ヒポクラテスの定理とは、上図のように直角三角形$\text{ABC}$の各辺を直径とする半円を描くと、この図形の面積について
\[\text{月形BC}+\text{月形AC}=△\text{ABC}\]
が成り立つという定理です。
なぜこの関係が成り立つのでしょうか?
この面積の関係を導くために各図形の面積について調べてみます。
半円$\text{AB}$に着目します。
半円$\text{AB}$の面積は$\text{AB}$を直径とするから
\[\text{半円AB}=\frac{1}{2}\cdot\left(\frac{\text{AB}}{2}\right)^2\pi=\frac{\text{AB}^2}{8}\pi\]
となります。
ちなみに、半円$\text{AB}$は直角三角形$\text{ABC}$の斜辺$\text{AB}$を直径としているので、タレスの定理の逆より頂点$\text{C}$は半円$\text{AB}$の弧上にあることがわかります。
次に半円$\text{BC, AC}$に着目します。
半円$\text{AB}$と同様に半円$\text{BC}$の面積は$\text{BC}$を直径とするから
\[\text{半円BC}=\frac{\text{BC}^2}{8}\pi\]
半円$\text{AC}$の面積は$\text{AC}$を直径とするから
\[\text{半円AC}=\frac{\text{AC}^2}{8}\pi\]
となります。
ここで、三平方の定理より
\[\text{AB}^2=\text{BC}^2+\text{AC}^2\]
であり、両辺に$\dfrac{\pi}{8}$を掛けると
\begin{align*}\frac{\text{AB}^2}{8}\pi&=\frac{(\text{BC}^2+\text{AC}^2)}{8}\pi\\[0.5em]\frac{\text{AB}^2}{8}\pi&=\frac{\text{BC}^2}{8}\pi+\frac{\text{AC}^2}{8}\pi\end{align*}
したがって、
\[\text{半円AB}=\text{半円BC}+\text{半円AC}\]
が成り立つことがわかります。
このことから、直角三角形$\text{ABC}$と半円$\text{BC}$、半円$\text{AC}$の面積の和は
\[△\text{ABC}+\text{半円BC}+\text{半円AC}=△\text{ABC}+\text{半円AB}\]
となり、月形$\text{BC}$と月形$\text{AC}$の面積の和は
\[(△\text{ABC}+\text{半円BC}+\text{半円AC})-\text{半円AB}\]
で求められるので
\begin{align*}\text{月形BC}+\text{月形AC}&=(△\text{ABC}+\text{半円BC}+\text{半円AC})-\text{半円AB}\\[0.5em]&=(△\text{ABC}+\text{半円AB})-\text{半円AB}\\[0.5em]&=△\text{ABC}\end{align*}
となり、ヒポクラテスの定理が成り立つことがわかります。
Share: