように$\text{A, B, C}$とすると、辺$\text{AB}$の長さは$15\text{m}$、辺$\text{BC}$の長さは$6\text{m}$、辺$\text{AB}$は北方向から時計回りに$45°$の角をなし、内角$\text{ABC}$は南側に開いていて$75°$であった。
頂点$\text{A}$の位置を基準としたとき、頂点$\text{C}$は頂点$\text{A}$から北または南方向へ何$\text{m}$、東または西方向へ何$\text{m}$の位置にあるかを求めよ。」
三角関数を利用して点$\text{B, C}$それぞれの位置を求めることができます。(この問題は直角三角形の3辺の比を利用して解くことができますが、あえて三角関数を利用します。)
点$\text{A}$からみた点$\text{B}$の位置
上図のように頂点$\text{A}$から南北方向に直線を伸ばし、この直線へ頂点$\text{B}$から垂線をおろして足を$\text{H}$とします。
すると、$∠\text{AHB}=90°,∠\text{BAH}=45°$である直角三角形$\text{ABH}$ができます。
頂点$\text{A}$と頂点$\text{B}$の南北方向の距離は辺$\text{AH}$の長さに等しいので、これを求めます。
直角三角形による三角関数の定義より
\[\frac{\text{AH}}{\text{AB}}=\cos\angle \text{BAH}\]
であり、$\text{AB}=15,∠\text{BAH}=45°$なので
\begin{align*}\frac{\text{AH}}{15}&=\cos45°\\[0.5em]\frac{\text{AH}}{15}&=\frac{\sqrt{2}}{2}\\[0.5em]\text{AH}&=\frac{\sqrt{2}}{2}\times15\\[0.5em]\therefore
\text{AH}&=\frac{15\sqrt{2}}{2}\end{align*}
となります。
同様に、頂点$\text{A}$と頂点$\text{B}$の東西方向の距離は辺$\text{BH}$の長さに等しく、直角三角形による三角関数の定義より
\[\frac{\text{BH}}{\text{AB}}=\sin\angle \text{BAH}\]
なので
\begin{align*}\frac{\text{BH}}{15}&=\cos45°\\[0.5em]&=\frac{\sqrt{2}}{2}\\[0.5em]\text{BH}&=\frac{\sqrt{2}}{2}\times15\\[0.5em]\therefore
\text{BH}&=\frac{15\sqrt{2}}{2}\end{align*}
となります。
頂点$\text{B}$は頂点$\text{A}$より北方向および東方向にあるので、頂点$\text{B}$は頂点$\text{A}$から北方向へ$\dfrac{15\sqrt{2}}{2}\
\text{[m]}$、東方向へ$\dfrac{15\sqrt{2}}{2}\ \text{[m]}$の位置にあることがわかります。
頂点$\text{B}$からみた頂点$\text{C}$の位置
頂点$\text{A}$からみた頂点$\text{C}$の位置を求める前に、頂点$\text{B}$からみた頂点$\text{C}$の位置を求めます。頂点$\text{A}$からみた頂点$\text{B}$の位置を求めたときと手順は同じです。
上図のように頂点$\text{B}$から南北方向に直線を伸ばし、この直線へ頂点$\text{C}$から垂線をおろして足を$\text{I}$とします。
すると、$∠\text{BIC}=90°$である直角三角形$\text{BCI}$ができます。
辺$\text{BI, CI}$の長さがわかれば頂点$\text{B}$からみた頂点$\text{C}$の位置が求まりますが、そのためには$∠\text{CBI}$が必要です。
ここで、$∠\text{ABC}=∠\text{ABI}+∠\text{CBI}$なので、$∠\text{CBI}=∠\text{ABC}-∠\text{ABI}$です。
また、$\text{AH}//\text{BI}$より錯角が等しくなるので$∠\text{BAH}=∠\text{ABI}=45°$です。
したがって、$∠\text{ABC}=75°$より
\begin{align*}\angle \text{CBI}&=75°-45°\\[0.5em]&=30°\end{align*}
であるとわかります。
頂点$\text{B}$と頂点$\text{C}$の南北方向の距離は辺$\text{BI}$の長さに等しく、直角三角形による三角関数の定義より
\[\frac{\text{BI}}{\text{BC}}=\cos\angle \text{CBI}\]
で$\text{BC}=6,∠\text{CBI}=30°$より
\begin{align*}\frac{\text{BI}}{6}&=\cos30°\\[0.5em]&=\frac{\sqrt{3}}{2}\\[0.5em]\text{BI}&=\frac{\sqrt{3}}{2}\times6\\[0.5em]\therefore
\text{BI}&=3\sqrt{3}\end{align*}
となります。
同様に、頂点$\text{B}$と頂点$\text{C}$の東西方向の距離は辺$\text{CI}$の長さに等しく、直角三角形による三角関数の定義より
\[\frac{\text{CI}}{\text{BC}}=\sin\angle \text{CBI}\]
なので
\begin{align*}\frac{\text{CI}}{5}&=\sin30°\\[0.5em]&=\frac{1}{2}\\[0.5em]\text{CI}&=\frac{1}{2}\times6\\[0.5em]\therefore
