最大値や最小値が「ない」ときとはどのようなときなのでしょうか?
まず、最大値と最小値の意味について確認します。
最大値とは「これより大きくなることがない限界となる値」、最小値とは「これより小さくなることがない限界となる値」のことです。
範囲に端がないとき
この例題の場合、が小さくなるとは大きくなります。つまり、が果てしなく小さくなれるということはは果てしなく大きくなれるということなので、これが限界だといえる値がありません。
したがって、最大値はありません。
このように定義域に端がないと最大値や最小値が存在しないときがあります。2次関数の頂点のように関数自体に定義域の端以外で最大や最小となるような特徴がない限り最大値や最小値は存在しません。
定義域が等号なし不等号であるとき
定義域には等号付きでない不等号が使われています。
等号付き不等号のが定義域の場合、における最小値は定義域の端ののときのになるのですが、例題の定義域にはが含まれていないため、最小となるときのの値は未満でに最も近い数となりそうです。
するとという小数点以下にが無数に並ぶ数(循環小数の記法に従えば)になりそうですが、ここで問題が起きます。
したがって、は未満でに最も近い数ではないこと、小数部分のは無限に続かないことがわかります。
そこで、「未満でに最も近い数とはなにか?」について考えます。
例えば、の小数点以下のどこかの桁をに置き換えた数というものが考えられます。
最も小さい桁をに置き換えた数が最もに近いといえるのですが、は小数点以下の桁が無限に続くので一番小さい桁というものがないので置き換えることができません。
また、どこかの桁をに置き換えたとしても、より小さい桁をに置き換えた数を提示できる以上はっきりと未満でに最も近い数を提示することは不可能です。
今度はの小数部分のは無限に続かないという点から「が何桁続くのか?」というアプローチで考えてみます。言い換えると「1桁を加えることでになる数はなにか?」です。
しかし、はが無限に続くので、桁に限りのあるどんな数に1桁を加えてもになるはずはありません。
したがって、そんな数は存在しないことになります。
このように定義域の等号付きでない不等号が使われているほうの端で最小となりそうなとき、その定義域の端のの値がわからないので最小値となるであろうの値も求めることができません。これは最大値の場合でも同様です。