「次の方程式を解け。
(1)$\large\left||x-3|-2\right|=2$
(2)$\large\left||5-2x|+3\right|=-1$
(3)$\large\left||x^2-2x-3|-5\right|=0$
(4)$\large\left||x^2+3x-18|+x-3\right|=0$」
絶対値が二重になっている場合は内側の絶対値記号から場合分けして外していきます。
絶対値記号を外す時の場合分けの基本は
\begin{align*}a<0のとき\\ |a|&=-a\\[1em]a\leqq0のとき\\
|a|&=a\end{align*}
です。
(1)$\left||x-3|-2\right|=2$
内側の絶対値の中身$x-3$の正負について考えると
\begin{align*}x-3<0すなわち&x<3のとき\\
|x-3|&=-(x-3)\\[0.5em]&=-x+3\\[1em]x-3\geqq0すなわち&x\geqq3のとき\\
|x-3|&=x-3\end{align*}
と場合分けできます。
このことから内側の絶対値記号を外すと$x$の範囲によってそれぞれの方程式は
\[\left\{\begin{aligned}x<3のとき\\
|(-x+3)-2|&=|-x+1|=2\\[1em]x\geqq3のとき\\
|(x-3)-2|&=|x-5|=2\end{aligned}\right.\]
となります。
それぞれの場合について方程式を解きます。
$x<3$のとき
絶対値記号を外すと方程式は
\begin{align*}-x+1\geqq0すなわち&x\leqq1のとき\\
|-x+1|&=-x+1\\[0.5em]\therefore
-x+1&=2\\[1em]-x+1<0すなわち&x>1のとき\\
|-x+1|&=-(-x+1)\\[0.5em]&=x-1\\[0.5em]\therefore
x-1&=2\end{align*}
とさらに場合分けされます。
この場合分けは$x<3$の範囲内で考えたものなので、$x<3$も満たしている必要があります。
したがって、それぞれの$x$の範囲と$x<3$の共通範囲を求めます。
\begin{align*}x<3かつx\leqq1\ &\Longrightarrow\
x\leqq1\\[1em]x<3かつx>1\ &\Longrightarrow\
1<x<3\end{align*}
得られる方程式の解はこの$x$の範囲内にある必要があるので、適切な解かを吟味します。
\begin{align*}x\leqq1のとき\\
-x+1&=2\\[0.5em]x&=-1\\[1em]1<x<3のとき\\
x-1&=2\\[0.5em]x&=3\tag{範囲外のため不適}\end{align*}
以上より$x<3$における解は$x=-1$となります。
$x\geqq3$のとき
絶対値記号を外すと方程式は
\begin{align*}x-5<0すなわち&x<5のとき\\
|x-5|&=-(x-5)\\[0.5em]&=-x+5\\[0.5em]\therefore
-x+5&=2\\[1em]x-5\geqq0すなわち&x\geqq5のとき\\
|x-5|&=x-5\\[0.5em]\therefore x-5&=2\end{align*}
となります。
この場合分けの$x$の範囲と$x\geqq3$の共通範囲は
\begin{align*}x\geqq3かつx<5\ &\Longrightarrow\ 3\leqq
x<5\\[1em]x\geqq3かつx\geqq5\ &\Longrightarrow\
x\geqq5\end{align*}
それぞれの場合における方程式を解くと
\begin{align*}3\leqq x<5のとき\\
-x+5&=2\\[0.5em]x&=3\tag{範囲内のため適する}\\[1em]x\geqq5のとき\\
x-5&=2\\[0.5em]x&=7\end{align*}
となるため$x\geqq3$における解は$x=3,7$となります。
(2)$\left||5-2x|+3\right|=-1$
内側の絶対値の中身$5-2x$の正負について考えると
\begin{align*}5-2x\geqq0すなわち&x\leqq\frac{5}{2}のとき\\
|5-2x|&=5-2x\\[1em]5-2x<0すなわち&x>\frac{5}{2}のとき\\
|5-2x|&=-(5-2x)\\[0.5em]&=2x-5\end{align*}
と場合分けできます。
このことから内側の絶対値記号を外すと
\[\left\{\begin{aligned}x\leqq\frac{5}{2}のとき\\
|(5-2x)+3|&=|8-2x|=-1\\[1em]x>\frac{5}{2}のとき\\
|(2x-5)+3|&=|2x-2|=-1\end{aligned}\right.\]
となります。
それぞれの方程式について解くと
$x\leqq\tfrac{5}{2}$のとき
絶対値記号を外すと方程式は
\begin{align*}8-2x\geqq0すなわち&x\leqq4のとき\\
