関数$y=f(x)$のグラフをx軸方向に$p$倍、y軸方向に$q$倍拡大・縮小したグラフの方程式は
\[\large y=q f\left(\frac{x}{p}\right)\qquad(p, q:実数; p, q\neq0)\]
となります。
ただし、$|p|>1$のときはx軸方向の拡大、
$0<|p|<1$のときはx軸方向の縮小を表し、
$|q|>1$のときはy軸方向の拡大、
$0<|q|<1$のときはy軸方向の縮小を表します。
x軸方向に拡大・縮小
まず、新しい座標を定義します。
通常の$xy$座標に対し
\begin{equation}\begin{cases}X=\dfrac{x}{p}\\[0.5em]Y=y\end{cases}\end{equation}
によって新しく$XY$座標を定めます。ただし、$p$は
正の実数とします。
この定義により、X軸の単位長さはx軸の単位長さの$p$倍となるため、同じ実数の組で表される座標は、
$xy$座標においては元の位置を表すとすると、
$XY$座標においては$xy$座標よりy軸から$p$倍離れた位置を表します。
また、$xy$平面上にX軸とY軸を表すと上図のようになります。X軸の目盛りの幅をx軸のものの$p$倍にするのがこの定義の役割となります。
新しい$XY$座標をもちいて描いた関数$Y=f(X)$のグラフは、$(1)$の$xy$座標と$XY$座標の関係より、元の$xy$座標における$y=f(x)$のグラフをx軸方向に$p$倍に長さが引き延ばされた(押し縮められた)形になります。以後、x軸方向の長さの引き延ばし・押し縮めのことを、x軸方向の拡大・縮小ということにします。
ただし、$p>1$のときは
x軸方向の拡大、
$0<p<1$のときは
x軸方向の縮小を表します。
$p=1$のときはx軸方向に拡大も縮小もしません。
ここで、グラフの方程式$Y=f(X)$は$xy$座標においてはどのように表されるのかを見てみましょう。
$xy$座標と$XY$座標には$(1)$の関係があるので、$Y=f(X)$に$(1)$を代入すれば$xy$座標におけるグラフの方程式が得られます。
したがって、$y=f(x)$のグラフをx軸方向に$p$倍拡大・縮小したグラフの方程式は
\[\large y=f\left(\frac{x}{p}\right)\]
と表されることがわかります。
$y=f(x)$のグラフをx軸方向に拡大・縮小することは、方程式上では
$x$を$\dfrac{x}{p}$に置き換える操作となります。
また、$p$は負の実数に拡張することもできます。
$p<0$のとき、$p=-|p|$と変形できることから、
\begin{align*}y&=f\left(\frac{x}{p}\right)\\[0.5em]&=f\left(\frac{x}{-|p|}\right)\\[0.5em]&=f\left(\frac{x}{-|p|}\cdot\frac{-1}{-1}\right)\\[0.5em]\therefore
y&=f\left(\frac{-x}{|p|}\right)\end{align*}
と書くことができます。
これは、$y=f(x)$のグラフをx軸方向に$|p|$倍拡大・縮小する$x$を$\dfrac{x}{|p|}$に置き換える操作
\[y=f(x)\ \longrightarrow\ y=f\left(\frac{x}{|p|}\right)\]
と、y軸に関して対称移動の$x$を$-x$に置き換える操作
\[y=f\left(\frac{x}{|p|}\right)\ \longrightarrow\
y=f\left(\frac{-x}{|p|}\right)\]
の結果得られる形であることがわかります。y軸に関して対称移動を先に行っても同様の形を得ます。
したがって、$p<0$のときは
y軸に関して対称移動とx軸方向に$|p|$倍拡大・縮小の合成であると考えることができます。
関数$y=f(x)$のグラフの各点のx軸方向の拡大・縮小による移動先が$y=f\left(\dfrac{x}{p}\right)$であることを確かめてみます。
