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2023年9月21日

接弦定理の逆は成り立つ?

接弦定理
 接弦定理とは、
円周角$∠\text{ABC}$の点$\text{A}$を通る接線を引き、弦$\text{AC}$と接線がつくる角$∠\text{CAT}$が$△\text{ABC}$の外側にあるように点$\text{T}$をとると$∠\text{CAT}=∠\text{ABC}$が成り立つ。
という定理です。

この定理の逆はどういったもので、それは成り立つでしょうか?


 接弦定理は以下のように書き換えることができます。
$△\text{ABC}$とその外部の角$\text{CAT}$について、直線$\text{AT}$が$△\text{ABC}$の外接円の接線ならば$∠\text{CAT}=∠\text{ABC}$が成り立つ。
すると、接弦定理の逆は以下のようになります。
$△\text{ABC}$とその外部の角$\text{CAP}$について、$∠\text{CAP}=∠\text{ABC}$が成り立つならば直線$\text{AP}$は$△\text{ABC}$の外接円の接線である。

これが正しいことを確かめます。


$∠\text{ABC}$が鋭角の場合

接弦定理の逆 ∠ABCが鋭角の場合
 仮定より
\begin{equation}∠\text{CAP}=∠\text{ABC}\end{equation}
$△\text{ABC}$の外接円$\text{O}$を描き、点$\text{A}$を端点とする円$\text{O}$の直径の他端を$\text{B'}$とします。
$△\text{ABC}$の頂点$\text{B}$を点$\text{B'}$へ移動させると、円周角の定理より
\begin{equation}∠\text{ABC}=∠\text{AB'C}\end{equation}
となります。
また、$△\text{AB'C}$は$∠\text{AB'C}=90°$である直角三角形で、2つの鋭角の和は$90°$となるので
\begin{equation}∠\text{AB'C}+∠\text{B'AC}=90°\end{equation}
ここで円$\text{O}$の直径$\text{AB'}$と直線$\text{AP}$のなす角は$∠\text{B'AP}=∠\text{B'AC}+∠\text{CAP}$なので、$(1),(2),(3)$より
\begin{align*}∠\text{B'AP}&=∠\text{B'AC}+∠\text{ABC}\\[0.5em]&=∠\text{B'AC}+∠\text{AB'C}\\[0.5em]&=90°\end{align*}
となり、$\text{AB'}\perp \text{AP}$が成り立つので、直線$\text{AP}$は円$\text{O}$の接線であることがわかります。

$∠\text{ABC}$が直角の場合

接弦定理の逆 ∠ABCが直角の場合
 $△\text{ABC}$の外接円$\text{O}$を考えると、$∠\text{ABC}=90°$より斜辺$\text{AC}$が円$\text{O}$の直径となります。
したがって、仮定の$∠\text{CAP}=∠\text{ABC}$より円$\text{O}$の直径$\text{AC}$と直線$\text{AP}$の間に$\text{AC}\perp \text{AP}$が成り立つので、直線$\text{AP}$は円$\text{O}$の接線であることがわかります。

$∠\text{ABC}$が鈍角の場合

接弦定理の逆 ∠ABCが鈍角の場合
 仮定より
\begin{equation}∠\text{CAP}=∠\text{ABC}\end{equation}
$△\text{ABC}$の外接円$\text{O}$を描き、点$\text{A}$を端点とする円$\text{O}$の直径の他端を$\text{B'}$とします。
このとき、四角形$\text{ABCB'}$について円に内接する四角形の対角の和より
\begin{equation}∠\text{ABC}+∠\text{AB'C}=180°\end{equation}
タレスの定理より円$\text{O}$の直径$\text{AB'}$に対する円周角は$∠\text{ACB'}=90°$なので、$△\text{AB'C}$は直角三角形であることがわかります。
直角三角形の2つの鋭角の和は$90°$なので
\begin{align*}∠\text{AB'C}+∠\text{B'AC}&=90°\\[0.5em]\therefore∠\text{B'AC}&=90°-∠\text{AB'C}\tag6\end{align*}
ここで、直径$\text{AB'}$と直線$\text{AP}$のなす角は$∠\text{B'AP}=∠\text{CAP}-∠\text{B'AC}$なので、$(4),(5),(6)$より
\begin{align*}∠\text{B'AP}&=∠\text{ABC}-(90°-∠\text{AB'C})\\[0.5em]&=∠\text{ABC}+∠\text{AB'C}-90°\\[0.5em]&=180°-90°\\[0.5em]&=90°\end{align*}
となり、$\text{AB'}\perp \text{AP}$が成り立つので、直線$\text{AP}$は円$\text{O}$の接線であることがわかります。

 以上より、接弦定理の逆
$△\text{ABC}$とその外部の角$∠\text{CAP}$について、$∠\text{CAP}=∠\text{ABC}$が成り立つならば直線$\text{AP}$は$△\text{ABC}$の外接円の接線である。
が成り立つことがわかります。

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