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2024年12月9日

関数のグラフを伸び縮みさせる

 関数$y=f(x)$と$by=f(ax)$($a,b:$正実数)それぞれのグラフにはどのような違いがあるでしょうか?

$y=f(x)$と$y=f(ax)$のグラフ

 関数$y=f(x)$と$y=f(ax)$($a:$正実数)それぞれのグラフの違いを、$f(p)$となるときの$x,y$の組$(x,y)$を座標とする点同士を対応させることで調べてみます。

$y=f(x)$において、$f(p)$となるときとは$x=p$のときであり、$x=p$における点$\text{P}$の座標は$\bigl(p,f(p)\bigr)$となります。

$y=f(ax)$において、$f(p)$となるときとは$ax=p$すなわち$x=\dfrac{p}{a}$のときであり、$x=\dfrac{p}{a}$における点$\text{P'}$の座標は$\left(\dfrac{p}{a},f\left(\dfrac{p}{a}\right)\right)$となります。

同様に$f(q)$となるときの点を調べると、
$y=f(x)$において、$x=q$における点$\text{Q}$は$\bigl(q,f(q)\bigr)$となります。

$y=f(ax)$において、$ax=q$すなわち$x=\dfrac{q}{a}$における点$\text{Q'}$は$\left(\dfrac{q}{a},f(q)\right)$となります。


y=f(x)とy=f(ax)のグラフ a<0の場合
点$\text{P',Q'}$の座標はそれぞれ対応する点$\text{P,Q}$と等しいy座標をもちますが、x座標は$\dfrac{1}{a}$倍したものとなっています。
x座標の差に着目すると点$\text{P,Q}$は$q-p$、点$\text{P',Q'}$は$\dfrac{q}{a}-\dfrac{p}{a}=\dfrac{q-p}{a}$であり、$y=f(ax)$のグラフ上のどの2点間も$y=f(x)$のグラフ上の対応する2点間のx軸方向の開きを$\dfrac{1}{a}$倍したものとなることがわかります。

これはすなわち、$y=f(ax)$のグラフは$y=f(x)$のグラフをx軸方向に$\dfrac{1}{a}$倍の長さに引き伸ばした(押し縮めた)形をしていることになります。
$a<0$のときは引き伸ばし、$a>0$のときは押し縮めとなります。

対応する点の座標が一致する条件は$x=\dfrac{x}{a}$で、これを満たすのは$x=0$なので、$y=f(x)$と$y=f(ax)$の$x=0$における点は同一となります。

$y=f(x)$と$by=f(x)$のグラフ

 関数$y=f(x)$と$by=f(x)$($b:$正実数)それぞれのグラフの違いを、$f(p)$となるときの$x,y$の組$(x,y)$を座標とする点同士を対応させることで調べてみます。

先ほどと同様に$y=f(x)$において、$f(p)$となるときとは$x=p$のときであり、$x=p$における点$\text{P}$の座標は$\bigl(p,f(p)\bigr)$となります。

$by=f(x)$においても$f(p)$となるときとは$x=p$のときです。
両辺を$b$で割ると$y=\dfrac{f(x)}{b}$となることより、$x=p$における点$\text{P''}$の座標は$\left(p,\dfrac{f(p)}{b}\right)$となります。

同様に$f(q)$となるときの点を調べると、
$y=f(x)$において、$x=q$における点$\text{Q}$は$\bigl(q,f(q)\bigr)$となります。

$by=f(x)$において、$x=q$における点$\text{Q''}$は$\left(q,\dfrac{f(q)}{b}\right)$となります。


y=f(x)とby=f(x)のグラフ b<0の場合
点$\text{P'',Q''}$の座標はそれぞれ対応する点$\text{P,Q}$と等しいx座標をもちますが、y座標は$\dfrac{1}{b}$倍したものとなっています。
y座標の差に着目すると点$\text{P,Q}$は$f(q)-f(p)$、点$\text{P'',Q''}$は$\dfrac{f(q)}{b}-\dfrac{f(p)}{b}=\dfrac{f(q)-f(p)}{b}$であり、$by=f(x)$のグラフ上のどの2点間も$y=f(x)$のグラフ上の対応する2点間のy軸方向の開きを$\dfrac{1}{b}$倍したものとなることがわかります。

これはすなわち、$by=f(x)$のグラフは$y=f(x)$のグラフをy軸方向に$\dfrac{1}{b}$倍の長さに引き伸ばした(押し縮めた)形をしていることになります。
$b<0$のときは引き伸ばし、$b>0$のときは押し縮めとなります。

