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2022年7月6日

関数のグラフの対称移動

 関数$y=f(x)$のグラフの対称移動は以下のようになります。
\begin{array}{l}\large\textbf{関数$y=f(x)$を}\\ \textbf{x軸に関して対称移動}&\large y=\textcolor{red}{-f(x)}\\[1em]\hline\textbf{y軸に関して対称移動}&\large y=f(\textcolor{red}{-x})\\[1em]\hline\textbf{原点に関して対称移動}&\large y=\textcolor{red}{-f(\textcolor{blue}{-x})}\\[1em]\hline\textbf{直線$x=a$に関して対称移動}&\large y=f(\textcolor{red}{2a-x})\\[1em]\hline\textbf{直線$y=b$に関して対称移動}&\large y=\textcolor{blue}{2b}\textcolor{red}{-f(x)}\\[1em]\hline\textbf{点$(a,b)$に関して対称移動}&\large y=\textcolor{green}{2b}\textcolor{red}{-f(\textcolor{blue}{2a-x})}\\ \hline\textbf{直線$y=x$に関して対称移動}&\large \textcolor{red}{x=f(y)}\end{array}

なぜこのように表すことができるのかをグラフ上の点に着目して考えます。


x軸に関して対称移動

x軸に関して対称移動
 関数$y=f(x)$のグラフ上の点の座標は任意の実数$t$をもちいて$\bigl(t,f(t)\bigr)$と表すことができます。
各点がx軸に関して対称移動すると座標は$\bigl(t,-f(t)\bigr)$となり、このように表せる点の集合の方程式、すなわち関数$y=f(x)$のグラフをx軸に関して対称移動した後のグラフの方程式は
\[\large y=\textcolor{red}{-f(x)}\]
となります。
また、点のx軸に関して対称移動とは、x軸を中心として座標平面を裏返したような位置に移動するということなので、点の集合であるグラフもx軸に関して対称移動するとx軸を中心として裏返したような形になります。

y軸に関して対称移動

y軸に関して対称移動
 関数$y=f(x)$のグラフ上の任意の点$\bigl(t,f(t)\bigr)$がy軸に関して対称移動すると$\bigl(-t,f(t)\bigr)$となります。
ここで、$-t=u$とおくと$\Bigl(-t,f\bigl(-(-t)\bigr)\Bigr)=\bigl(u,f(-u)\bigr)$と書けます。
このように表せる点の集合の方程式、すなわち関数$y=f(x)$のグラフをy軸に関して対称移動した後のグラフの方程式は
\[\large y=f(\textcolor{red}{-x})\]
となります。
また、点のy軸に関して対称移動とは、y軸を中心として座標平面を裏返したような位置に移動するということなので、点の集合であるグラフもy軸に関して対称移動するとy軸を中心として裏返したような形になります。

y軸に関して対称移動しても元のグラフと変わらない関数のことを偶関数といいます。


原点に関して対称移動

原点に関して対称移動
 関数$y=f(x)$のグラフ上の任意の点$\bigl(t,f(t)\bigr)$が原点に関して対称移動すると$\bigl(-t,-f(t)\bigr)$となります。
ここで、$-t=u$とおくと対称移動後の点は$\Bigl(-t,-f\bigl(-(-t)\bigr)\Bigr)=\bigl(u,-f(-u)\bigr)$と書けます。
このように表せる点の集合の方程式、すなわち関数$y=f(x)$のグラフを原点に関して対称移動した後のグラフの方程式は
\[\large y=\textcolor{red}{-f(\textcolor{blue}{-x})}\]
となります。
また、点の原点に関して対称移動とは、原点を中心として座標平面を180°回転したような位置に移動するということなので、点の集合であるグラフも原点に関して対称移動すると原点を中心として180°回転したような形になります。
原点に関して対称移動はx軸に関して対称移動とy軸に関して対称移動の組み合わせ
原点に関して対称移動した後のグラフは、x軸に関して対称移動とy軸に関して対称移動の2つを行うことでも得ることができます。