$y=f(x)$の定義域内の$x=k$における点の座標は$\bigl(k,
f(k)\bigr)$で、これがx軸方向に$p$倍拡大・縮小によって移動した先は点$\bigl(pk,
f(k)\bigr)$です。
対して、$y=f\left(\dfrac{x}{p}\right)$の$x=pk$における点の座標を調べてみると$\bigl(pk,
f(k)\bigr)$となります。これは$y=f(x)$の$x=k$における点の移動先と一致します。
したがって、$y=f(x)$のグラフをx軸方向に$p$倍拡大・縮小したものは確かに$y=f\left(\dfrac{x}{p}\right)$と表せることがわかります。
また、x軸方向の拡大・縮小による移動先が元の位置と変わらないのはy軸上の点のみです。
したがって、y軸はx軸方向の拡大・縮小の中心であるといえます。
y軸方向に拡大・縮小
通常の$xy$座標に対し
\begin{equation}\begin{cases}X=x\\[0.5em]Y=\dfrac{y}{q}\end{cases}\end{equation}
によって新しく$XY$座標を定めます。ただし、$q$は
正の実数とします。
この定義により、Y軸の単位長さはy軸の単位長さの$q$倍となるため、同じ実数の組で表される座標は、
$xy$座標においては元の位置を表すとすると、
$XY$座標においては$xy$座標よりx軸から$q$倍離れた位置を表します。
また、$xy$平面上にX軸とY軸を表すと上図のようになります。Y軸の目盛りの幅をy軸のものの$q$倍にするのがこの定義の役割となります。
新しい$XY$座標をもちいて描いた関数$Y=f(X)$のグラフは、$(2)$の$xy$座標と$XY$座標の関係より、元の$xy$座標における$y=f(x)$のグラフをy軸方向に$q$倍に長さが引き延ばされた(押し縮められた)形になります。以後、y軸方向の長さの引き延ばし・押し縮めのことを、y軸方向の拡大・縮小ということにします。
ただし、$q>1$のときは
y軸方向の拡大、
$0<q<1$のときは
y軸方向の縮小を表します。
$q=1$のときはy軸方向に拡大も縮小もしません。
ここで、グラフの方程式$Y=f(X)$は$xy$座標においてはどのように表されるのかを見てみましょう。
$xy$座標と$XY$座標には$(2)$の関係があるので、$Y=f(X)$に$(2)$を代入すれば$xy$座標におけるグラフの方程式が得られます。
したがって、$y=f(x)$のグラフをy軸方向に$q$倍拡大・縮小したグラフの方程式は
\[\large \frac{y}{q}=f(x)\]
あるいは、両辺を$q$倍した
\[\large y=q f(x)\]
と表されることがわかります。
$y=f(x)$のグラフをy軸方向に拡大・縮小することは、方程式上では
$y$を$\dfrac{y}{q}$に置き換える操作となります。
また、$q$は負の実数に拡張することもできます。
$q<0$のとき、$q=-|q|$と変形できることから、
\begin{align*}y&=q f(x)\\[0.5em]&=-|q|
f(x)\\[0.5em]\frac{y}{-|q|}&=f(x)\\[0.5em]\therefore
\frac{-y}{|q|}&=f(x)\end{align*}
と書くことができます。
これは、$y=f(x)$のグラフをy軸方向に$|q|$倍拡大・縮小する$y$を$\dfrac{y}{|q|}$に置き換える操作
\[y=f(x)\ \longrightarrow\ \frac{y}{|q|}=f(x)\]
と、x軸に関して対称移動の$y$を$-y$に置き換える操作
\[\frac{y}{|q|}\ \longrightarrow\ \frac{-y}{|q|}=f(x)\]
の結果得られる形であることがわかります。x軸に関して対称移動を先に行っても同様の形を得ます。
したがって、$q<0$のときは
