「次の1次不定方程式の整数解をすべて求めよ。
(1)37x+42y=337x+42y=3
(2)84x−56y=2184x−56y=21
(3)39x+52y=1239x+52y=12」
x,yx,yの係数が小さい場合は1つ目の整数解を簡単に見つけられますが、係数が大きくなると整数解を求めるのは難しくなります。
このような場合に1つ目の整数解を求めるにはユークリッドの互除法を利用します。
(1)37x+42y=337x+42y=3
1次不定方程式のx,yx,yの係数は互いに素である場合とそうでない場合の2通りが存在します。
(1)(1)の解き方はx,yx,yの係数は互いに素である場合です。
(1)(1)の解き方はx,yx,yの係数は互いに素である場合です。
ユークリッドの互除法をもちいてx,yx,yの係数の最大公約数を求めます。
42÷37=1 余り537÷5=7 余り25÷2=2 余り142÷37=1 余り537÷5=7 余り25÷2=2 余り1(a)(b)(c)
互除法で余りが11になるのは2つの数が互いに素(最大公約数が11)である場合だけです。なので、余りに11が現れた時点で終わります。
(a),(b),(c)(a),(b),(c)を積と和の式に書き換え、右辺が余りだけになるように変形します。このとき、××は残しておきます。(×1×1の場合は消しても構いません。)
(a):42=37×1+542−37=5(b):37=5×7+237−5×7=2(c):5=2×2+15−2×2=1(a):42=37×1+542−37=5(b):37=5×7+237−5×7=2(c):5=2×2+15−2×2=1(a)'(b)'(c)'
(c)'(c)'に(a)',(b)'(a)',(b)'を代入し、左辺がx,yx,yの係数それぞれの倍数の和または差、右辺が11の式をつくります。(1)(1)の場合は1次不定方程式の左辺が3737の倍数と4242の倍数の和なので同様にします。ただし、代入をするのは商にあたる数以外の赤、青、緑に着色した数に対してのみです。
(c)'(c)'に(b)'(b)'を代入すると
5−(37−5×7)×2=15−37×2+5×14=1(5+5×14)−37×2=15×(1+14)−37×2=15×15−37×2=15−(37−5×7)×2=15−37×2+5×14=1(5+5×14)−37×2=15×(1+14)−37×2=15×15−37×2=1
さらに(a)'(a)'を代入すると
(42−37)×15−37×2=142×15−37×15−37×2=142×15+37×(−15−2)=142×15+37×(−17)=137×(−17)+42×15=1(42−37)×15−37×2=142×15−37×15−37×2=142×15+37×(−15−2)=142×15+37×(−17)=137×(−17)+42×15=1
となり、問の1次不定方程式に近い形となります。
右辺は33なので、両辺に33を掛けますが、x,yx,yそれぞれの係数である37,4237,42は変わらないようにします。
{37×(−17)+42×15}×3=1×337×(−17)×3+42×15×3=337×(−51)+42×45=3{37×(−17)+42×15}×3=1×337×(−17)×3+42×15×3=337×(−51)+42×45=3(d)
この式より整数解の1つはx=−51,y=45x=−51,y=45であることがわかります。
問の1次不定方程式と(d)(d)の辺々を引くと
37(x+51)=−42(y−45)37(x+51)=−42(y−45)
となります。
3737と4242が互いに素であることはすでにわかっているので、3737と−42−42も互いに素であることがわかります。
このことから、この等式が成り立つ条件は両辺が因数に37,−4237,−42と任意の整数をもつことなので、任意の整数にkkをもちいて
37x+42y=3−)37×(−51)+42×45=337(x+51)+42(y−45)=037x+42y=3−)37×(−51)+42×45=337(x+51)+42(y−45)=0
となり、さらに変形すると37(x+51)=−42(y−45)37(x+51)=−42(y−45)
となります。
3737と4242が互いに素であることはすでにわかっているので、3737と−42−42も互いに素であることがわかります。
このことから、この等式が成り立つ条件は両辺が因数に37,−4237,−42と任意の整数をもつことなので、任意の整数にkkをもちいて
