関数$y=f(x)$のグラフをx軸方向に$p$、y軸方向に$q$だけ平行移動した後のグラフの方程式は
\[\large y-q=f(x-p)\]
あるいは
\[\large y=f(x-p)+q\]
と表すことができます。
このことを2通りの方法で説明してみます。
1. グラフの各点の平行移動で考える
関数$y=f(x)$のグラフとは、等式を満たす$x,y$の組$(x,y)$を座標とする点の集合であり、$x=t$($t:$実数)における点は$\bigl(t,f(t)\bigr)$と表すことができます。
逆にどの点も$\bigl(t,f(t)\bigr)$と表せるとき、その点の集合の方程式が$y=f(x)$と書けることを利用します。
逆にどの点も$\bigl(t,f(t)\bigr)$と表せるとき、その点の集合の方程式が$y=f(x)$と書けることを利用します。
x軸方向に平行移動
関数$y=f(x)$のグラフをx軸方向に$p$だけ平行移動した場合を考えます。
これはグラフ上の各点がx軸方向に$p$だけ平行移動することを意味します。
これはグラフ上の各点がx軸方向に$p$だけ平行移動することを意味します。
ここで平行移動後のグラフにおいて、$x=t$における点というのは$y=f(x)$の$x=t-p$における点$\bigl(t-p,f(t-p)\bigr)$が平行移動してきたものなので、その座標は$\bigl(t,f(t-p)\bigr)$と表すことができます。
したがって、関数$y=f(x)$のグラフをx軸方向に$p$だけ平行移動した後のグラフの方程式は
\[\large y=f(\textcolor{red}{x-p})\]
となることがわかります。
また、$y=f(x)$のグラフ上の任意の点$\bigl(t,f(t)\bigr)$の平行移動後の点$\bigl(t+p,f(t)\bigr)$は$t+p=u$とおけば、$t=u-p$なので$\bigl(u,f(u-p)\bigr)$と書けることからも平行移動した後のグラフの方程式が
\[\large y=f(\textcolor{red}{x-p})\]
となることがわかります。
y軸方向に平行移動
関数$y=f(x)$のグラフをy軸方向に$q$だけ平行移動した場合を考えます。
これはグラフ上の各点がy軸方向に$q$だけ平行移動することを意味します。
これはグラフ上の各点がy軸方向に$q$だけ平行移動することを意味します。
したがって、関数$y=f(x)$のグラフをy軸方向に$q$だけ平行移動した後のグラフの方程式は
\[\large y=f(x)\textcolor{blue}{+q}\]
となることがわかります。
2つの方向へ平行移動
関数$y=f(x)$のグラフをx軸方向へ$p$、y軸方向に$q$だけ平行移動した場合を考えます。
$y=f(x)$のグラフ上の点の座標はいずれも$\bigl(t,f(t)\bigr)$と表すことができるため、平行移動後の点の座標は$\bigl(t+p,f(t)+q\bigr)$となります。
ここで平行移動後のグラフにおいて、$x=t$における点というのは$y=f(x)$の$x=t-p$における点$\bigl(t-p,f(t-p)\bigr)$が平行移動してきたものなので、その座標は$\bigl(t,f(t-p)+q\bigr)$と表すことができます。
したがって、関数$y=f(x)$のグラフをx軸方向へ$p$、y軸方向に$q$だけ平行移動した後のグラフの方程式は
\[\large y=f(\textcolor{red}{x-p})\textcolor{blue}{+q}\]
となり、x軸方向への平行移動とy軸方向への平行移動による変化の両方が起こっていることがわかります。
2. 2つの平面をつかって考える
関数$y=f(x)$のグラフと全く同じものを別の平面につくり、2つの平面を重ねて平行移動したときの同方向の座標間の関係に着目します。
x軸方向への平行移動
関数$y=f(x)$のグラフをx軸方向に$p$だけ平行移動した場合を考えます。
関数$y=f(x)$グラフを描き、これと全く同じグラフを描いた座標平面をもう1つつくります。もう1つの座標平面はx軸の代わりにt軸をおきます。
すると、もう1つの座標平面に描かれたグラフは関数$y=f(t)$のグラフであるといえます。以降、$y=f(x)$のグラフが描かれている座標平面をxy平面、$y=f(t)$のグラフが描かれている座標平面をty平面と呼びます。
すると、もう1つの座標平面に描かれたグラフは関数$y=f(t)$のグラフであるといえます。以降、$y=f(x)$のグラフが描かれている座標平面をxy平面、$y=f(t)$のグラフが描かれている座標平面をty平面と呼びます。
2つのグラフがぴったり重なるように2平面を重ね合わせ、ty平面をx軸方向に$p$だけ平行移動します。これは、ty平面の原点がxy平面の原点から$(p,0)$へ平行移動するような移動であり、$y=f(t)$のグラフはxy平面からみて$y=f(x)$のグラフをx軸方向に$p$だけ平行移動したものとなります。
$y=f(t)$のグラフをxy平面に移すためには$t$を$x$に変換する必要があります。そのためには、$t$と$x$の関係を求めなければなりません。