x軸に関して対称移動とy軸方向に$|q|$倍拡大・縮小の合成であると考えることができます。
関数$y=f(x)$のグラフの各点のy軸方向の拡大・縮小による移動先が$y=q
f(x)$であることを確かめてみます。
$y=f(x)$の定義域内の$x=k$における点の座標は$\bigl(k,
f(k)\bigr)$で、これがy軸方向に$q$倍拡大・縮小によって移動した先は点$\bigl(k,
q f(k)\bigr)$です。
対して、$y=q f(x)$の$x=k$における点の座標を調べてみると$\bigl(k, q
f(k)\bigr)$となります。これは$y=f(x)$の$x=k$における点の移動先と一致します。
したがって、$y=f(x)$のグラフをy軸方向に$q$倍拡大・縮小したものは確かに$y=q
f(x)$と表せることがわかります。
また、y軸方向の拡大・縮小による移動先が元の位置と変わらないのはx軸上の点のみです。
したがって、x軸はy軸方向の拡大・縮小の中心であるといえます。
x軸方向とy軸方向に拡大・縮小
通常の$xy$座標に対し
\begin{equation}\begin{cases}X=\dfrac{x}{p}\\[0.5em]Y=\dfrac{y}{q}\end{cases}\end{equation}
によって新しく$XY$座標を定めます。ただし、$p,
q$は
正の実数とします。
この定義により、X軸の単位長さはx軸の単位長さの$p$倍、Y軸の単位長さはy軸の単位長さの$q$倍となるため、同じ実数の組で表される座標は、
$xy$座標においては元の位置を表すとすると、
$XY$座標においては$xy$座標よりy軸から$p$倍、x軸から$q$倍離れた位置を表します。
また、$xy$平面上にX軸とY軸を表すと上図のようになります。X軸の目盛りの幅をx軸のものの$p$倍、Y軸の目盛りの幅をy軸のものの$q$倍にするのがこの定義の役割となります。
新しい$XY$座標をもちいて描いた関数$Y=f(X)$のグラフは、$(3)$の$xy$座標と$XY$座標の関係より、元の$xy$座標における$y=f(x)$のグラフをx軸方向に$p$倍、y軸方向に$q$倍拡大・縮小した形になります。
ここで、グラフの方程式$Y=f(X)$は$xy$座標においてはどのように表されるのかを見てみましょう。
$xy$座標と$XY$座標には$(3)$の関係があるので、$Y=f(X)$に$(3)$を代入すれば$xy$座標におけるグラフの方程式が得られます。
したがって、$y=f(x)$のグラフをx軸方向に$p$倍、y軸方向に$q$倍拡大・縮小したグラフの方程式は
\[\large \frac{y}{q}=f\left(\frac{x}{p}\right)\]
あるいは、両辺を$q$倍した
\[\large y=q f\left(\frac{x}{p}\right)\]
と表されることがわかります。
$y=f(x)$のグラフをx軸方向とy軸方向に拡大・縮小することは、方程式上では
$x$を$\dfrac{x}{p}$に、$y$を$\dfrac{y}{q}$に置き換える操作となります。
また、$p, q$は負の実数に拡張することもできます。
$p<0$かつ$q>0$のときはx軸方向に拡大・縮小の場合と同様に、y軸に関して対称移動をともなっている、
$p>0$かつ$q<0$のときはy軸方向の拡大・縮小の場合と同様に、x軸に関して対称移動をともなっていると考えることができます。
$p<0$かつ$q<0$のときは
\begin{align*}y&=-|q|
f\left(\frac{x}{-|p|}\right)\\[0.5em]&=-|q|
f\left(\frac{-x}{|p|}\right)\\[0.5em]\therefore\frac{-y}{|q|}&=f\left(\frac{-x}{|p|}\right)\end{align*}
と書くことができます。
これは、$y=f(x)$のグラフをx軸方向に$|p|$倍、y軸方向に$|q|$倍拡大・縮小する$x$を$\dfrac{x}{|p|}$に、$y$を$\dfrac{y}{|q|}$に置き換える操作
