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2022年6月12日

連続する3つの整数の積はなぜ6の倍数なのか?

 連続する3つの整数の積はなぜ6の倍数になるのでしょうか?


 連続する3つの整数の積が6の倍数になるのは3つの整数のうち2の倍数(偶数)と3の倍数がそれぞれ少なくとも1つでも含まれるときです。
なので、連続する3つの整数には必ず2の倍数と3の倍数が含まれることを確かめます。

\[\large\cdots,\dot{0},1,\dot{2},3,\dot{4},5,\dot{6},7,\cdots\]
連続する整数の中で2の倍数は2つごとに現れます。
\[\large\cdots,\dot{0},1,2,\dot{3},4,5,\dot{6},7,\cdots\]
また、連続する整数の中で3の倍数は3つごとに現れます。
したがって、どのように連続する3つの整数をとっても必ず1つは2の倍数と3の倍数が含まれるため連続する3つの整数の積は6の倍数となります。

 連続する整数の中で4の倍数は4つごと、5の倍数は5つごとに現れる、のように他の倍数についても同様のことが言え、連続する$n$個の整数の中には連続する2個の整数から$n-1$個の整数までをも含んでいるため「連続する$n$個の整数の積は$n!$の倍数($n,n-1,\cdots,3,2$の公倍数)になる」ということができます。

 数式をもちいて以下のように確かめることができます。
連続する3つの整数のうち中央の整数に着目し、任意の整数$n$とその前後の整数の積
\[(n-1)n(n+1)=n^3-n\tag{a}\]
を考え、これが6の倍数であることを確かめます。

ここで、すべての整数は2で割ったときの余りが$0,1$のいずれかとなります。任意の2の倍数を$2k$とすれば、余りが$1$となる整数は$2k+1$と書けます。
同様に、すべての整数は3で割ったときの余りが$0,1,2$のいずれかとなります。任意の3の倍数を$3k$とすれば、余りが$1$、余りが$2$となる整数はそれぞれ$3k+1,\ 3k+2$と書けます。
このことから$\text{(a)}$の$n$に$2k,2k+1$をそれぞれ代入したときに2の倍数であることがわかれば、すべての整数に対して$\text{(a)}$が2の倍数、$3k,3k+1,3k+2$をそれぞれ代入したときに3の倍数であることがわかれば、すべての整数に対して$\text{(a)}$が3の倍数になることを示すことができ、$\text{(a)}$が2の倍数かつ3の倍数ならば$\text{(a)}$は6の倍数となることがわかります。

連続する3つの整数の積は2の倍数か?

$n=2k$のとき

\begin{align*}(2k)^3-2k&=8k^3-2k\\[0.5em]&=2k(2k^2-1)\end{align*}
$k(2k^2-1)$は整数なので$2k(2k^2-1)$は2の倍数であることがわかります。

$n=2k+1$のとき

\begin{align*}(2k+1)^3-(2k+1)&=8k^3+6k^2+10k\\[0.5em]&=2k(4k^2+3k+5)\end{align*}
$k(4k^2+3k+5)$は整数なので$2k(4k^2+3k+5)$は2の倍数であることがわかります。

したがって連続する3つの整数の積は2の倍数となることを示すことができました。


連続する3つの整数の積は3の倍数か?

$n=3k$のとき

\begin{align*}(3k)^3-3k&=27k^3-3k\\[0.5em]&=3k(9k^2-1)\end{align*}
$k(9k^2-1)$は整数なので$3k(9k^2-1)$は3の倍数であることがわかります。

$n=3k+1$のとき

\begin{align*}(3k+1)^3-(3k+1)&=27k^3+27k^2+6k\\[0.5em]&=3k(9k^2+9k+2)\end{align*}
$k(9k^2+9k+2)$は整数なので$3k(9k^2+9k+2)$は3の倍数であることがわかります。

$n=3k+2$のとき

\begin{align*}(3k+2)^3-(3k+2)&=27k^3+54k^2+33k+6\\[0.5em]&=3(9k^3+18k^2+11k+2)\end{align*}
$9k^3+18k^2+11k+2$は整数なので$3(9k^3+18k^2+11k+2)$は3の倍数であることがわかります。

したがって連続する3つの整数の積は3の倍数となることを示すことができました。

以上より$\text{(a)}$は2の倍数かつ3の倍数であるから連続する3つの整数の積は6の倍数であることがわかります。


ちなみに、中央の数に着目しない場合でも

最初の数に着目した場合

\begin{align*}n(n+1)(n+2)&=n^3+3n^2+2n\\[0.5em]&=(n^3-n)+(3n^2+3n)\\[0.5em]&=(n-1)n(n+1)+3n(n+1)\end{align*}

最後の数に着目した場合

\begin{align*}(n-2)(n-1)n&=n^3-3n^2+2n\\[0.5em]&=(n^3-n)-(3n^2-3n)\\[0.5em]&=(n-1)n(n+1)+3(n-1)n\end{align*}
のように書け、$(n-1)n(n+1)$は上記より6の倍数で$n(n+1),(n-1)n$は連続する2つの整数の積なので$3n(n+1),3(n-1)n$もまた6の倍数となり、同様に6の倍数であることを確かめることができます。

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