なぜそうなるのかは円周角の定理を利用することでいくつかの方法で確かめることができます。
円周角の定理とは
という円周角に関する定理のことです。
- 1つの弧に対する中心角の大きさは同じ弧に対する円周角の大きさの2倍である。
- 1つの弧に対する円周角の大きさは一定である。
円に内接する四角形の対角の和が$180°$となることを1.、2.のいずれかを利用することで確かめることになります。また、四角形の内角の和が$360°$であることから2組ある対角のうち1組について確かめられれば良いので、以下では主に$∠BAD$と$∠BCD$の和についてのみ考えます。
円周角の定理1.を利用する方法
その1
したがって円周角の定理より
\[\angle BOD_{green}=2\angle BCD\]
となります。
点$A$を通る弧$BD$に対する円周角は$∠BAD$、中心角は$∠BOD$(オレンジ)です。
同様に
同様に
\[\angle BOD_{orange}=2\angle BAD\]
となります。
また、
\[\angle BOD_{green}+\angle BOD_{orange}=360^{\circ}\]
なので、
\begin{align*}2\angle BAD+2\angle
BCD=360^{\circ}\\[0.5em]\therefore\angle BAD+\angle
BCD=180^{\circ}\end{align*}
であることがわかります。
その2
対角線$AC,BD$を引くと$∠BAD,∠BCD$はそれぞれ
\begin{align*}\angle BAD&=\angle BAC+\angle CAD\\[0.5em]\angle
BCD&=\angle BCA+\angle ACD\end{align*}
となります。
ここで、$∠ACB$は弧$AB$に対する円周角、$∠BAC$は弧$BC$に対する円周角、$∠CAD$は弧$CD$に対する円周角、$∠ACD$は弧$DA$に対する円周角となります。
弧$AB,BC,CD,DA$それぞれに対する中心角は$∠AOB,∠BOC,∠COD,∠DOA$であり、それぞれ同じ弧に対する円周角の2倍の大きさを持ちます。また、これら中心角の和は$360°$となります。
すなわち、
\begin{align*}&\angle AOB+\angle BOC+\angle COD+\angle
DOA\\[0.5em]=&2\angle BCA+2\angle BAC+2\angle CAD+2\angle
ACD\\[0.5em]=&2(\angle BCA+\angle BAC+\angle CAD+\angle
ACD)\\[0.5em]=&360^\circ\end{align*}
です。
したがって、
\begin{align*}\angle BCA+\angle BAC+\angle CAD+\angle
ACD&=180^\circ\\[0.5em](\angle BAC+\angle CAD)+(\angle BCA+\angle
ACD)&=180^\circ\\[0.5em]\therefore\angle BAD+\angle
BCD&=180^\circ\end{align*}
となることがわかります。
円周角の定理2.を利用する方法
$△ABD$に着目すると内角の和は
\begin{equation}\angle BAD+\angle ABD+\angle
ADB=180^{\circ}\end{equation}
円周角の定理2.より同じ弧に対する円周角の大きさは等しいので
\begin{align}\angle ABD&=\angle ACD\\[0.5em]\angle ADB&=\angle
ACB\end{align}
$(1),(2),(3)$より
\[\angle BAD+\angle ACD+\angle ACB=180^{\circ}\]
さらに
\[\angle BCD=\angle ACD+\angle ACB\]
であるから、
\[\angle BAD+\angle BCD=180^{\circ}\]
となることがわかります。
$∠ABC$と$∠ADC$についても同様に確かめることができます。
内角とその対角に隣り合う外角の関係
円に内接する四角形$ABCD$の内角$∠BAD$は、その対角に隣り合う外角$∠DCE$と大きさが等しい。
これは円に内接する四角形の対角の和が$180°$であることを利用して確かめることができます。
$∠BAD+∠BCD=180°$より、$∠BAD=θ$とすれば対角$∠BCD$の大きさは$180°-θ$となります。
また、隣り合う内角と外角の和もまた$180°$なので、$∠BCD+∠DCE=180°$となります。
また、隣り合う内角と外角の和もまた$180°$なので、$∠BCD+∠DCE=180°$となります。
したがって、
\begin{align*}∠BCD+∠DCE&=180°\\[0.5em](180°-\theta)+∠DCE&=180°\\[0.5em]∠DCE&=\theta\end{align*}
となるから、$∠BAD=∠DCE$が成り立ちます。
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