自然数の平方数を小さい順に並べた数列の初項から第nn項までの総和(第nn部分和)は
n∑k=1k2=n(n+1)(2n+1)6n∑k=1k2=n(n+1)(2n+1)6
自然数の立方数を小さい順に並べた数列の第nn部分和は
n∑k=1k3={n(n+1)2}2n∑k=1k3={n(n+1)2}2
となります。
なぜこのように表すことができるのでしょうか?
これらを導くために、「1からnまでの自然数の和(自然数を小さい順に並べた数列の第n部分和)」の方法2と同様の方法を利用します。
自然数の平方数を小さい順に並べた数列の第n部分和
平方数とは整数を2乗した数のことであり、自然数の平方数を小さい順に並べた数列とは
12,22,32,42,52,⋯
すなわち
1,4,9,16,25,⋯
という数列のことです。
この数列の一般項はn2なので、第n部分和は
12+22+⋯+(n−1)2+n2=n∑k=1k2
と書けます。
この数列の第n部分和の他の表し方については、恒等式
この恒等式のkに1からnまでの自然数を1つずつ代入し、n個の式をつくります。
(k+1)3−k3=3k2+3k+1
を利用します。この恒等式のkに1からnまでの自然数を1つずつ代入し、n個の式をつくります。
できた式は以下の通りです。
23−13=3⋅12+3⋅1+133−23=3⋅22+3⋅2+143−33=3⋅32+3⋅3+1⋮⋮(n−1)3−(n−2)3=3(n−2)2+3(n−2)+1n3−(n−1)3=3(n−1)2+3(n−1)+1(n+1)3−n3=3n2+3n+1
これらの式の辺々を加えると
23−13=3⋅12+3⋅1+133−23=3⋅22+3⋅2+143−33=3⋅32+3⋅3+1⋮⋮⋮⋮⋮(n−1)3−(n−2)3=3(n−2)2+3(n−2)+1n3−(n−1)3=3(n−1)2+3(n−1)+1+)(n+1)3−n3=3n2+3n+1(n+1)3−13=3{12+22+⋯+(n−1)2+n2}+3{1+2+⋯+(n−1)+n}+(1+1+⋯+1+1⏟n個)
となり、
(n+1)3−1=3n∑k=1k2+3n∑k=1k+n
が得られます。
「1からnまでの自然数の和(自然数を小さい順に並べた数列の第n部分和)」にて
n∑k=1k=n(n+1)2
であることがわかっているので、これを代入し、∑nk=1k2=SとおいてSについて解くと
(n+1)3−1=3S+3⋅n(n+1)2+nn3+3n2+3n=3S+3⋅n(n+1)2+n2n3+6n2+6n=6S+3n(n+1)+2n=6S+3n2+5n6S=(2n3+6n2+6n)−(3n2+5n)=2n3+3n2+n=n(2n2+3n+1)=n(n+1)(2n+1)∴S=n(n+1)(2n+1)6
となり、自然数の平方数を小さい順に並べた数列の第n部分和が
n∑k=1k2=n(n+1)(2n+1)6
と書けることがわかります。
自然数の立方数を小さい順に並べた数列の第n部分和
立方数とは整数を3乗した数のことであり、自然数の立方数を小さい順に並べた数列とは
13,23,33,43,53,⋯
すなわち
1,8,27,48,125,⋯
という数列のことです。
この数列の一般項はn3なので、第n部分和は
13+23+⋯+(n−1)3+n3−=n∑k=1k3
と書けます。
この数列の第n部分和の他の表し方については、恒等式
この恒等式のkに1からnまでの自然数を1つずつ代入し、n個の式をつくります。
(k+1)4−k4=4k3+6k2+4k+1
を利用します。
この恒等式のkに1からnまでの自然数を1つずつ代入し、n個の式をつくります。
できた式は以下の通りです。
24−14=4⋅13+6⋅12+4⋅1+134−24=4⋅23+6⋅22+4⋅2+144−34=4⋅33+6⋅32+4⋅3+1⋮⋮(n−1)4−(n−2)4=4(n−2)3+6(n−2)2+4(n−2)+1n4−(n−1)4=4(n−1)3+6(n−1)2+4(n−1)+1(n+1)4−n4=4n3+6n2+4n+1
これらの式の辺々を加えると
24−14=4⋅13+6⋅12+4⋅1+134−24=4⋅23+6⋅22+4⋅2+144−34=4⋅33+6⋅32+4⋅3+1⋮⋮⋮⋮⋮⋮(n−1)4−(n−2)4=4(n−2)3+6(n−2)2+4(n−2)+1n4−(n−1)4=4(n−1)3+6(n−1)2+4(n−1)+1+)(n+1)4−n4=4n3+6n2+4n+1(n+1)4−14=4{13+23+⋯+(n−1)3+n3}+6{12+22+⋯+(n−1)2+n2}+4{1+2+⋯+(n−1)+n}+(1+1+⋯+1+1⏟n個)
となり、
(n+1)4−1=4n∑k=1k3+6n∑k=1k2+4n∑k=1k+n
が得られます。
上記より
n∑k=1k=n(n+1)2,n∑k=1k2=n(n+1)(2n+1)6
であることがわかっているので、これらを代入し、∑nk=1k3=SとおいてSについて解くと
(n+1)4−1=4S+6{n(n+1)(2n+1)6}+4{n(n+1)2}+n=4S+n(n+1)(2n+1)+2n(n+1)+n=4S+n{(n+1)(2n+1)+2(n+1)+1}=4S+n(2n2+5n+4)n4+4n3+6n2+4n=4S+n(2n2+5n+4)n(n3+4n2+6n+4)=4S+n(2n2+5n+4)4S=n(n3+4n2+6n+4)−n(2n2+5n+4)=n{(n3+4n2+6n+4)−(2n2+5n+4)}=n(n3+2n2+n)=n2(n2+2n+1)=n2(n+1)2S=n2(n+1)24∴S={n(n+1)2}2
となり、自然数の立方数を小さい順に並べた数列の第n部分和が
n∑k=1k3={n(n+1)2}2
と書けることがわかります。
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