円に内接する四角形の4辺の長さがわかっているとき、この四角形の面積Sは
S=√(s−a)(s−b)(s−c)(s−d)ただし、s=a+b+c+d2
で求めることができます。この式をブーラマグプタの公式と呼びます。
なぜこの式で面積を求めることができるのでしょうか?
対角線ACを引き、その長さをeとおくと、余弦定理より
△ABCにおいて
△ABCにおいて
e2=a2+b2−2abcosθ
△CDAにおいて
e2=c2+d2−2cdcos(180°−θ)
となります。
ここで、三角関数の性質よりcos(180°−θ)=−cosθなので、(2)は
e2=c2+d2−2cd(−cosθ)=c2+d2+2cdcosθ
となります。
(1),(3)を連立してcosθについて解くと
a2+b2−2abcosθ=c2+d2+2cdcosθ2(ab+cd)cosθ=a2+b2−c2−d2cosθ=a2+b2−c2−d22(ab+cd)
□ABCDの面積をSとすると
S=△ABC+△CDA=12absinθ+12cdsin(180°−θ)
となります。
ここで、三角関数の性質よりsin(180°−θ)=sinθなので、
S=12absinθ+12cdsinθ=12(ab+cd)sinθ
また、三角関数の相互関係sin2θ+cos2θ=1より、0°<θ<180°のときsinθ=√1−cos2θなので、
S=12(ab+cd)√1−cos2θ
となります。
これに(4)を代入して
S=12(ab+cd)√1−(a2+b2−c2−d22(ab+cd))2=12(ab+cd)√4(ab+cd)2−(a2+b2−c2−d2)24(ab+cd)2=12(ab+cd)⋅12(ab+cd)√4(ab+cd)2−(a2+b2−c2−d2)2=14√4(ab+cd)2−(a2+b2−c2−d2)2=14√{2(ab+cd)−(a2+b2−c2−d2)}⋅{2(ab+cd)+(a2+b2−c2−d2)}=14√{(c2+2cd+d2)−(a2−2ab+b2)}⋅{(a2+2ab+b2)−(c2−2cd+d2)}=14√{(c+d)2−(a−b)2}⋅{(a+b)2−(c−d)2}=14√{(c+d)−(a−b)}{(c+d)+(a−b)}⋅{(a+b)−(c−d)}{(a+b)+(c−d)}=14√(−a+b+c+d)(a−b+c+d)⋅(a+b−c+d)(a+b+c−d)=14√{(a+b+c+d)−2a}{(a+b+c+d)−2b}⋅{(a+b+c+d)−2c}{(a+b+c+d)−2d}
※5行目から根号内で改行しています。
ここで、s=a+b+c+d2とおくと
S=14√(2s−2a)(2s−2b)(2s−2c)(2s−2d)=14√2(s−a)⋅2(s−b)⋅2(s−c)⋅2(s−d)=14√16(s−a)(s−b)(s−c)(s−d)=14⋅4√(s−a)(s−b)(s−c)(s−d)=√(s−a)(s−b)(s−c)(s−d)
となります。
式の形や導出過程がヘロンの公式と似ています。
辺AB, BC, CD, DAと内接円の接点をそれぞれE, F, G,
Hとすると、2本の接線の交点から接点までの距離は等しいので、各線分の長さを
{AE=HA=wEB=BF=xFC=CG=yGD=DH=z
とすると
{a=w+xb=x+yc=y+zd=z+w
また、a+b+c+d=2w+2x+2y+2zよりs=w+x+y+zなので、ブラーマグプタの公式に代入すると
S=√{(w+x+y+z)−(w+x)}{(w+x+y+z)−(x+y)}⋅{(w+x+y+z)−(y+z)}{(w+x+y+z)−(z+w)}=√(y+z)(z+w)(w+x)(x+y)=√cdab=√abcd
となります。
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