\text{CI}&=3\end{align*}
となります。
頂点$\text{C}$は頂点$\text{B}$より南方向および東方向にあるので、頂点$\text{C}$は頂点$\text{B}$から南方向へ$3\sqrt{3}\ \text{[m]}$、東方向へ$3\ \text{[m]}$の位置にあることがわかります。
頂点$\text{A}$からみた頂点$\text{C}$の位置
頂点$\text{A}$からみた頂点$\text{C}$の位置は、これまでに求めた頂点$\text{A}$からみた頂点$\text{B}$の位置と頂点$\text{B}$からみた頂点$\text{C}$の位置から知ることができます。
まず、頂点$\text{A}$と頂点$\text{C}$の南北方向の位置関係を求めます。
頂点$\text{A}$から北方向へ$\dfrac{15\sqrt{2}}{2}\
\text{[m]}$の位置に頂点$\text{B}$が、頂点$\text{B}$から南方向へ$3\sqrt{3}\
\text{[m]}$の位置に頂点$\text{C}$があります。
すなわち、頂点$\text{C}$は頂点$\text{A}$から北方向へ$\dfrac{15\sqrt{2}}{2}\
\text{[m]}$進み、$3\sqrt{3}\ \text{[m]}$戻った位置にあるということです。
ここで、$\dfrac{15\sqrt{2}}{2}$と$3\sqrt{3}$の大小関係について調べると、
$\dfrac{15\sqrt{2}}{2}$は
\begin{align*}\frac{15\sqrt{2}}{2}&=\frac{\sqrt{225}\times\sqrt{2}}{\sqrt{4}}\\[0.5em]&=\sqrt{\frac{225\times2}{4}}\\[0.5em]&=\sqrt{\frac{225}{2}}\end{align*}
$3\sqrt{3}$は
\begin{align*}3\sqrt{3}&=\sqrt{9}\times\sqrt{3}\\[0.5em]&=\sqrt{9\times3}\\[0.5em]&=\sqrt{27}\end{align*}
と変形できるので、$\dfrac{225}{2}>27$より$\sqrt{\dfrac{225}{2}}=\dfrac{15\sqrt{2}}{2}$のほうが大きいことがわかります。
これは、$3\sqrt{3}\
\text{[m]}$戻っても頂点$\text{C}$は頂点$\text{A}$より北側にあるということです。
したがって、
\begin{align*}\frac{15\sqrt{2}}{2}-3\sqrt{3}&=\frac{15\sqrt{2}}{2}-\frac{6\sqrt{3}}{2}\\[0.5em]&=\frac{15\sqrt{2}-6\sqrt{3}}{2}\end{align*}
より、頂点$\text{C}$は頂点$\text{A}$から
北方向へ$\dfrac{15\sqrt{2}-6\sqrt{3}}{2}\ \text{[m]}$の位置にあることがわかります。
次に、頂点$\text{A}$と頂点$\text{C}$の東西方向の位置関係を求めます。
頂点$\text{A}$から東へ$\dfrac{15\sqrt{2}}{2}\
\text{[m]}$の位置に頂点$\text{B}$が、頂点$\text{B}$から東へ$3\
\text{[m]}$の位置に頂点$\text{C}$があります。
どちらも東方向へ進んでいるので、頂点$\text{C}$は頂点$\text{A}$より東側にあります。
したがって、
\begin{align*}\frac{15\sqrt{2}}{2}+3&=\frac{15\sqrt{2}}{2}+\frac{6}{2}\\[0.5em]&=\frac{6}{2}+\frac{15\sqrt{2}}{2}\\[0.5em]&=\frac{6+15\sqrt{2}}{2}\end{align*}
頂点$\text{C}$は頂点$\text{A}$から
東方向へ$\dfrac{6+15\sqrt{2}}{2}\ \text{[m]}$の位置にあることがわかります。
以上より、頂点$\text{C}$は頂点$\text{A}$から北方向に$\dfrac{15\sqrt{2}-6\sqrt{3}}{2}\
\text{[m]}$、東方向へ$\dfrac{6+15\sqrt{2}}{2}\ \text{[m]}$の位置にあります。
別解
xy平面において、原点からの距離$r$とx軸の正の部分から反時計回りを正とする一般角$θ$をもちいればどの点の座標も$(r\cosθ,r\sinθ)$で表すことができます。
これを利用して各頂点の位置を表します。
y軸を北方向を正とする座標軸、x軸を東方向を正とする座標軸とします。
すると、一般角は東方向から反時計回りを正とする角度となりますが、ここで三角関数の性質
\begin{align*}\sin(90°-\theta)&=\cos\theta\\[1em]\cos(90°-\theta)&=\sin\theta\end{align*}
を利用すると座標は
\[(r\cos\theta, r\sin\theta)=\bigl(r\sin(90°-\theta),
r\cos(90°-\theta)\bigr)\]
と書けます。
$90°-θ$というのはy軸の正の部分から時計回りを正とする一般角のことで、座標を求めるのに北方向から時計回りに測った角度(
方位角といいます)を利用できるようになります。
点$\text{A}$からみた点$\text{B}$の位置
頂点$\text{A}$を原点として頂点$\text{B}$の位置を座標で表します。
