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2024年12月15日

倍数を互いに素な自然数で割ったときの余りの性質

 互いに素な整数Aと自然数Bについて
A,2A,,(B1)A,BAをそれぞれBで割ったときの余りを一列に並べたものは0,1,,B2,B1の並び替えである
という性質があります。

これが成り立つことを確かめてみます。


 上記の性質はA,2A,,(B1)A,BAB個のAの倍数をそれぞれBで割ったときにどの余りも重複しないことを主張しています。
そこで、上記の性質があることを確かめるために1以上B以下の自然数m,n(ただし、m>n)をもちいて表されるAの倍数mA,nAそれぞれBで割ったときの余りが等しいと仮定します。
mABで割ったときの商をs、余りをr1とすると
mA=sB+r
と書け、変形すると
r1=mAsB
となります。
同様にnABで割ったときの商をt、余りをr2とすると
r2=nAtB
と書けます。
仮定よりr1=r2なので
mAsB=nAtB
であり、
mAnA=sBtB(mn)A=(st)B
となります。
A,Bは互いに素なのでmnBの倍数であることがわかります。
しかし、m,n1以上B1以下の自然数かつm>nなのでmnBの倍数になることはありません。
1mB, 1nB1BmnB1
m>nよりmn>0なので
0<mnB1
mnB1以下の自然数なのでBの倍数でない。

したがって、仮定は誤り、すなわちA,2A,,(B1)A,BAをそれぞれBで割ったときに等しい余りが現れないことがわかります。

ところで、整数をBで割ったときの余りは0,1,,B2,B1B個の中のいずれか1つです。

上記のことから、A,2A,,(B1)A,BAB個のAの倍数をそれぞれBで割ったときの余りは0,1,,B2,B1B個の中から重複せずに1つずつ現れる、すなわち
A,2A,,(B1)A,BAをそれぞれBで割ったときの余りを一列に並べたものは0,1,,B2,B1の並び替えである
という性質があることがわかります。

 互いに素な整数Aと自然数Bについて
連続したB個のAの倍数をそれぞれBで割ったときの余りを一列に並べたものは0,1,,B2,B1の並び替えである
という性質があることも同様の方法で確かめることもできます。
k以上B+k1以下の整数m,nk:任意の整数;m>n)をもちいて表されるAの倍数mA,nAそれぞれBで割ったときの余りが等しいと仮定します。
mA,nAそれぞれについて
r1=mAsBr2=nAtB
と書けます。
仮定よりr1=r2なので
mAnA=sBtB(mn)A=(st)B
A,Bは互いに素なのでmnBの倍数であることがわかります。
しかし、m,nk以上B+k1以下の整数かつm>nなのでmnBの倍数になることはありません。
kmB+k1, knB+k11BmnB1
m>nよりmn>0なので
0<mnB1
mnB1以下の自然数なのでBの倍数でない。
したがって、仮定は誤り、すなわち
連続したB個のAの倍数をそれぞれBで割ったときの余りを一列に並べたものは0,1,,B2,B1の並び替えである
という性質があることがわかります。

 では、Bで割ったときの余りが等しくなるAの倍数の条件は何でしょうか?
任意の整数m,n(ただし、m>n)をもちいて表されるAの倍数A,nAそれぞれについて
r1=mAsBr2=nAtB
と書けます。
r1=r2のとき
mAnA=sBtB(mn)A=(st)B
A,Bは互いに素なのでmnBの倍数であることがわかります。
したがって、Aの倍数mA,nAの差がBの倍数となるとき、Bで割ったときの余りが等しくなります。

これはすなわち、連続するAの倍数をそれぞれBで割ったときの余りを一列に並べると同じ余りがB1個おきに現れるということであり、0,1,,B2,B1を並び替えたものが繰り返し現れるということです。


22の倍数を13で割ったときの余りの表
例として連続した22の倍数(22kの項目)をそれぞれ13で割ったときの余り(mod 13の項目)を見てみると、13個の余りの並びは0,1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12を並び替えたもので、しかも繰り返し現れていることがわかります。

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