{x+51=−42ky−45=37k{x+51=−42ky−45=37k
となります。これらの式を整理すればすべての整数解は
x=−42k−51,y=37k+45x=−42k−51,y=37k+45
であることがわかります。
また、両辺のkk以外の積が正となるように
{x+51=42ky−45=−37k{x+51=42ky−45=−37k
として、すべての整数解を
x=42k−51,y=−37k+45x=42k−51,y=−37k+45
とすることもできます。
(2)84x−49y=2184x−49y=21
x,yx,yの係数が互いに素でない場合にはさらに2通りの場合があります。
(2)(2)はそのうちの1つです。
(2)(2)はそのうちの1つです。
ユークリッドの互除法をもちいてx,yx,yの係数の最大公約数を求めます。yyの係数は−56−56ですが、正負は無視して5656として構いません。
84÷49=1 余り3549÷35=1 余り1435÷14=2 余り714÷7=2 余り084÷49=1 余り3549÷35=1 余り1435÷14=2 余り714÷7=2 余り0
互除法で余りが00になったときの割る数77が8484と4949の最大公約数です。
さらに8484と4949の最大公約数77と定数項2121の最大公約数を求めます。
2121は77の倍数なので、77と2121の最大公約数は77であることがわかります。
これはすなわち84,49,2184,49,21の最大公約数が77であるということなので、両辺を77で割ります。
12x−7y=312x−7y=3
問の1次不定方程式の整数解はこれの整数解でもあるので、これを解きます。
(1)(1)と同様にx,yx,yの係数の最大公約数を求めます。
12÷7=1 余り57÷5=1 余り25÷2=2 余り112÷7=1 余り57÷5=1 余り25÷2=2 余り1(e)(f)(g)
1212と77が互いに素であることがわかります。
(e),(f),(g)(e),(f),(g)を積と和の式に書き換え、右辺が余りだけになるように変形します。
(e):12=7×1+512−7=5(f):7=5×1+27−5=2(g):5=2×2+15−2×2=1(e):12=7×1+512−7=5(f):7=5×1+27−5=2(g):5=2×2+15−2×2=1(e)'(f)'(g)'
(g)'(g)'に(e)',(f)'を代入すると
5−(7−5)×2=15+5×2−7×2=15×3−7×2=1(12−7)×3−7×2=112×3−7×3−7×2=112×3−7×5=1
両辺に3を掛けると
(12×3−7×5)×3=1×312×3×3−7×5×3=312×9−7×15=3
この式より整数解の1つはx=9,y=15であることがわかります。
12x−7y=3と(h)の辺々を引くと
12x−7y=3−)12×9−7×15=312(x−9)−7(y−15)=0
となり、さらに変形すると
12(x−9)=7(y−15)
12と7は互いに素なので、この等式が成り立つ条件は任意の整数kをもちいて
{x−9=7ky−15=12k
となるので、これを整理してすべての整数解は
x=7k+9,y=12k+15
であることがわかります。
このようにx,yの係数が互いに素ではない場合、x,yの係数と定数項の最大公約数で方程式の両辺を割ることで、より簡単な形に直すことができるときがあります。
(3)39x+52y=12
(3)もx,yの係数が互いに素でない場合ですが、(2)とは違う結果となります。
ユークリッドの互除法をもちいてx,yの係数の最大公約数を求めます。
52÷39=1 余り1339÷13=3 余り0
x,yの係数の39と52の最大公約数は13であることがわかります。
今度は39と52の最大公約数13と定数項12の最大公約数を求めますが、これは1です。すなわち13と12は互いに素であることがわかります。
すると、問の1次不定方程式は以下のように変形できます。
13(3x+4y)=12
x,yは整数なので3x+4yも整数であり、左辺13(3x+4y)は13の倍数です。
しかし、右辺12は13の倍数ではありません。
したがって、問の1次不定方程式を成り立たせることができる整数x,yは存在しない、すなわち整数解は存在しません。
このようにx,yの係数の最大公約数が1でなく(互いに素でない)、かつその最大公約数と定数項が互いに素であるとき、整数解は存在しません。
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