limx→∞(x−x2)limx→∞(x−x2)
この極限はどうなるでしょうか?
このまま極限を計算しようとするとx→∞x→∞のときx2→∞x2→∞なので、
limx→∞(x−x2)=∞−∞limx→∞(x−x2)=∞−∞
となります。これは一例ですが∞−∞∞−∞は不定形と呼ばれるもので、この状態では極限値を求めることはできません。
まず極限とはなにか?について考えます。
limx→af(x)=blimx→af(x)=b
とは”xxが限りなくaaに近づいたとき、f(x)f(x)はbbに近づく”と説明されます。
「限りなく」とか「近づく」という言葉が使われています。これは極限が、ある値だけを代入するのではなく、ある値の周辺の値を代入してみてその変化からある値のときにどんな値になるのかを考えるものだからです。
について考えます。
この極限は"xxが限りなく大きくなったらx2x2は何に近づく?"を意味していることになります。
なので、xxにどんどん大きな値を代入していき、x2x2の変化を見てみます。
x=100x2=1002=10000x=1000x2=10002=1000000x=10000x2=100002=100000000⋮x=100x2=1002=10000x=1000x2=10002=1000000x=10000x2=100002=100000000⋮
このようにxxの値が大きくなるにつれてx2x2のとる値も大きくなっていきます。
この場合、x2x2の値は1つに定まらないため極限値は持たないものの、限りなく大きくなるため正の無限大に発散し、
limx→∞x2=∞limx→∞x2=∞
のように書くことができます。
同様にしてlimx→∞(x−x2)limx→∞(x−x2)について考えます。
x=100x−x2=100−10000=−9900x=1000x−x2=1000−1000000=−999000x=10000x−x2=10000−100000000=−99990000⋮x=100x−x2=100−10000=−9900x=1000x−x2=1000−1000000=−999000x=10000x−x2=10000−100000000=−99990000⋮
00に近づくどころかどんどん小さくなっていきます。これはxxが11より大きいときx2x2はより大きく増加するためです。(下図参照)
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図 グラフで見るxxとx2x2の増加量の違い |
上記よりやはり0⋅∞=0は正しいのでは?と思うかもしれません。
しかし、
limx→0xx
という極限を考えたとき、
limx→0xx=limx→0(x⋅1x)=0⋅∞
とすれば同じ不定形となりますが、不定形を解消すると
limx→0xx=limx→01=1
となり、必ずしも0⋅∞=0とはならないことがわかります。
したがって、0⋅∞も不定形であることがわかります。