原点に関して対称移動しても元のグラフと変わらない関数のことを奇関数といいます。


$x=a$に関して対称移動

直線x=aに関して対称移動
 関数$y=f(x)$のグラフ上の任意の点$\bigl(t,f(t)\bigr)$が直線$x=a$に関して対称移動すると$\bigl(2a-t,f(t)\bigr)$となります。
ここで、$2a-t=u$とおくと対称移動後の点は$\Bigl(2a-t,f\bigl(2a-(2a-t)\bigr)\Bigr)=\bigl(u,f(2a-u)\bigr)$と書けます。
このように表せる点の集合の方程式、すなわち関数$y=f(x)$のグラフを直線$x=a$に関して対称移動した後のグラフの方程式は
\[\large y=f(\textcolor{red}{2a-x})\]
となります。
また、点の直線$x=a$に関して対称移動とは、直線$x=a$を中心として座標平面を裏返したような位置に移動するということなので、点の集合であるグラフも直線$x=a$に関して対称移動すると直線$x=a$を中心として裏返したような形になります。
直線x=aに関して対称移動はy軸に関して対称移動とx軸方向に2aだけ平行移動の組み合わせ
直線$x=a$に関して対称移動した後のグラフは、y軸に関して対称移動した後、x軸方向に$2a$だけ平行移動を行うことでも得ることができます。
これは上図のように$x=a$における点とy軸に関して対称移動した後の対応する$x=-a$における点が重なるように平行移動を行うということです。

$y=b$に関して対称移動

直線y=bに関して対称移動
 関数$y=f(x)$のグラフ上の任意の点$\bigl(t,f(t)\bigr)$が直線$y=b$に関して対称移動すると$\bigl(t,2b-f(t)\bigr)$となります。
このように表せる点の集合の方程式、すなわち関数$y=f(x)$のグラフを直線$y=b$に関して対称移動した後のグラフの方程式は
\[\large y=\textcolor{blue}{2b}\textcolor{red}{-f(x)}\]
となります。
また、点の直線$y=b$に関して対称移動とは、直線$y=b$を中心として座標平面を裏返したような位置に移動するということなので、点の集合であるグラフも直線$y=b$に関して対称移動すると直線$y=b$を中心として裏返したような形になります。
直線y=bに関して対称移動はx軸に関して対称移動とy軸方向に2bだけ平行移動の組み合わせ
直線$y=b$に関して対称移動した後のグラフは、x軸に関して対称移動した後、y軸方向に$2b$だけ平行移動を行うことでも得ることができます。
これは、上図のようにy座標が$b$である点とx軸に関して対称移動した後の対応するy座標が$-b$である点が重なるように平行移動を行うということです。

点$(a,b)$に関して対称移動

 関数$y=f(x)$のグラフ上の任意の点$\bigl(t,f(t)\bigr)$が点$(a,b)$に関して対称移動すると$\bigl(2a-t,2b-f(t)\bigr)$となります。
ここで、$2a-t=u$とおくと対称移動後の点は$\Bigl(2a-t,2b-f\bigl(2a-(2a-t)\bigr)\Bigr)=\bigl(u,2b-f(2a-u)\bigr)$と書けます。
このように表せる点の集合の方程式、すなわち関数$y=f(x)$のグラフを点$(a,b)$に関して対称移動した後のグラフの方程式は
\[\large y=\textcolor{green}{2b}\textcolor{red}{-f(\textcolor{blue}{2a-x})}\]
となります。
また、点の点$(a,b)$に関して対称移動とは、点$(a,b)$を中心として座標平面を180°回転したような位置に移動するということなので、点の集合であるグラフも点$(a,b)$に関して対称移動すると点$(a,b)$を中心として180°回転したような形になります。
点(a,b)に関して対称移動は直線x=aに関して対称移動と直線y=bに関して対称移動の組み合わせ
点$(a,b)$に関して対称移動したグラフは、直線$x=a$に関して対称移動と直線$y=b$に関して対称移動の2つを行うことでも得ることができます。
原点に関して対称移動した後、x軸方向に$2a$、y軸方向に$2b$だけ平行移動を行っても同様に得ることができます。

$y=x$に関して対称移動

直線y=xに関して対称移動
 関数$y=f(x)$のグラフ上の任意の点$\bigl(t,f(t)\bigr)$が直線$y=x$に関して対称移動すると$\bigl(f(t),t\bigr)$となります。
この座標は$x$の値が$y$の値によって決まっている、すなわち$x$は$y$の関数となっているとみることができるので、このように表せる点の集合の方程式、すなわち関数$y=f(x)$のグラフを直線$y=x$に関して対称移動した後のグラフの方程式は
\[\large \textcolor{red}{x=f(y)}\]
となります。
また、点の直線$y=x$に関して対称移動とは、直線$y=x$を中心として座標平面を裏返したような位置に移動するということなので、点の集合であるグラフも直線$y=x$に関して対称移動すると直線$y=x$を中心として裏返したような形になります。
 全単射である関数$y=f(x)$の対称移動後の方程式を$y$について解いた
\[y=g(x)\]
の$g(x)$のことを$f(x)$の逆関数といい、これを$f^{-1}(x)$と書く場合もあります。
逆関数の性質
逆関数$f^{-1}(x)$には
\[f^{-1}(f(x))=f(f^{-1}(x))=x\]
という性質があります。
(2024/12)内容を変更しました。
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