「次の2次不等式を解け。
(1)x2−3x−18<0
(2)x2+6x+8≧0
(3)−x2+2x−3<0
(4)x2−4x+5≦0」
これらの2次不等式はどのように解けばよいでしょうか?
2次不等式は因数に着目して解を求める方法とグラフから解を求める方法があります。
この2通りの方法で2次不等式を解いてみます。
(1)x2−3x−18<0
1. 因数に着目して解を求める方法
左辺を因数分解すると
(x+3)(x−6)<0
となります。
左辺は負であるから、掛けて負となる条件を考えると
(正)×(負)=(負)(負)×(正)=(負)
より「
x+3>0かつ
x−6<0 …(a)」、「
x+3<0かつ
x−6>0
…(b)」の2通りが考えられます。
ここで、3>−6よりx+3>x−6なので、(b)は不適。
したがって、「x+3>0かつx−6<0 …(a)」を満たすxを求めます。
x+3>0x>−3⋯(c)x−6<0x<6⋯(d)
(c)かつ(d)なので求める
xの範囲は
−3<x<6となります。
2. グラフを利用して解を求める方法
グラフを利用するときは、2次不等式を「y=x2−3x−18かつy<0」というように分解して考えます。
y=x2−3x−18のグラフを描くと上図のようになります。因数分解すると
y=(x+3)(x−6)ですから、x軸との共有点のx座標は
−3と
6であることがわかります。
問題の不等式はこのグラフの
y<0、すなわち
yが負となる部分のことを表しているので、この部分が存在する
xの範囲はグラフより
−3<x<6となります。
y=0はyの範囲に含まれないので求めるxの範囲にもx=−3,6は含まれない点には気をつけてください。
(2)x2+6x+8≧0
1.
左辺を因数分解すると
(x+4)(x+2)≧0
となります。
これは「(x+4)(x+2)>0または(x+4)(x+2)=0」と分けて考えれば、おのおのから導き出される条件より不等式が満たすxの範囲を求めることができます。
しかし、
2次不等式を解くで紹介している通り、「
x+4≦0かつ
x+2≦0 …(c)」、「
x+4≧0かつ
x+2≧0
…(d)」の2通りに分けて考えることができます。
(c)の場合:
x+4≦0x≦−4⋯(e)x+2≦0x≦−2⋯(f)
(e)かつ(f)なので、
x≦−4 …(c)'となります。
(d)の場合:
x+4≧0x≧−4⋯(g)x+2≧0x≧−2⋯(h)
(g)かつ(h)なので、
x≧−2 …(d)'となります。
求めるxの範囲は(c)'または(d)'なので、x≦−4,−2≦xとなります。
2.
不等式を「y=x2+6x+8かつy≧0」というように分解します。
y=x2+6x+8のグラフは上図のようになります。
問題の不等式は
yが
0以上になる部分を表しているので、その様になっている部分の
xの範囲は
x≦−4,−2≦xとなります。
(3)−x2+2x−3<0
1.
左辺は実数の範囲で因数分解できません。
なので、左辺を平方完成してみます。
−(x2−2x)−3=−{(x2−2x+1)−1}−3=−(x2−2x+1)−2=−(x−1)2−2
ここで、2乗した数は0以上となるので−(x−1)2≦0となります。そして、−2は負の数であるから常に−(x−1)2−2<0です。
xの値に関係なく不等式は常に成り立つので、解はすべての実数となります。
2.
y=−x2+2x−3のグラフは上図のようになります。
x軸とは共有点を持たないので、yは常に負となります。
問題の不等式は
yが負となっている部分を表しているので、その様になっている部分の
xの範囲はすべての実数となります。
(4)x2−4x+5≦0
1.
これも左辺は実数の範囲で因数分解できません。
左辺を平方完成すると
(x2−4x)+5={(x2−4x+4)−4}+5=(x2−4x+4)+1=(x−2)2+1
(x−2)2≧0なので、常に(x−2)2+1>0です。
左辺が0以下になることはないので不等式が成り立つことはありません。したがって、解はありません。
2.
y=x2−4x+5のグラフは上図のようになります。
x軸とは共有点を持たないので、yは常に正となります。
問題の不等式はyが0以下になっている部分を表していますが、そのような部分はないので不等式を満たすxの範囲はありません。