|8-2x|&=8-2x\\[0.5em]\therefore
8-2x&=-1\\[1em]8-2x<0すなわち&x>4のとき\\
|8-2x|&=-(8-2x)\\[0.5em]=2x-8\\[0.5em]\therefore
2x-8&=-1\end{align*}
となります。
この場合分けの$x$の範囲と$x\leqq\dfrac{5}{2}$の共通範囲は
\begin{align*}x\leqq\frac{5}{2}かつx\leqq4\ &\Longrightarrow\
x\leqq\frac{5}{2}\\[1em]x\leqq\frac{5}{2}かつx>4\
&\Longrightarrow\ 共通範囲なし\end{align*}
それぞれの場合における方程式を解くと
\begin{align*}x\leqq\frac{5}{2}のとき\\
8-2x&=-1\\[0.5em]x&=\frac{9}{2}\tag{範囲外のため不適}\\[1em]x\leqq\frac{5}{2}かつx&>4は共通範囲なしなので\\
2x-8&=-1を解いても適切な解はありません\end{align*}
となるため$x\leqq\dfrac{5}{2}$における解はありません。
$x>\tfrac{5}{2}$のとき
絶対値記号を外すと方程式は
\begin{align*}2x-2<0すなわちx<1のとき\\
|2x-2|&=-(2x-2)\\[0.5em]&=-2x+2\\[0.5em]\therefore
-2x+2&=-1\\[1em]2x-2\geqq0すなわちx\geqq1のとき\\
|2x-2|&=2x-2\\[0.5em]\therefore 2x-2&=-1\end{align*}
となります。
この場合分けの$x$の範囲と$x>\dfrac{5}{2}$の共通範囲は
\begin{align*}x>\frac{5}{2}かつx<1\ &\Longrightarrow\
共通範囲なし\\[1em]x>\frac{5}{2}かつx\geqq1\
&\Longrightarrow\ x>\frac{5}{2}\end{align*}
それぞれの場合における方程式を解くと
\begin{align*}x>\frac{5}{2}かつx&<1は共通範囲なしなので\\
-2x+2&=-1を解いても適切な解がありません\\[1em],x>\frac{5}{2}のとき\\
2x-2&=-1\\[0.5em]x&=\frac{1}{2}\tag{範囲外のため不適}\end{align*}
となるため$x>\dfrac{5}{2}$における解はありません。
(3)$\left||x^2-2x-3|-5\right|=0$
内側の絶対値の中身$x^2-2x-3$の正負について考えると
\begin{align*}x^2-2x-3<0すなわち&-1<x<3のとき\\
|x^2-2x-3|&=-(x^2-2x-3)\\[0.5em]&=-x^2+2x+3\\[1em]x^2-2x-3\geqq0すなわち&x\leqq-1,3\leqq
xのとき\\ |x^2-2x-3|&=x^2-2x-3\end{align*}
となります。
このことから内側の絶対値記号を外すと
\[\left\{\begin{aligned}-1<x<3のとき\\
|(-x^2+2x+3)-5|&=|-x^2+2x-2|=0\\[1em]x\leqq-1,3\leqq xのとき\\
|(x^2-2x-3)-5|&=|x^2-2x-8|=0\end{aligned}\right.\]
となります。
それぞれの方程式を解くと
$-1<x<3$のとき
2次関数$f(x)=-x^2+2x-2$について平方完成すると$f(x)=-(x-1)^2-1$となります。
$-(x-1)^2\leqq0$であるから$f(x)$は常に負となることがわかります。
したがって、$-x^2+2x-2=0$は解を持たないので$-1<x<3$においては解なしです。
したがって、$-x^2+2x-2=0$は解を持たないので$-1<x<3$においては解なしです。
$x\leqq-1,3\leqq x$のとき
絶対値記号を外すと方程式は
\begin{align*}x^2-2x-8<0すなわち&-2<x<4のとき\\
|x^2-2x-8|&=-(x^2-2x-8)\\[0.5em]&=-x^2+2x+8\\[0.5em]\therefore
-x^2+2x+8&=0\\[1em]x^2-2x-8\geqq0すなわち&x\leqq-2,4\leqq
xのとき\\ |x^2-2x-8|&=x^2-2x-8\\[0.5em]\therefore
x^2-2x-8&=0\end{align*}
となります。
この場合分けの$x$の範囲と$x\leqq-1,3\leqq x$の共通範囲は
\begin{align*}x\leqq-1,3\leqq xかつ-2<x<4\
&\Longrightarrow\ 3\leqq x<4\\[1em]x\leqq-1,3\leqq
