無限等比数列のすべての項の和を等比級数(あるいは無限等比級数)といい、第nn部分和のnnを限りなく大きくしたときの極限によって求めることができます。
すなわち、初項aa、公比rr(ただし、a≠0,r≠0a≠0,r≠0)の等比級数は
すなわち、初項aa、公比rr(ただし、a≠0,r≠0a≠0,r≠0)の等比級数は
∞∑n=1arn−1={limn→∞a(1−rn)1−r(r≠1)limn→∞na(r=1)∞∑n=1arn−1=⎧⎪
⎪⎨⎪
⎪⎩limn→∞a(1−rn)1−r(r≠1)limn→∞na(r=1)
により求められます。
これが発散するか収束するかは公比rrによって決まります。
0<r<10<r<1のとき
0<r<10<r<1のとき
∞∑n=1arn−1=limn→∞a(1−rn)1−r∞∑n=1arn−1=limn→∞a(1−rn)1−r
を考えます。
n→∞n→∞のときrn→0rn→0なので、1−rn→11−rn→1となります。
したがって、このときの等比級数∑∞n=1arn−1∑∞n=1arn−1は
∞∑n=1arn−1=limn→∞a(1−rn)1−r∞∑n=1arn−1=a1−r∞∑n=1arn−1=limn→∞a(1−rn)1−r∞∑n=1arn−1=a1−r
となり、収束することがわかります。
r=1r=1のとき
r=1r=1のとき
∞∑n=1arn−1=limn→∞na∞∑n=1arn−1=limn→∞na
を考えます。
このときの等比級数∑∞n=1arn−1∑∞n=1arn−1は初項aaの符号によって正の無限大か負の無限大のどちらに発散するのかが決まり、
∞∑n=1arn−1={∞(a>0)−∞(a<0)∞∑n=1arn−1={∞(a>0)−∞(a<0)
となります。
r>1r>1のとき
r>1r>1のとき
∞∑n=1arn−1=limn→∞a(1−rn)1−r∞∑n=1arn−1=limn→∞a(1−rn)1−r
を考えます。
r>1r>1より1−r<01−r<0です。
また、n→∞n→∞のときrn→∞rn→∞なので、1−rn→−∞1−rn→−∞となります。
すると、1−rn1−r→∞1−rn1−r→∞であることがわかります。
また、n→∞n→∞のときrn→∞rn→∞なので、1−rn→−∞1−rn→−∞となります。
すると、1−rn1−r→∞1−rn1−r→∞であることがわかります。
したがって、このときの等比級数∑∞n=1arn−1は初項aの符号によって正の無限大か負の無限大のどちらに発散するのかが決まり、
∞∑n=1arn−1={∞(a>0)−∞(a<0)
となります。
−1<r<0のとき
−1<r<0のとき
∞∑n=1arn−1=limn→∞a(1−rn)1−r
を考えます。
r=−|r|と書けるので、等比級数の分子を変形すると
∞∑n=1arn−1=limn→∞a(1−rn)1−r=limn→∞a{1−(−|r|)n}1−r=limn→∞a{1−(−1)n|r|n}1−r
となります。
0<|r|<1なので、n→∞のとき|r|n→0であり、1−(−1)n|r|n→1となります。
したがって、このときの等比級数∑∞n=1arn−1は
∞∑n=1arn−1=a1−r
となり、収束することがわかります。
r=−1のとき
r=−1のとき
∞∑n=1arn−1=limn→∞a(1−rn)1−r
を考えます。
r=−1を代入すると
∞∑n=1arn−1=limn→∞a{1−(−1)n}1−(−1)=limn→∞a{1−(−1)n}2
となります。
nが奇数のとき、(−1)n=−1よりa{1−(−1)n}2=0となり、
nが偶数のとき、(−1)n=1よりa{1−(−1)n}2=aとなることから、このときの等比級数∑∞n=1arn−1は0とaの2つの値を交互にとって振動することがわかります。
r<−1のとき
r<−1のとき
∞∑n=1arn−1=limn→∞a(1−rn)1−r
を考えます。
r=−|r|と書けるので、
∞∑n=1arn−1=limn→∞a{1−(−|r|)n}1−(−|r|)=limn→∞a{1−(−1)n|r|n}1+|r|=limn→∞{a1+|r|−a1+|r|⋅(−1)n|r|n}
となります。
nが大きくなっていくと振動する(−1)nと|r|>1であるため正の無限大に発散する|r|nの積(−1)n|r|nは振動しながら発散します。
振動しながら発散する(−1)n|r|nに対し、定数を加えたり0倍以外の定数倍しても振動しながら発散するという性質は変わりません。(sin,cos関数に対して定数を加えたり定数倍しても周期関数(振動することはそのまま)であるのと同じようなものだと考えることができます。)
振動しながら発散する(−1)n|r|nに対し、定数を加えたり0倍以外の定数倍しても振動しながら発散するという性質は変わりません。(sin,cos関数に対して定数を加えたり定数倍しても周期関数(振動することはそのまま)であるのと同じようなものだと考えることができます。)
したがって、(−1)n|r|nに対し定数−a1+|r|倍し、定数a1+|r|を加えているこのときの等比級数∑∞n=1arn−1は振動しながら発散します。
まとめ
上記の場合分けは、同じ結論となったものでまとめることができます。
0<r<1,−1<r<0のとき、等比級数∑∞n=1arn−1は必ずa1−rに収束します。
このときのrの範囲はまとめて|r|<1と書くことができます。
r=±1,r>1,r<−1のとき、等比級数∑∞n=1arn−1は必ず発散します。
このときのrの範囲はまとめて|r|≧1と書くことができます。
したがって、等比級数∑∞n=1arn−1は公比rによって以下のように場合分けすることができます。
- |r|<1のとき:a1−rに収束する。
- |r|≧1のとき:発散する。
また、以下のように発散する場合をより細かく場合分けすることもできます。
- |r|<1のとき:a1−rに収束する。
- a>0かつr≧1のとき:正の無限大に発散する。
- a<0かつr≧1のとき:負の無限大に発散する。
- r≦−1のとき:振動する。
Share: