数列のある項から別のある項までのすべての項の和のことを部分和といい、特に初項から第nn項までの和のことを第nn部分和といいます。
数列{an}{an}の第nn部分和は、例えばSnSnというように文字でおくことがありますが、∑∑をもちいて
数列{an}{an}の第nn部分和は、例えばSnSnというように文字でおくことがありますが、∑∑をもちいて
n∑k=1akn∑k=1ak
というように表すこともできます。
∑∑(大文字のシグマ)は与えられた数をすべて足し合わせる総和を表す記号であり、∑∑の上下に書いた規則に従い、∑∑の右に書いた数列の項または集合の要素を足し合わせることを表します。
n∑k=1ak=a1+a2+⋯+an−1+ann∑k=1ak=a1+a2+⋯+an−1+an
先の例の場合、数列の一般項akakに対し∑∑の下のk=1k=1という代入を最初に行い、nnまでの整数をkkに代入することで現れるすべての項、すなわち第11項(初項)から第nn項までをすべて足し合わせることを意味しており、第nn部分和のことを簡潔に表す記法となります。
したがって、上式が成り立ちます。
この記法は、第nn部分和以外の部分和も∑∑の上下部分を変更することで表すことができます。
例えば、第33項から第n−2n−2項までの部分和は
例えば、第33項から第n−2n−2項までの部分和は
n−2∑k=3akn−2∑k=3ak
となります。
∑∑の下部分と数列の添え字にもちいられている文字kkは、部分和の範囲を表すためだけにもちいられます。
n∑k=1akn∑i=1ain∑x=1axn∑k=1akn∑i=1ain∑x=1ax
上記の3つの部分和は赤く示した文字のみ異なりますが、部分和の範囲が変わったわけではなく、部分和の範囲を表すためにもちいる文字が変わっただけなので、表す部分和は全く同じです。
∑∑の性質
部分和にもちいられている∑∑には以下のような性質があります。
n∑k=1c=nc(c:定数)n∑k=1pak=pn∑k=1ak(p:定数)n∑k=1(ak±bk)=n∑k=1ak±n∑k=1bk(複号同順)n∑k=1c=nc(c:定数)n∑k=1pak=pn∑k=1ak(p:定数)n∑k=1(ak±bk)=n∑k=1ak±n∑k=1bk(複号同順)(1)(2)(3)
これらが成り立つことを確かめてみます。
(1)∑nk=1c=nc∑nk=1c=nc
すべての項が定数ccである数列{an}{an}は一般項が
an=can=c
となります。この数列の第nn部分和は
n∑k=1ak=n∑k=1c=c+c+⋯+c+cn∑k=1ak=n∑k=1c=c+c+⋯+c+c
第nn部分和で足し合わせている初項から第nn項までの項数はnnなので
n∑k=1c=ncn∑k=1c=nc
となることがわかります。
特にc=0c=0のとき
n∑k=10=0n∑k=10=0
c=1c=1のとき
n∑k=11=nn∑k=11=n
です。
(2)∑nk=1pak=p∑nk=1ak∑nk=1pak=p∑nk=1ak
ある数列{an}{an}の各項をpp倍した数列{bn}{bn}を考えると、一般項は
bn=panbn=pan
となります。
この数列の第nn部分和は
n∑k=1bk=n∑k=1pak=pa1+pa2+⋯+pan−1+pan=p(a1+a2+⋯+an−1+an)=pn∑k=1akn∑k=1bk=n∑k=1pak=pa1+pa2+⋯+pan−1+pan=p(a1+a2+⋯+an−1+an)=pn∑k=1ak
となるため、
n∑k=1pak=pn∑k=1akn∑k=1pak=pn∑k=1ak
が成り立つことがわかります。
(3)∑nk=1ak±bk=∑nk=1ak±∑nk=1bk∑nk=1ak±bk=∑nk=1ak±∑nk=1bk
∑nk=1ak+bk∑nk=1ak+bkの場合
一般項cncnが、ある数列{an}{an}の一般項と別のある数列{bn}{bn}の一般項の和、すなわち
cn=an+bncn=an+bn
となる数列{cn}{cn}を考えます。
この数列の第nn部分和は
n∑k=1ck=n∑k=1ak+bk=(a1+b1)+(a2+b2)+⋯+(an−1+bn−1)+(an+bn)=(a1+a2+⋯+an−1+an)+(b1+b2+⋯+bn−1+bn)=n∑k=1ak+n∑k=1bkn∑k=1ck=n∑k=1ak+bk=(a1+b1)+(a2+b2)+⋯+(an−1+bn−1)+(an+bn)=(a1+a2+⋯+an−1+an)+(b1+b2+⋯+bn−1+bn)=n∑k=1ak+n∑k=1bk
となるため、
n∑k=1(ak+bk)=n∑k=1ak+n∑k=1bk
が成り立つことがわかります。
2. ∑nk=1ak−bkの場合
一般項cnが、ある数列{an}の一般項と別のある数列{bn}の一般項の差、すなわち
cn=an−bn
となる数列{cn}を考えます。
この数列の第n部分和は
n∑k=1ck=n∑k=1(ak−bk)=(a1−b1)+(a2−b2)+⋯+(an−1−bn−1)+(an−bn)=(a1+a2+⋯+an−1+an)−b1−b2−⋯−bn−1−bn=(a1+a2+⋯+an−1+an)−(b1+b2+⋯+bn−1+bn)=n∑k=1ak−n∑k=1bk
となるため、
n∑k=1(ak−bk)=n∑k=1ak−n∑k=1bk
が成り立つことがわかります。
(a), (b)より
n∑k=1(ak±bk)=n∑k=1ak±n∑k=1bk(複号同順)
であることがわかります。
第n部分和の公式
数列の部分和にはいくつか有名な公式があります。
初項がa、公差がdの等差数列の第n部分和
この等差数列を{an}とおくと
n∑k=1ak=n2{2a+(n−1)d}
初項がa、公比がrの等比数列の第n部分和
この等比数列を{bn}とおくと
n∑k=1bk=a(1−rn)1−r=a(rn−1)r−1
自然数を小さい順に並べた数列の第n部分和
これは初項が1、公差が1の等差数列でもあり、
n∑k=1k=n(n+1)2
自然数の平方数を小さい順に並べた数列の第n部分和
n∑k=1k2=n(n+1)(2n+1)6
自然数の立方数を小さい順に並べた数列の第n部分和
n∑k=1k3={n(n+1)2}2
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