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2023年11月13日

公約数についてこれは正しい?

「『約数はある整数を割り切ることができる整数のことなので、整数$A$の約数$g$は
\[\frac{A}{g}=N\quad(N:整数)\]
を満たす整数$g$のことであるといえる。であれば2つの整数$A,B$の公約数は
\[\frac{AB}{g^2}=N\]
を満たす整数$g$のことである。』
これは正しいか?」

 公約数は2つの整数の約数の中で共通するもののことをいうので、整数$A,B$の公約数を$g$とすると
\begin{align*}\frac{A}{g}&=m\tag1\\[1em]\frac{B}{g}&=n\tag2\\ &(m,n:整数)\end{align*}
が成り立ちます。
$(1),(2)$の辺々を掛け合わせると
\begin{align*}\frac{A}{g}\cdot\frac{B}{g}&=mn\\[0.5em]\frac{AB}{g^2}&=mn\end{align*}
$mn=N$とおけば
\[\frac{AB}{g^2}=N\]
となるので、正しいように思えます。

 しかし、正しいかを問われているのはこのことではありません。
上で書いたのは、整数$A,B$の公約数が$g$ならば
\[\frac{AB}{g^2}=N\quad(N:整数)\]
が成り立つ、ということです。
一方、正しいか問われているのは、
\[\frac{AB}{g^2}=N\quad(N:整数)\]
が成り立てば整数$g$が整数$A,B$の公約数である、ということでそれぞれの主張は互いに逆の命題となります。

 後者が正しいかは以下のような場合を考えることで明らかになります。
整数$A$の約数を$g^2$、整数$B$の約数はどの整数にも存在する$1$とします。
すると、それぞれ
\begin{align*}\frac{A}{g^2}&=m\tag3\\[1em]\frac{B}{1}&=B\tag4\end{align*}
が成り立ちます。
$(3),(4)$の辺々を掛け合わせると
\begin{align*}\frac{A}{g^2}\cdot\frac{B}{1}&=mB\\[0.5em]\frac{AB}{g^2}&=mB\end{align*}
$nmB=N$とおけば
\[\frac{AB}{g^2}=N\]
となります。
これは$B$が$g$が約数でない整数であっても成り立つので、必ずしも$g$が整数$A,B$の公約数であるわけではありません。
したがって、答えは正しくないとなります。

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