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2022年6月18日

円周角の定理 なぜ成り立つのか?

円周角の定理
円周角の定理とは
  • 1つの弧に対する中心角の大きさは、同じ弧に対する円周角の大きさの2倍である。
  • 1つの弧に対する円周角の大きさは一定である。
という定理です。

この円周角の定理はなぜ成り立つのでしょうか?


 成り立つことを確かめる方法として以下のタレスの定理の証明方法を利用します。

タレスの定理

タレスの定理とは
円周上に円の直径の端点A, CA, Cとそれ以外の任意の点BBをおくと、ABC=90°ABC=90°(直角)となる。
という定理です。
これが成り立つことを確かめる方法は以下のようになります。
タレスの定理
上図のように円周上に円OOの直径の端点A, CA, C、それ以外の点BBをおきます。
OA, OB, OCOA, OB, OCはそれぞれ円OOの半径なのでOAB, OBCOAB, OBCは二等辺三角形となります。
OAB, OBCOAB, OBCの底角をそれぞれα,βα,βとするとABCABCの内角は
2α+2β=180°2α+2β=180°
となります。
これの両辺を22で割れば
α+β=90°α+β=90°
となります。
ABC=α+βABC=α+βなので、点BBA, CA, C以外のどこにあっても常にABC=90°ABC=90°が成り立ちます。

 このときできる二等辺三角形の頂角の外角に着目して円周角の定理を確かめます。

円周角の定理

 円OOの円周上に異なる3点A, B, CA, B, Cをおき、円周角ABCABCについて考えます。

1. 弧ACACの長さが円周の半分より長いとき

円周角の定理 導出1
 点BBを含まないほうの弧ACACが円周の半分より長いときを考えます。
半径OA, OCOA, OCと直径BDBDを引きます。このときOA=OB=OCOA=OB=OCなのでOAB, OBCOAB, OBCは二等辺三角形となります。
OAB, OBCOAB, OBCの底角をそれぞれα,βα,β、すなわち
OAB=OBA=αOBC=OCB=βOAB=OBA=αOBC=OCB=β
とすると、ABC
ABC=α+β
となります。この角は点Bを含まないほうの弧ACに対する円周角となります。
また、OAB, OBCそれぞれの頂角の外角AOD, CODに着目するとAOD=2α,COD=2βとなります。
したがって、同じ弧に対する中心角AOC
AOC=2α+2β=2(α+β)AOC=2ABC
となります。
このことから円周角の定理の「1つの弧に対する中心角の大きさは、同じ弧に対する円周角の大きさの2倍である。」が成り立っていることがわかります。
また、これは同一の弧AC上の点A, Cを除いたどの位置に点Bがあっても常に成り立ちます。すなわち、円周角の定理の「1つの弧に対する円周角の大きさは一定である。」が成り立っているということです。

2. 弧ACの長さが円周の半分に等しいとき

円周角の定理 導出2
 点Bを含まないほうの弧ACの長さがちょうど円周の半分のときを考えます。
これは先ほどのタレスの定理の証明法の図に頂角の外角を書き込む形となります。

BOを延長して直径BDを引きます。タレスの定理で導出した通りABC=α+β=90°であり、この角は点Bを含まないほうの弧ACに対する円周角です。

1.と同様に外角の定理よりAOD=2α,COD=2βなので、同じ弧に対する中心角AOC
AOC=2(α+β)=2ABCAOC=180°
となります。

3. 弧ACの長さが円周の半分より短いとき

 点Bを含まないほうの弧ACの長さが円周の半分より短いときを考えます。
1.の場合と異なり、点Bの位置によって中心角と円周角の関係の求め方が変わります。

3-1. ABCの内部に中心Oがあるとき

円周角の定理 導出3-1
 ABCの内部に中心Oがあるように点Bをおいたときを考えます。
OA, OCOBを延長した直径BDを引きます。

二等辺三角形OAB, OBCの底角をそれぞれα,βとすると、ABCABC=α+βとなります。この角は点Bを含まないほうの弧ACに対する円周角です。

また、外角の定理よりAOD=2α,COD=2βとなるので、同じ弧に対する中心角AOC
AOC=2α+2β=2(α+β)AOC=2ABC
となります。
これは弧AC上のABCの内部に中心Oがあるような位置に点Bがある限り常に成り立ちます。

3-2. ABCの辺上に中心Oがあるとき

円周角の定理 導出3-2
 BC上に中心Oがある場合を考えます。
OA, OBを引くとこれらは円Oの半径なのでOABは二等辺三角形となります。

OABの底角をαとすると、点Bを含まないほうの弧ACに対する円周角ABCABC=αとなります。

また、外角の定理より同じ弧に対する中心角AOC
AOC=2αAOC=2ABC
となります。これはAB上に中心Oがある場合でも同様です。

3-3. ABCの外部に中心Oがある場合

円周角の定理 導出3-3
 ABCの外部に中心Oがあるように点Bをおいたときを考えます。ここでは上図のように点Bが点Cより点Aに近い場合を考えます。
OA, OCOBを延長した直径BDを引きます。

二等辺三角形OAB, OBCの底角をそれぞれα,βとすると、ABCABC=αβとなります。この角は点Bを含まないほうの弧ACに対する円周角です。

また、外角の定理よりAOD=2α,COD=2βとなるので、同じ弧に対する中心角AOC
AOC=2α2β=2(αβ)AOC=2ABC
となります。これは点Bが点Aより点Cに近い場合でも同様です。
したがって、弧AC上のABCの外部に中心Oがあるような位置に点Bがある限り常に成り立ちます。

3-1.、3-2.、3-3.より常にAOC=2ABCが成り立つことがわかります。


 1.、2.、3.より3点A, B, Cを円周上にどのように配置しても
  • 1つの弧に対する中心角の大きさは同じ弧に対する円周角の大きさの2倍である。
  • 1つの弧に対する円周角の大きさは一定である。
という円周角の定理が成り立つことを確かめることができました。

 また、これに関連して
等しい弧に対する円周角の大きさは等しい
というものがあります。
これが成り立つことを確かめてみます。
等しい弧をもつおうぎ形の中心角
等しい弧AB, CDそれぞれの両端を円の中心Oと結び、おうぎ形OAB, OCDをつくります。
円周に対する弧の長さの割合は、円の中心角に対するおうぎ形の中心角の割合に等しいため、等しい弧をもつおうぎ形OAB, OCDそれぞれの中心角AOB, CODも等しくなります。
すると、円周角の定理よりそれぞれの弧に対する円周角は中心角の半分の大きさとなるため、等しい弧AB, CDそれぞれに対する円周角も等しくなることがわかります。
(2024/9)一部数式が表示されない不具合を修正&加筆
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