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2021年9月15日

円に内接する四角形の対角の和はなぜ180°なのか?

円に内接する四角形の対角の和は180°
 円に内接する四角形の対角の和は、$180°$となります。上図の場合、$∠\text{BAD}$と$∠\text{BCD}$の和、$∠\text{ABC}$と$∠\text{ADC}$の和が$180°$になります。

なぜそうなるのかは円周角の定理を利用することでいくつかの方法で確かめることができます。


円周角の定理とは
  1. 1つの弧に対する中心角の大きさは同じ弧に対する円周角の大きさの2倍である。
  2. 1つの弧に対する円周角の大きさは一定である。
という円周角に関する定理のことです。

円に内接する四角形の対角の和が$180°$となることを1.、2.のいずれかを利用することで確かめることになります。また、四角形の内角の和が$360°$であることから2組ある対角のうち1組について確かめられれば良いので、以下では主に$∠\text{BAD}$と$∠\text{BCD}$の和についてのみ考えます。

円周角の定理1.を利用する方法

その1

対角のそれぞれの中心角を考える
頂点$\text{B, D}$から円の中心$\text{O}$へ線分$\text{BO, DO}$を引きます。
点$\text{C}$を通る弧$\text{BD}$に対する円周角は$∠\text{BDC}$、中心角は$∠\text{BOD}$(緑)です。
したがって円周角の定理より
\[∠\text{BOD}_{green}=2∠\text{BCD}\]
となります。
点$\text{A}$を通る弧$\text{BD}$に対する円周角は$∠\text{BAD}$、中心角は$∠\text{BOD}$(オレンジ)です。
同様に
\[∠\text{BOD}_{orange}=2∠\text{BAD}\]
となります。
また、
\[∠\text{BOD}_{green}+∠\text{BOD}_{orange}=360^{\circ}\]
なので、
\begin{align*}2∠\text{BAD}+2∠ \text{BCD}=360^{\circ}\\[0.5em]\therefore∠\text{BAD}+∠ \text{BCD}=180^{\circ}\end{align*}
であることがわかります。

その2

1組の対角を円周角で分解する
 対角線$\text{AC, BD}$を引くと$∠\text{BAD, }∠\text{BCD}$はそれぞれ
\begin{align*}∠\text{BAD}&=∠\text{BAC}+∠\text{CAD}\\[0.5em]∠ \text{BCD}&=∠\text{BCA}+∠\text{ACD}\end{align*}
となります。

ここで、$∠\text{ACB}$は弧$\text{AB}$に対する円周角、$∠\text{BAC}$は弧$\text{BC}$に対する円周角、$∠\text{CAD}$は弧$\text{CD}$に対する円周角、$∠\text{ACD}$は弧$\text{DA}$に対する円周角となります。
弧$\text{AB, BC, CD, DA}$それぞれに対する中心角は$∠\text{AOB, }∠\text{BOC, }∠\text{COD, }∠\text{DOA}$であり、それぞれ同じ弧に対する円周角の2倍の大きさを持ちます。また、これら中心角の和は$360°$となります。

すなわち、
\begin{align*}&∠\text{AOB}+∠\text{BOC}+∠\text{COD}+∠ \text{DOA}\\[0.5em]=&2∠\text{BCA}+2∠\text{BAC}+2∠\text{CAD}+2∠ \text{ACD}\\[0.5em]=&2(∠\text{BCA}+∠\text{BAC}+∠\text{CAD}+∠ \text{ACD})\\[0.5em]=&360^\circ\end{align*}
です。
したがって、
\begin{align*}∠\text{BCA}+∠\text{BAC}+∠\text{CAD}+∠ \text{ACD}&=180^\circ\\[0.5em](∠\text{BAC}+∠\text{CAD})+(∠\text{BCA}+∠ \text{ACD})&=180^\circ\\[0.5em]\therefore∠\text{BAD}+∠ \text{BCD}&=180^\circ\end{align*}
となることがわかります。

円周角の定理2.を利用する方法

対角を円周角で分解すると三角形の内角になる
 四角形$\text{ABCD}$の対角線$\text{AC, BD}$を引きます。
$△\text{ABD}$に着目すると内角の和は
\begin{equation}∠\text{BAD}+∠\text{ABD}+∠ \text{ADB}=180^{\circ}\end{equation}
円周角の定理2.より同じ弧に対する円周角の大きさは等しいので
\begin{align}∠\text{ABD}&=∠\text{ACD}\\[0.5em]∠\text{ADB}&=∠ \text{ACB}\end{align}
$(1), (2), (3)$より
\[∠\text{BAD}+∠\text{ACD}+∠\text{ACB}=180^{\circ}\]
さらに
\[∠\text{BCD}=∠\text{ACD}+∠\text{ACB}\]
であるから、
\[∠\text{BAD}+∠\text{BCD}=180^{\circ}\]
となることがわかります。

$∠\text{ABC}$と$∠\text{ADC}$についても同様に確かめることができます。


内角とその対角に隣り合う外角の関係

内角とその対角に隣り合う外角の関係
 また、円に内接する四角形には以下のような性質もあります。
円に内接する四角形$\text{ABCD}$の内角$∠\text{BAD}$は、その対角に隣り合う外角$∠\text{DCE}$と大きさが等しい。
これは円に内接する四角形の対角の和が$180°$であることを利用して確かめることができます。
内角とその対角に隣り合う外角の関係
$∠\text{BAD}+∠\text{BCD}=180°$より、$∠\text{BAD}=θ$とすれば対角$∠\text{BCD}$の大きさは$180°-θ$となります。
また、隣り合う内角と外角の和もまた$180°$なので、$∠\text{BCD}+∠\text{DCE}=180°$となります。
したがって、
\begin{align*}∠\text{BCD}+∠\text{DCE}&=180°\\[0.5em](180°-\theta)+∠\text{DCE}&=180°\\[0.5em]∠\text{DCE}&=\theta\end{align*}
となるから、$∠\text{BAD}=∠\text{DCE}$が成り立ちます。

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