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2022年6月19日

三角関数の合成 sinやcosの係数をどうするか?

 三角関数の合成とは同じ角度が入っている三角関数の和や差、すなわち$a\sinθ+b\cosθ$や$a\sinθ-b\cosθ$を1つの三角関数で表す方法のことです。

 三角関数の合成の公式は以下のようになります。

公式1

\[\large a\sin\theta\pm b\cos\theta=r\sin(\theta\pm\alpha)\tag{複号同順}\]
$r,θ$はそれぞれ
\begin{align*}\large r=\sqrt{a^2+b^2}\\[0.5em]\large\begin{cases}\cos\alpha=\dfrac{\color{red}a}{\sqrt{a^2+b^2}}\\[0.5em]\sin\alpha=\dfrac{\color{blue}b}{\sqrt{a^2+b^2}}\end{cases}\end{align*}
を満たす。

公式2

\[\large a\sin\theta\pm b\cos\theta=\pm r\cos(\theta\mp\alpha)\tag{複号同順}\]
$r,θ$はそれぞれ
\begin{align*}\large r=\sqrt{a^2+b^2}\\[0.5em]\large\begin{cases}\cos\alpha=\dfrac{\color{blue}b}{\sqrt{a^2+b^2}}\\[0.5em]\sin\alpha=\dfrac{\color{red}a}{\sqrt{a^2+b^2}}\end{cases}\end{align*}
を満たす。

これらは加法定理を利用して導くことができます。


$(a,b)$を考える場合

点(a,b)と三角関数をもちいた座標表示
 実数$a,b$によって表される点の座標として$(a,b)$を考えます。
原点から$(a,b)$までの距離を$r$、$(a,b)$における動径のなす角を$α$とおくと$(a,b)=(r\cosα,r\sinα)$と表せます。このとき、$r$は
\[r=\sqrt{a^2+b^2}\]
、$α$は連立方程式
\begin{cases}\cos\alpha=\dfrac{a}{\sqrt{a^2+b^2}}\\[0.5em]\sin\alpha=\dfrac{b}{\sqrt{a^2+b^2}}\end{cases}
より求められます。
したがって、$a\sinθ+b\cosθ$は
\begin{align*}a\sin\theta+b\cos\theta&=r\cos\alpha\sin\theta+r\sin\alpha\cos\theta\\[0.5em]&=r(\cos\alpha\sin\theta+\sin\alpha\cos\theta)\\[0.5em]&=r(\sin\theta\cos\alpha+\cos\theta\sin\alpha)\end{align*}
と変形でき、加法定理$\sin(x+y)=\sin x\cos y+\cos x\sin y$より
\[\large a\sin\theta+b\cos\theta=r\sin(\theta+\alpha)\]
が導かれます。
 同様に$a\sinθ-b\cosθ$は
\begin{align*}a\sin\theta-b\cos\theta&=r\cos\alpha\sin\theta-r\sin\alpha\cos\theta\\[0.5em]&=r(\cos\alpha\sin\theta-\sin\alpha\cos\theta)\\[0.5em]&=r(\sin\theta\cos\alpha-\cos\theta\sin\alpha)\end{align*}
と変形でき、加法定理$\sin(x-y)=\sin x\cos y-\cos x\sin y$より
\[\large a\sin\theta-b\cos\theta=r\sin(\theta-\alpha)\]
が導かれます。

$(b,a)$を考える場合

点(b,a)と三角関数をもちいた座標表示
 今度は実数$a,b$によって表される点の座標として$(b,a)$を考えます。
原点から$(b,a)$までの距離を$r$、$(b,a)$における動径のなす角を$α$とおくと$(b,a)=(r\cosα,r\sinα)$と表せます。このとき、$r$は
\[r=\sqrt{b^2+a^2}=\sqrt{a^2+b^2}\]
、$α$は連立方程式
\begin{cases}\cos\alpha=\dfrac{b}{\sqrt{a^2+b^2}}\\[0.5em]\sin\alpha=\dfrac{a}{\sqrt{a^2+b^2}}\end{cases}
より求められます。
したがって、$a\sinθ+b\cosθ$は
\begin{align*}a\sin\theta+b\cos\theta&=r\sin\alpha\sin\theta+r\cos\alpha\cos\theta\\[0.5em]&=r(\sin\alpha\sin\theta+\cos\alpha\cos\theta)\\[0.5em]&=r(\cos\theta\cos\alpha+\sin\theta\sin\alpha)\end{align*}
と変形でき、加法定理$\cos(x-y)=\cos x\cos y+\sin x\sin y$より
\[\large a\sin\theta+b\cos\theta=r\cos(\theta-\alpha)\]
が導かれます。
 同様に$a\sinθ-b\cosθ$は
\begin{align*}a\sin\theta-b\cos\theta&=r\sin\alpha\sin\theta-r\cos\alpha\cos\theta\\[0.5em]&=r(\sin\alpha\sin\theta-\cos\alpha\cos\theta)\\[0.5em]&=-r(\cos\theta\cos\alpha-\sin\theta\sin\alpha)\end{align*}
と変形でき、加法定理$\cos(x+y)=\cos x\cos y-\sin x\sin y$より
\[\large a\sin\theta-b\cos\theta=-r\cos(\theta+\alpha)\]
が導かれます。

以上のようにして三角関数の合成の公式を導くことができます。

(2024/5)内容を修正しました。
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