円に内接する四角形の対角の性質とは
「円に内接する四角形の対角の和は$180°$である。」
という性質のことです。
なぜこれが成り立つのかを確かめてみます。
円に内接する四角形の対角の性質の逆が成り立たないとすると、その反例は「四角形$ABCD$の対角の和は$180°$だが、四角形$ABCD$は外接円をもたない。」となります。
そこで、この反例が成り立たないことから円に内接する四角形の対角の性質の逆が成り立つことを確かめます。
外接円をもつ四角形、すなわち円に内接する四角形はすべての頂点が同一円周上にあります。
すると、円は3つの点でただ1つに定まることを考えれば、外接円をもたない四角形とはどのように3つの頂点を選んでも、それらがある同一円周上に4つ目の頂点がない四角形を指すことになります。
すると、円は3つの点でただ1つに定まることを考えれば、外接円をもたない四角形とはどのように3つの頂点を選んでも、それらがある同一円周上に4つ目の頂点がない四角形を指すことになります。
したがって、反例が成り立つと仮定するならば、その内容は「3つの頂点$A,B,C$がある同一円周上に頂点$D$がない四角形$ABCD$の1組の対角$∠ABC,∠ADC$において、$∠ABC+∠ADC=180°$が成り立つ」となります。
頂点$D$が円周上にない場合というのは、頂点$D$が円の外部にある場合と円の内部にある場合の2つに分けられます。
頂点$D$が円の外部にある場合
仮定より
\begin{equation}∠ABC+∠ADC=180°\end{equation}
ここで、円$O$と辺$CD$の交点を$P$とし、四角形$ABCP$をつくります。
四角形$ABCP$において、円に内接する四角形の対角の性質より
\begin{equation}∠ABC+∠APC=180°\end{equation}
$(1)-(2)$より
しかし、$AD$と$AP$は点$A$で交わるため矛盾します。
\begin{align*}∠ADC-∠APC&=0°\\[0.5em]\therefore∠ADC&=∠APC\tag3\end{align*}
$∠ADC$と$∠APC$は同位角なので、$(3)$より$AD//AP$が成り立ちます。しかし、$AD$と$AP$は点$A$で交わるため矛盾します。
したがって、仮定は誤り、すなわち頂点$D$が円$O$の外部にある四角形$ABCD$において$∠ABC+∠ADC=180°$は成り立ちません。
頂点$D$が円の内部にある場合
仮定より
\[∠ABC+∠ADC=180°\tag4\]
ここで、円$O$と辺$CD$の延長との交点を$Q$とし、四角形$ABCQ$をつくります。
四角形$ABCQ$において、円に内接する四角形の対角の性質より
\[∠ABC+∠AQC=180°\tag5\]
$(4)-(5)$より
しかし、$AD$と$AQ$は点$A$で交わるため矛盾します。
\begin{align*}∠ADC-∠AQC&=0°\\[0.5em]\therefore∠ADC&=∠AQC\tag6\end{align*}
$∠ADC$と$∠AQC$は同位角なので、$(6)$より$AD//AQ$が成り立ちます。しかし、$AD$と$AQ$は点$A$で交わるため矛盾します。
したがって、仮定は誤り、すなわち頂点$D$が円$O$の内部にある四角形$ABCD$においても$∠ABC+∠ADC=180°$は成り立ちません。
以上より、四角形$ABCD$において$∠ABC+∠ADC=180°$が成り立つのは頂点$D$が3つの頂点$A,B,C$が存在する同一円周上に存在するとき、すなわち四角形$ABCD$が円に内接するときだけであることがわかります。
したがって、反例「四角形$ABCD$の対角の和は$180°$だが、四角形$ABCD$は円に内接しない。」が成り立つことはないので、円に内接する四角形の対角の性質の逆が成り立つことがわかります。
円に内接する四角形の対角の性質の逆
なので、円に内接する四角形の対角の性質の逆はよく4点が同一円周上にあることを示すのに利用されます。
「四角形$ABCD$の対角の和が$180°$ならば四角形$ABCD$は外接円をもつ。」
の「四角形$ABCD$は外接円をもつ」は言い換えれば「4点$A,B,C,D$が同一円周上にある」ということです。
なので、円に内接する四角形の対角の性質の逆はよく4点が同一円周上にあることを示すのに利用されます。
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