対応する点の座標が一致する条件は$f(x)=\dfrac{f(x)}{b}$で、これを満たすのは$f(x)=0$なので、$y=f(x)$と$y=f(ax)$のy座標が$0$の点は同一となります。

$y=f(x)$と$by=f(ax)$のグラフ

 関数$y=f(x)$と$by=f(ax)$($a,b:$正実数)それぞれのグラフの違いを、$f(p)$となるときの$x,y$の組$(x,y)$を座標とする点同士を対応させることで調べてみます。

先ほどと同様に$y=f(x)$において、$f(p)$となるときとは$x=p$のときであり、$x=p$における点$\text{P}$の座標は$\bigl(p,f(p)\bigr)$となります。

$by=f(ax)$において、$f(p)$となるときとは$ax=p$すなわち$x=\dfrac{p}{a}$のときです。
両辺を$b$で割ると$y=\dfrac{f(ax)}{b}$となることより、$x=\dfrac{p}{a}$における点$\text{P'''}$の座標は$\left(\dfrac{p}{a},\dfrac{f(p)}{b}\right)$となります。

同様に$f(q)$となるときの点を調べると、
$y=f(x)$において、$x=q$における点$\text{Q}$は$\bigl(q,f(q)\bigr)$となります。

$by=f(ax)$において、$x=\dfrac{q}{a}$における点$\text{Q'''}$は$\left(\dfrac{q}{a},\dfrac{f(q)}{b}\right)$となります。


y=f(x)とby=f(ax)のグラフ a<0,b<0の場合
点$\text{P''',Q'''}$の座標はそれぞれ対応する点$\text{P,Q}$のx座標を$\dfrac{1}{a}$倍、y座標を$\dfrac{1}{b}$倍したものとなっています。
上述の通り、$by=f(x)$のグラフ上のどの2点間も$y=f(x)$のグラフ上の対応する2点間のx軸方向の開きを$\dfrac{1}{a}$倍、y軸方向の開きを$\dfrac{1}{b}$倍したものとなります。

これはすなわち、$by=f(ax)$のグラフは$y=f(x)$のグラフをx軸方向に$\dfrac{1}{a}$倍、y軸方向に$\dfrac{1}{b}$倍の長さに引き伸ばした(押し縮めた)形をしていることになります。
上述の通り、$a<0,b<0$のときは引き伸ばし、$a>0,b>0$のときは押し縮めとなります。

対応する点の座標が一致する条件は
\begin{cases}x=\frac{x}{a}\\[0.5em]f(x)=\frac{f(x)}{b}\end{cases}
で、これを満たすのは$x=0$かつ$f(x)=0$なので、$y=f(x)$のグラフが原点を通るとき必ず$by=f(ax)$のグラフも原点を通ります。
y=f(x)とay=f(ax)のグラフ a<0の場合
 また、$a=b$のときの点$\text{P,Q}$間の距離$\text{PQ}$と点$\text{P''',Q'''}$間の距離$\text{P'''Q'''}$に着目すると
\begin{align*}\text{PQ}&=\sqrt{(q-p)^2+\{f(q)-f(p)\}^2}\\[1em]\text{P'''Q'''}&=\sqrt{\left(\frac{q}{a}-\frac{p}{a}\right)^2+\left\{\frac{f(q)}{a}-\frac{f(p)}{a}\right\}^2}\\[0.5em]&=\sqrt{\left(\frac{1}{a}\right)^2(q-p)^2+\left(\frac{1}{a}\right)^2\{f(q)-f(p)\}^2}\\[0.5em]&=\sqrt{\left(\frac{1}{a}\right)^2\left[(q-p)^2+\{f(q)-f(p)\}^2\right]}\\[0.5em]&=\frac{1}{a}\sqrt{(q-p)^2+\{f(q)-f(p)\}^2}\\[0.5em]\therefore \text{P'''Q'''}&=\frac{1}{2}\text{PQ}\end{align*}
となり、$\text{P'''Q'''}$は$\text{PQ}$を$\dfrac{1}{a}$倍したものとなります。

これはすなわち、$ay=f(ax)$のグラフは$y=f(x)$のグラフをどの方向にも$\dfrac{1}{a}$倍の長さに引き伸ばした(押し縮めた)形をしていることになります。
言い換えれば$ay=f(ax)$のグラフは$y=f(x)$のグラフを$\dfrac{1}{a}$倍に拡大・縮小したものである、両者のグラフは互いに相似であるということです。
$a<0$のときは拡大、$a>0$のときは縮小となります。


$a,b$が負の場合は、関数のグラフの対称移動との組み合わせとなります。

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