xかつx\leqq-2,4\leqq x\ &\Longrightarrow\ x\leqq-2,4\leqq
x\end{align*}
それぞれの場合における方程式を解くと
\begin{align*}-2<x\leqq-1,&3\leqq x<4のとき\\
-x^2+2x+8&=0\\[0.5em]x^2-2x-8&=0\\[0.5em](x+2)(x-4)&=0\\[0.5em]x&=-2,4\tag{範囲外のため不適}\\[1em]x\leqq-2,&4\leqq
xのとき\\
x^2-2x-8&=0\\[0.5em](x+2)(x-4)&=0\\[0.5em]x&=-2,4\end{align*}
となるため$x\leqq-1,3\leqq x$における解は$x=-2,4$です。
(4)$\left||x^2+3x-18|+x-3\right|=0$
内側の絶対値の中身$x^2+3x-18$の正負について考えると
\begin{align*}x^2+3x-18<0すなわち-6<x<3のとき\\
|x^2+3x-18|&=-(x^2+3x-18)\\[0.5em]&=-x^2-3x+18\\[1em]x^2+3x-18\geqq0すなわちx\leqq-6,3\leqq
xのとき\\ |x^2+3x-18|&=x^2+3x-18\end{align*}
となります。
このことから内側の絶対値記号を外すと
\[\left\{\begin{aligned}-6<x<3のとき\\
|(-x^2-3x+18)+x-3|&=|-x^2-2x+15|=0\\[1em]x\leqq-6,3\leqq xのとき\\
|(x^2+3x-18)+x-3|&=|x^2+4x-21|=0\end{aligned}\right.\]
となります。
それぞれの方程式を解くと
$-6<x<3$のとき
絶対値記号を外すと方程式は
\begin{align*}-x^2-2x+15<0すなわちx<-5,3<xのとき\\
|-x^2-2x+15|&=-(-x^2-2x+15)\\[0.5em]&=x^2+2x-15\\[0.5em]\therefore
x^2+2x-15&=0\\[1em]-x^2-2x+15\geqq0すなわち-5\leqq
x\leqq3のとき\\ |-x^2-2x+15|&=-x^2-2x+15\\[0.5em]\therefore
-x^2-2x+15&=0\end{align*}
となります。
この場合分けの$x$の範囲と$-6<x<3$の共通範囲は
\begin{align*}-6<x<3かつx<-5,3<x\ &\Longrightarrow\
-6<x<-5\\[1em]-6<x<3かつ-5\leqq x\leqq3\
&\Longrightarrow\ -5\leqq x<3\end{align*}
それぞれの場合における方程式を解くと
\begin{align*}-6<x<-5のとき\\
x^2+2x-15&=0\\[0.5em](x+5)(x-3)&=0\\[0.5em]x&=-5,3\tag{範囲外のため不適}\\[1em]-5\leqq
x<3のとき\\
-x^2-2x+15&=0\\[0.5em]-(x+5)(x-3)&=0\\[0.5em]x&=-5,3\\[0.5em]x&=-5&(\because-5\leqq
x<3)\end{align*}
となるため$-6<x<3$における解は$x=-5$となります。
$x\leqq-6,3\leqq x$のとき
絶対値記号を外すと方程式は
\begin{align*}x^2+4x-21<0すなわち-7<x<3のとき\\
|x^2+4x-21|&=-(x^2+4x-21)\\[0.5em]=-x^2-4x+21\\[0.5em]\therefore
-x^2-4x+21&=0\\[1em]x^2+4x-21\geqq0すなわちx\leqq-7,3\leqq
xのとき\\ |x^2+4x-21|&=x^2+4x-21\\[0.5em]\therefore
x^2+4x-21&=0\end{align*}
となります。
この場合分けの$x$の範囲と$x\leqq-6,3\leqq x$の共通範囲は
\begin{align*}x\leqq-6,3\leqq xかつ-7<x<3\
&\Longrightarrow\ -7<x\leqq6\\[1em]\leqq-6,3\leqq
xかつx\leqq-7,3\leqq x\ &\Longrightarrow\ x\leqq-7,3\leqq
x\end{align*}
それぞれの場合における方程式を解くと
\begin{align*}-7<x\leqq-6のとき\\
-x^2-4+21&=0\\[0.5em]-(x+7)(x-3)&=0\\[0.5em]x&=-7,3\tag{範囲外のため不適}\\[1em]x\leqq-7,3\leqq
xのとき\\
x^2+4x-21&=0\\[0.5em](x+7)(x-3)&=0\\[0.5em]x&=-7,3\end{align*}
となるため$x\leqq -6,3\leqq x$における解は$x=-7,3$となります。
(2023/10)修正しました。
Share: