符号のない数
まずは符号のない数について考えます。
符号のない数というのは、算数で扱うような$0$を最小とする数のことです。これは数直線で表すと以下のようになります。
それぞれの数の大きさは始点となる$0$を基準としてどれだけ離れているかで表されます。すなわち、数直線の矢印の方向へ進んで$0$から遠ざかるほど大きい数となり、逆方向へ進んで$0$に近づくほど小さい数となります。
正の数と負の数
最小の数が$0$である符号のない数に$0$より小さい数を導入したものが正の数と負の数となります。
正の数と負の数は数直線で表すと以下のようになります。
そして、元々の数直線の方向を正の方向、新たにのばした数直線の方向、すなわち正の方向と逆の方向を負の方向と呼ぶことにします。正の方向へ進むほど大きい数となり、負の方向へ進むほど小さい数となります。
$0$より正の方向にある数の頭には”$+$”の符号を付け、$0$より負の方向にある数の頭には”$-$”の符号を付けます。”$+$”を付けた数のことを正の数、”$-$”を付けた数のことを負の数、これら両方を合わせて正負の数といいます。
$0$と正の数はもともと符号のない数であった部分なので、例えば
\[+3=3\]
が成り立ち、正の数から”$+$”を外して符号のない数に置き換えることが可能です。符号のない数は負の数以外の部分を指すことから非負数ということもあります。
負の数は$0$より小さい数として新たに導入された数となります。こちらは符号のない数では表すことができない数なので”$-$”を外すことはできません。
また、$0$は正の数と負の数のちょうど境界に位置する数であり、正の数にも負の数にも含まれません。
整数である正負の数の名称は、大抵は”負の数”→”負の整数”のように”数”を”整数”に置き換えるだけですが、整数である正の数は正の整数以外に自然数ともいいます。
絶対値
正負の数は「$0$より正の方向にあるのか負の方向にあるのか」と「$0$からどれだけ離れているのか」という$0$を基準とした2つ要素で表されていることに気づきます。
「$0$より正の方向にあるのか負の方向にあるのか」というのは数の頭に付けた”$+-$”の符号の部分が、「$0$からどれだけ離れているのか」というのは正負の数から符号を取り払った符号のない数の部分がそれぞれ表しています。
このうち「$0$からどれだけ離れているのか」を表す正負の数から符号を取り払った数のことを絶対値といいます。
例えば$+2$の絶対値は$2$、$-5$の絶対値は$5$となります。
また、何の正負の数の絶対値かを明らかにして表すには、正負の数を縦棒”$|$”で囲って$|+2|$や$|-5|$のように書きます。
したがって、$+2$の絶対値は$2$、$-5$の絶対値は$5$を数式では
\[|+2|=2,\qquad|-5|=-5\]
と書きます。
絶対値は符号を取り払った符号のない数(非負数)であるため、$0$を含むすべての正負の数の絶対値は必ず$0$以上の値となります。
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