等比数列には、初項が$0$のものや公比が$0$のものは存在するでしょうか?
等比数列の定義は、「隣り合う項の比が一定である数列」です。
隣り合う項の比$r$とは、ある数列$\{a_n\}$のある項$a_n$とその次の項$a_{n+1}$をもちいて
隣り合う項の比$r$とは、ある数列$\{a_n\}$のある項$a_n$とその次の項$a_{n+1}$をもちいて
\[r=\frac{a_{n+1}}{a_n}\]
より求められるもので、この$r$の値がどの隣り合う項においても一定であるとわかったときに数列$\{a_n\}$は等比数列であるといえる、というのが等比数列の定義の内容となります。
以上のことをもちいて、初項が$0$または公比が$0$という等比数列が存在するのかを調べてみます。
初項が$0$の等比数列
初項が$0$である数列$\{a_n\}$を考えると、初項$a_1$と第2項$a_2$の比$r$は
\[r=\frac{a_2}{a_1}=\frac{a_2}{0}\]
となります。
しかし、分母が$0$であるため、初項と第2項$a_2$の比$r$の値を定義できません。
初項と第2項の比も含め、どの隣り合う項の比も一定の値をもたなければ等比数列とはいえないので、この数列$\{a_n\}$は等比数列でないことがわかります。
初項と第2項の比も含め、どの隣り合う項の比も一定の値をもたなければ等比数列とはいえないので、この数列$\{a_n\}$は等比数列でないことがわかります。
したがって、初項$0$である等比数列は存在しません。
公比が$0$の等比数列
どの隣り合う項の比も$0$である数列$\{b_n\}$が存在すると仮定します。
このとき、初項$b_1$と第2項$b_2$の比$r$を考えると
仮定より$r=0$となるので、上式が成り立つためには$b_1\neq0$かつ$b_2=0$でなければならないことがわかります。
\[r=\frac{b_2}{b_1}\]
となります。仮定より$r=0$となるので、上式が成り立つためには$b_1\neq0$かつ$b_2=0$でなければならないことがわかります。
今度は第2項$b_2$と第3項$b_3$の比$r'$を考えると
すると同様に、仮定より$r'=0$となることから、上式が成り立つためには$b_2\neq0$かつ$b_3=0$でなければならないことがわかります。
しかし、初項$b_1$と第2項$b_2$の比において$b_2=0$でなければならないとしたことと矛盾します。
\[r'=\frac{b_3}{b_2}\]
となります。すると同様に、仮定より$r'=0$となることから、上式が成り立つためには$b_2\neq0$かつ$b_3=0$でなければならないことがわかります。
しかし、初項$b_1$と第2項$b_2$の比において$b_2=0$でなければならないとしたことと矛盾します。
したがって、仮定の「どの隣り合う項の比も$0$である数列$\{b_n\}$が存在する」は誤りで、どの隣り合う項の比も$0$であるような数列は存在しないことがわかります。
このことから、公比が$0$である等比数列も存在しません。
以上より、等比数列の定義に従えば初項が$0$の等比数列や公比が$0$の等比数列は存在しないことがわかります。
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