そこで、xy平面のx軸とty平面のt軸に着目すると、x座標$p$はt座標では$0$となっていることからわかるようにt座標はx座標から$p$を引いた値となっており、
そこで、xy平面のx軸とty平面のt軸に着目すると、x座標$p$はt座標では$0$となっていることからわかるようにt座標はx座標から$p$を引いた値となっており、
\[t=x-p\]
という関係が成り立っていることがわかります。
したがって、$y=f(x)$のグラフをx軸方向に$p$だけ平行移動した後のグラフの方程式は$y=f(t)$に上記の$t$と$x$の関係式を代入したものであるため
\[\large y=f(\textcolor{red}{x-p})\]
と表せることがわかります。すなわち、x軸方向に$p$だけ平行移動することは$x$を$x-p$にする変換によって表せるということです。
y軸方向への平行移動
関数$y=f(x)$のグラフをy軸方向へ$q$だけ平行移動した場合を考えます。
関数$y=f(x)$グラフを描き、これと全く同じグラフを描いた座標平面をもう1つつくります。もう1つの座標平面はy軸の代わりにu軸をおきます。
すると、もう1つの座標平面に描かれたグラフは関数$u=f(x)$のグラフであるといえます。以降、$u=f(x)$のグラフが描かれている座標平面をxu平面と呼びます。
すると、もう1つの座標平面に描かれたグラフは関数$u=f(x)$のグラフであるといえます。以降、$u=f(x)$のグラフが描かれている座標平面をxu平面と呼びます。
2つのグラフがぴったり重なるように2平面を重ね合わせ、xu平面をy軸方向に$q$だけ平行移動します。これは、xu平面の原点がxy平面の原点から$(0,q)$へ平行移動するような移動であり、$u=f(x)$のグラフはxy平面からみて$y=f(x)$のグラフをy軸方向に$q$だけ平行移動したものとなります。
$u=f(x)$のグラフをxy平面に移すために$y$と$u$の関係を求めます。
xy平面のy軸とxu平面のu軸に着目すると、y座標$q$はu座標では$0$となっていることからわかるようにu座標はy座標から$q$を引いた値となっており、
xy平面のy軸とxu平面のu軸に着目すると、y座標$q$はu座標では$0$となっていることからわかるようにu座標はy座標から$q$を引いた値となっており、
\[u=y-q\]
という関係があることがわかります。
したがって、$y=f(x)$のグラフをy軸方向に$q$だけ平行移動した後のグラフの方程式は
$y=\cdots$という形では
\[\large \textcolor{blue}{y-q}=f(x)\]
と表せることがわかります。すなわち、y軸方向に$q$だけ平行移動することは$y$を$y-q$にする変換によって表せるということです。$y=\cdots$という形では
\[\large y=f(x)+q\]
となります。
2つの方向へ平行移動
関数$y=f(x)$のグラフをx軸方向へ$p$、y軸方向に$q$だけ平行移動した場合を考えます。
関数$y=f(x)$グラフを描き、これと全く同じグラフを描いた座標平面をもう1つつくります。もう1つの座標平面はx軸の代わりにt軸、y軸の代わりにu軸をおきます。
すると、もう1つの座標平面に描かれたグラフは関数$u=f(t)$のグラフであるといえます。以降、$u=f(t)$のグラフが描かれている座標平面をtu平面と呼びます。
すると、もう1つの座標平面に描かれたグラフは関数$u=f(t)$のグラフであるといえます。以降、$u=f(t)$のグラフが描かれている座標平面をtu平面と呼びます。
2つのグラフがぴったり重なるように2平面を重ね合わせ、tu平面をx軸方向に$p$だけ、y軸方向に$q$だけ平行移動します。これは、tu平面の原点がxy平面の原点から$(p,q)$へ平行移動するような移動であり、$u=f(t)$のグラフはxy平面からみて$y=f(x)$のグラフをx軸方向に$p$だけ、y軸方向に$q$だけ平行移動したものとなります。
$u=f(t)$のグラフをxy平面に移すために$x$と$t$、$y$と$u$の関係を求めます。
すると、t座標はx座標から$p$を引いた値、u座標はy座標から$q$を引いた値となっており、
すると、t座標はx座標から$p$を引いた値、u座標はy座標から$q$を引いた値となっており、
\begin{cases}t=x-p\\[1em]u=y-q\end{cases}
という関係があることがわかります。
したがって、関数$y=f(x)$のグラフを軸方向に$p$、y軸方向に$q$だけ平行移動した後のグラフの方程式は
$y=\cdots$という形では
\[\large \textcolor{blue}{y-q}=f(\textcolor{red}{x-p})\]
と表せ、x軸方向への平行移動とy軸方向への平行移動を表す2つの変換の両方が行われていることがわかります。$y=\cdots$という形では
\[\large y=f(x-p)+q\]
となります。
(2024/11)加筆修正しました。
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