問題文より、頂点$\text{A}$を基準として測った北方向と辺$\text{AB}$のなす角(頂点$\text{A}$から頂点$\text{B}$への方位角)は$45°$です。
また、辺$\text{AB}$の長さが$15\
\text{[m]}$なので、頂点$\text{A}$を原点としたときの頂点$\text{B}$の座標は
\begin{align*}\bigl(15\sin45°,
15\cos45°\bigr)&=\left(15\times\frac{\sqrt{2}}{2},
15\times\frac{\sqrt{2}}{2}\right)\\[0.5em]&=\left(\frac{15\sqrt{2}}{2},
\frac{15\sqrt{2}}{2}\right)\end{align*}
となります。
すなわち、頂点$\text{B}$は頂点$\text{A}$から東方向へ$\dfrac{15\sqrt{2}}{2}\
\text{[m]}$、北方向へ$\dfrac{15\sqrt{2}}{2}\ \text{[m]}$の位置にあるということです。
頂点$\text{B}$からみた頂点$\text{C}$の位置
今度は、頂点$\text{B}$を原点として頂点$\text{C}$の位置を座標で表します。
まずは、頂点$\text{B}$を基準として測った北方向と辺$\text{BC}$のなす角(頂点$\text{B}$から頂点$\text{C}$への方位角)を求めます。
辺$\text{AB}$の$\text{B}$の側の延長上に点$\text{P}$をとります。
すると、頂点$\text{B}$を基準として測った北方向と線分$\text{BP}$のなす角(頂点$\text{B}$から点$\text{P}$への方位角)は$45°$となります。
$∠\text{ABC}=75°$よりこれの外角$\text{PBC}$は
\begin{align*}\angle \text{PBC}&=180°-75°\\[0.5em]&=105°\end{align*}
となります。
頂点$\text{B}$から頂点$\text{C}$への方位角は、頂点$\text{B}$から点$\text{P}$への方位角に$∠\text{PBC}$の大きさを加えたものとなるため、
\[45°+105°=150°\]
となります。
また、辺$\text{BC}$の長さは$6\
\text{[m]}$なので、頂点$\text{B}$を原点としたときの頂点$\text{C}$の座標は
\begin{align*}(6\sin150°, 6\cos150°)&=\left(6\times\frac{1}{2},
6\times\left(-\frac{\sqrt{3}}{2}\right)\right)\\[0.5em]&=(3,
-3\sqrt{3})\end{align*}
となります。
y座標は北方向を正として測った原点からの距離だったので、負の値ということは頂点$\text{C}$は原点とする頂点$\text{B}$より南側にあるということです。
頂点$\text{B}$と頂点$\text{C}$の南北方向の距離は絶対値をとればよいので、座標より頂点$\text{C}$は頂点$\text{B}$から東方向へ$3\ \text{[m]}$、南方向へ$3\sqrt{3}\ \text{[m]}$の位置にあるということがいえます。
頂点$\text{A}$からみた頂点$\text{C}$の位置
上で求めた座標というのは、原点から他方の点へ向かうベクトルの成分であるともいえます。
なので、頂点$\text{A}$を原点としたときの頂点$\text{B}$の座標は頂点$\text{A}$から頂点$\text{B}$へ向かうベクトルの成分、頂点$\text{B}$を原点としたときの頂点$\text{C}$の座標は頂点$\text{B}$から頂点$\text{C}$へ向かうベクトルの成分といえるわけです。
すると、この2つのベクトルを足し合わせて合成したとき、そのベクトルの成分は頂点$\text{A}$から頂点$\text{C}$へ向かうベクトルの成分となります。
したがって、頂点$\text{A}$を原点としたときの頂点$\text{B}$の座標に頂点$\text{B}$を原点としたときの頂点$\text{C}$の座標を加えると頂点$\text{A}$を原点としたときの頂点$\text{C}$の座標が求まります。
\begin{align*}\vec{\text{AC}}&=\vec{\text{AB}}+\vec{\text{BC}}\\[0.5em]&=\left(\frac{15\sqrt{2}}{2},
\frac{15\sqrt{2}}{2}\right)+(3,
-3\sqrt{3})\\[0.5em]&=\left(\frac{15\sqrt{2}}{2}+3,
\frac{15\sqrt{2}}{2}-3\sqrt{3}\right)\\[0.5em]&=\left(\frac{6+15\sqrt{2}}{2},
\frac{15\sqrt{2}-6\sqrt{3}}{2}\right)\end{align*}
となります。
最初の解法のように$\dfrac{15\sqrt{2}-6\sqrt{3}}{2}>0$を示すことができるので、頂点$\text{C}$は頂点$\text{A}$から東方向へ$\dfrac{6+15\sqrt{2}}{2}\
\text{[m]}$、北方向に$\dfrac{15\sqrt{2}-6\sqrt{3}}{2}\
\text{[m]}$の位置にあることがわかります。
Share:
https://p-suugaku.blogspot.com/2025/06/sokuryou-zahyou.html三角形の頂点の位置を求める(三角関数・測量)