\[y=f(x)\ \longrightarrow\ \frac{y}{|q|}=f\left(\frac{x}{|p|}\right)\]
と、原点に関して対称移動の$x$を$-x$に、$y$を$-y$に置き換える操作
\[\frac{y}{|q|}=f\left(\frac{x}{|p|}\right)\ \longrightarrow\
\frac{-y}{|q|}=f\left(\frac{-x}{|p|}\right)\]
の結果得られる形であることがわかります。原点に関して対称移動を先に行っても同様の形を得ます。
したがって、$p<0$かつ$q<0$のときは
原点に関して対称移動とx軸方向に$|p|$倍、y軸方向に$|q|$倍拡大・縮小の合成と考えることができます。
関数$y=f(x)$のグラフの各点のx軸方向とy軸方向の拡大・縮小による移動先が$y=q
f\left(\dfrac{x}{p}\right)$であることを確かめてみます。
$y=f(x)$の定義域内の$x=k$における点の座標は$\bigl(k,
f(k)\bigr)$で、これがx軸方向に$p$倍、y軸方向に$q$倍拡大・縮小によって移動した先は点$\bigl(pk,
q f(k)\bigr)$です。
対して、$y=q
f\left(\dfrac{x}{p}\right)$の$x=pk$における点の座標を調べてみると$\bigl(pk,
q
f(k)\bigr)$となります。これは$y=f(x)$の$x=k$における点の移動先と一致します。
したがって、$y=f(x)$のグラフをx軸方向に$p$倍、y軸方向に$q$倍拡大・縮小したものは確かに$y=q
f\left(\dfrac{x}{p}\right)$と表せることがわかります。
また、x軸方向とy軸方向の拡大・縮小による移動先が元の位置と変わらないのは原点のみです。
したがって、原点はx軸方向とy軸方向の拡大・縮小の中心であるといえます。
ちなみに$p=q$のときはどの方向にも$|p|$倍の、すなわち通常の拡大・縮小を行っていることになり、このときの$y=f(x)$のグラフと$y=q
f\left(\dfrac{x}{p}\right)$のグラフは互いに相似の関係となります。
ここで、2点$(a, b), (c, d)$をとります。
これらの点がx軸方向とy軸方向に$p$倍拡大・縮小によって移動するのはそれぞれ$(pa,
pb), (pc, pd)$となります。
$(a, b), (c, d)$間の距離を$l_1$、$(pa, pb), (pc,
pd)$間の距離を$l_2$とすると、
\begin{align*}l_1&=\sqrt{(c-a)^2+(d-b)^2}\\[1em]l_2&=\sqrt{(pc-pa)^2+(pd-pb)^2}\\[0.5em]&=\sqrt{p^2(c-a)^2+p^2(d-b)^2}\\[0.5em]&=\sqrt{p^2\bigl\{(c-a)^2+(d-b)^2\bigr\}}\\[0.5em]\therefore
l_2&=|p|\sqrt{(c-a)^2+(d-b)^2}\end{align*}
となります。
$l_2=|p|l_1$より、どの2点間も移動後は距離が$|p|$倍される、すなわちどの方向にも$|p|$倍拡大・縮小していることがわかります。
したがって、x軸方向とy軸方向に$p$倍拡大・縮小することは、通常の拡大・縮小に等しいことがわかります。
ただし、前述したように$p<0$の場合は原点に関して対称移動もともないます。
関数$y=f(x)$のグラフに限らず平面図形や空間図形でもx軸方向に$p$倍、y軸方向に$q$倍(空間図形の場合はさらにz軸方向に$r$倍)拡大・縮小することは、方程式・不等式上では$x$を$\dfrac{x}{p}$に、$y$を$\dfrac{y}{q}$に(空間図形の場合はさらに$z$を$\dfrac{z}{r}$に)置き換える操作であることが同様に考えることで導けます。