共役複素数は実軸に関して対称な位置にある複素数のことです。なので、虚部の符号が逆転しています。
複素数z=a+bi,w=c+diz=a+bi,w=c+di (a,b,c,d:実数)(a,b,c,d:実数)について、それぞれの共役複素数はˉz=a−bi,ˉw=c−di¯z=a−bi,¯w=c−diとなります。
複素数z=a+bi,w=c+diz=a+bi,w=c+di (a,b,c,d:実数)(a,b,c,d:実数)について、それぞれの共役複素数はˉz=a−bi,ˉw=c−di¯z=a−bi,¯w=c−diとなります。
極形式でz,wz,wを表すと
z=r1(cosθ+isinθ)=r1eiθw=r2(cosϕ+isinϕ)=r2eiϕ(ただし、r1=√a2+b2, r2=√c2+d2cosθ=ar1, sinθ=br1cosϕ=cr2, sinϕ=dr2)z=r1(cosθ+isinθ)=r1eiθw=r2(cosϕ+isinϕ)=r2eiϕ⎛⎜
⎜
⎜
⎜
⎜
⎜
⎜⎝ただし、r1=√a2+b2, r2=√c2+d2cosθ=ar1, sinθ=br1cosϕ=cr2, sinϕ=dr2⎞⎟
⎟
⎟
⎟
⎟
⎟
⎟⎠
となり、それぞれの共役複素数は偏角の符号が逆転した
ˉz=r1{cos(−θ)+isin(−θ)}=r1e−iθˉw=r2{cos(−ϕ)+isin(−ϕ)}=r2e−iϕ¯z=r1{cos(−θ)+isin(−θ)}=r1e−iθ¯w=r2{cos(−ϕ)+isin(−ϕ)}=r2e−iϕ
となります。
これらをもちいて共役複素数の性質とそれらが成り立つことを見ていきます。
1. 複素数zzが実数のとき
z=ˉzz=¯z
zzが実数のときb=0b=0なので
z=a+0i=aˉz=a−0i=az=a+0i=a¯z=a−0i=a
となり、成り立ちます。
2. 共役複素数の和・差
¯z±w=ˉz±ˉw(複号同順)¯¯¯¯¯¯¯¯¯¯¯¯¯z±w=¯z±¯w(複号同順)
左辺と右辺についてそれぞれ直交形式で表すと
z±w=(a+bi)±(c+di)=(a±c)+(b±d)i∴¯z±w=(a±c)−(b±d)iˉz±ˉw=(a−bi)±(c−di)=(a±c)−(b±d)i(複号同順)z±w=(a+bi)±(c+di)=(a±c)+(b±d)i∴¯¯¯¯¯¯¯¯¯¯¯¯¯z±w=(a±c)−(b±d)i¯z±¯w=(a−bi)±(c−di)=(a±c)−(b±d)i(複号同順)
となるため成り立ちます。
3. 共役複素数の積
¯zw=ˉzˉw¯¯¯¯¯¯¯zw=¯z¯w
左辺と右辺についてそれぞれオイラーの公式を利用して表すと
zw=r1eiθ⋅r2eiϕ=r1r2ei(θ+ϕ)∴¯zw=r1r2e−i(θ+ϕ)ˉzˉw=r1e−iθ⋅r2e−iϕ=r1r2e−iθ−iϕ=r1r2e−i(θ+ϕ)zw=r1eiθ⋅r2eiϕ=r1r2ei(θ+ϕ)∴¯¯¯¯¯¯¯zw=r1r2e−i(θ+ϕ)¯z¯w=r1e−iθ⋅r2e−iϕ=r1r2e−iθ−iϕ=r1r2e−i(θ+ϕ)
となるため成り立ちます。
4. 共役複素数の商
¯zw=ˉzˉw(ただしw≠0)¯¯¯¯¯¯zw=¯z¯w(ただしw≠0)
左辺と右辺についてそれぞれオイラーの公式を利用して表すと
zw=r1eiθr2eiϕ=r1r2ei(θ−ϕ)∴¯zw=r1r2e−i(θ−ϕ)ˉzˉw=r1e−iθr2e−iϕ=r1r2e−iθ+iϕ=r1r2e−i(θ−ϕ)(ただし、r2≠0すなわちw≠0)zw=r1eiθr2eiϕ=r1r2ei(θ−ϕ)∴¯¯¯¯¯¯zw=r1r2e−i(θ−ϕ)¯z¯w=r1e−iθr2e−iϕ=r1r2e−iθ+iϕ=r1r2e−i(θ−ϕ)(ただし、r2≠0すなわちw≠0)
となるため成り立ちます。
5. 共役複素数のべき乗
¯zn=(ˉz)n(n:整数)¯¯¯¯¯zn=(¯z)n(n:整数)
左辺と右辺についてそれぞれオイラーの公式を利用して表すと
zn=(r1eiθ)n=r1neinθ∴¯zn=r1ne−inθ(ˉz)n=(r1e−iθ)n=r1ne−inθzn=(r1eiθ)n=r1neinθ∴¯¯¯¯¯zn=r1ne−inθ(¯z)n=(r1e−iθ)n=r1ne−inθ
となるため成り立ちます。
6. 共役複素数の共役複素数
ˉˉz=z¯¯z=z
共役複素数は虚部の正負が反転することから
ˉˉz=a−(−b)i=a+bi¯¯z=a−(−b)i=a+bi
となるため成り立ちます。
7. 複素数と共役複素数の積
zˉz=|z|2z¯z=|z|2
左辺を直交形式で計算してみると
zˉz=(a+bi)(a−bi)=a2−(bi)2=a2+b2z¯z=(a+bi)(a−bi)=a2−(bi)2=a2+b2
ここで、複素数の絶対値は|z|=√a2+b2|z|=√a2+b2であるから右辺と一致します。
8. 共役複素数の大きさ
|z|=|ˉz||z|=|¯z|
6.、7.を利用して右辺と左辺について直交形式で表すと
|z|=√zˉz=√(a+bi)(a−bi)=√a2+b2|ˉz|=√ˉzˉˉz=√ˉzz=√(a−bi)(a+bi)=√a2+b2|z|=√z¯z=√(a+bi)(a−bi)=√a2+b2|¯z|=√¯z¯¯z=√¯zz=√(a−bi)(a+bi)=√a2+b2
となるため成り立ちます。
9. 複素数の逆数
1z=ˉz|z|2(ただしz≠0)1z=¯z|z|2(ただしz≠0)
左辺の分母と分子にˉz¯zを掛けて7.を利用すると
1z=ˉzzˉz=ˉz|z|21z=¯zz¯z=¯z|z|2
となるため成り立ちます。
10. 複素数の実部
z+ˉz=2az+¯z=2a
左辺を直交形式で計算してみると
z+ˉz=(a+bi)+(a−bi)=2az+¯z=(a+bi)+(a−bi)=2a
となるため成り立ちます。
11. 複素数の虚数部分
z−ˉz=2biz−¯z=2bi
左辺を直交形式で計算してみると
z−ˉz=(a+bi)−(a−bi)=2biz−¯z=(a+bi)−(a−bi)=2bi
となるため成り立ちます。
10. 11.より、複素数の実部a、虚部bは
a=z+ˉz2b=z−ˉz2i
で求めることができます。
12. 複素数の偏角部分
eiθ=√zˉz
左辺をオイラーの公式を利用して変形すると
eiθ=r1eiθr1=z|z|(∵|z|=√a2+b2=r1)=√z2√zˉz=√z√ˉz=√zˉz
となるため成り立ちます。
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