等比数列の一般項は
\[a_n=a r^{n-1}\quad(a:初項,r:公比,n:自然数)\]
と表せます。(ただし、$a\neq0,r\neq0$)
$n$が大きくなっていくと等比数列の項はどうなるでしょうか?
$a>0$かつ$r>0$のとき
$a>0$かつ$r>0$のときは公比$r$によって3つの場合が考えられます。
$0<r<1$のとき
$0<r<1$という不等式は、べき乗の性質より
\[0<r^1<r^0\]
と書くことができます。各辺に$a$を掛けると、$a>0$より
\begin{equation}0<ar^1<ar^0\end{equation}
となります。
$0<a r^n<a r^{n-1}$が成り立つと仮定し、各辺に$r$を掛けると
\begin{equation}0<a r^{n+1}<a r^n\end{equation}
が成り立つことがわかります。
$(1)$は仮定$0<a r^n<a
r^{n-1}$の$n=1$における不等式なので、$(2)$より$n\geqq2$においても仮定が成り立つことが数学的帰納法によってわかります。
またこのことから、$n$が大きくなっていくと$a r^n$は常に正のまま$0$に近づいていくこともわかります。
これは$n$を$n-1$に置き換えても同様なので、$n$が大きくなっていくと等比数列の項$a r^{n-1}$は常に正のまま$0$に近づいていく($0$に収束する)ことがわかります。
またこのことから、$n$が大きくなっていくと$a r^n$は常に正のまま$0$に近づいていくこともわかります。
これは$n$を$n-1$に置き換えても同様なので、$n$が大きくなっていくと等比数列の項$a r^{n-1}$は常に正のまま$0$に近づいていく($0$に収束する)ことがわかります。
$r=1$のとき
$r=1$のとき、
\[a r^{n-1}=a\]
となるので、$n$にかかわらず等比数列の項$a
r^{n-1}$は常に$a$である($a$に収束する)ことがわかります。
$r>1$のとき
$r>1$という不等式は、べき乗の性質より
\[r^1>r^0\]
と書くことができます。両辺に$a$を掛けると、$a>0$より
\begin{equation}a r^1>a r^0\end{equation}
となります。
$a r^n>a r^{n-1}$が成り立つと仮定し、両辺に$r$を掛けると
\begin{equation}a r^{n+1}>a r^n\end{equation}
が成り立つことがわかります。
$(3)$は仮定$a r^n>a
r^{n-1}$の$n=1$における不等式なので、$(4)$より$n\geqq2$においても仮定が成り立つことが数学的帰納法によってわかります。
またこのことから、$n$が大きくなっていくと$ar^n$も大きくなっていくということもわかります。
これは$n$を$n-1$に置き換えても同様なので、$n$が大きくなっていくと等比数列の項$a r^{n-1}$も大きくなっていくことがわかります。
またこのことから、$n$が大きくなっていくと$ar^n$も大きくなっていくということもわかります。
これは$n$を$n-1$に置き換えても同様なので、$n$が大きくなっていくと等比数列の項$a r^{n-1}$も大きくなっていくことがわかります。
今度は、等比数列の項$a
r^{n-1}$にはこれ以上大きくならないという上限があるのかを調べます。
どんな$n$のときでも$a
r^n$が決して超えることができない実数$M$が存在すると仮定します。
すなわち、どんな$n$のときでも
すなわち、どんな$n$のときでも
\[a r^n\leqq M\tag{*}\]
が成り立つような実数$M$が存在すると仮定するということです。
$r>1$より$r=1+p$($p>0$)とおくと、$r^n$は二項定理より
両辺に$a$を掛けると$a>0$なので
\begin{align*}r^n&=(1+p)^n\\[0.5em]&={_n C_0}\cdot 1^n +{_n
C_1}\cdot 1^{n-1}\cdot p^1 +{_n C_2}\cdot 1^{n-2}\cdot p^2+\cdots\\
&\quad+{_n C_{n-2}}\cdot 1^2\cdot p^{n-2}+{_n C_{n-1}}\cdot
1^1\cdot p^{n-1}+{_n C_n}\cdot p^n\\[0.5em]&=1+np+{_n
C_2}p^2+\cdots\\ &\quad+{_n
C_{n-2}}p^{n-2}+np^{n-1}+p^n\end{align*}
となり、$1,np,{_n C_2}p^2,\cdots,$${_n
C_{n-2}}p^{n-2},np^{n-1},p^n$はすべて正の数なので
\[\begin{aligned}1+np+{_n C_2}p^2+\cdots\\ &\quad+{_n
C_{n-2}}p^{n-2}+np^{n-1}+p^n\end{aligned}>1+np\]
すなわち、
\[r^n>1+np\]
が成り立ちます。両辺に$a$を掛けると$a>0$なので
\[a r^n>a(1+np)\tag{**}\]
となります。
ここで、実数$M$と$a(1+np)$について
\[M<a(1+np)\tag{***}\]
を満たすような$n$を求めると
\begin{align*}1+np&>\frac{M}{a}\\[0.5em]np&>\frac{M}{a}-1\\[0.5em]n&>\frac{\cfrac{M}{a}-1}{p}&(\because
p>0)\\[0.5em]n&>\frac{M-a}{ap}\end{align*}
となります。自然数は無限に存在するので$n$はこれを満たす値をとることができます。
$(***)$を満たす$n$のとき、$(**)$は
\begin{align*}a r^n&>a(1+np)>M\\[0.5em]\therefore a
r^n&>M\end{align*}
となり、$(*)$に矛盾します。
したがって、仮定は誤りであり、どんな$n$のときでも$r^n$が決して超えることができない実数$M$は存在しないことがわかります。
これは、$n$を$n-1$に置き換えた場合も同様であり、等比数列の項$a
r^{n-1}$は限りなく大きくなれるということを意味します。
以上より、$n$が大きくなっていくと等比数列の項$a r^{n-1}$は限りなく大きくなる(正の無限大に発散する)ことがわかります。
$a<0$かつ$r>0$のとき
$a<0$かつ$r>0$のときも他の場合も公比$r$によって3つの場合が考えられます。
$0<r<1$のとき
$0<r<1$は
\[0<r^1<r^0\]
と書くことができ、各辺に$a$を掛けると、$a<0$より
\begin{equation}0>a r^1>a r^0\end{equation}
となります。
$0>a r^n>a r^{n-1}$が成り立つと仮定し、各辺に$r$を掛けると
\begin{equation}0>a r^{n+1}>a r^n\end{equation}
が成り立つことがわかります。
$(5)$は仮定$0>a r^n>a
r^{n-1}$の$n=1$における不等式なので、$(6)$より$n\geqq2$においても仮定が成り立つことが数学的帰納法によってわかります。
またこのことから、$n$が大きくなっていくと$a r^n$は常に負のまま$0$に近づいていくこともわかります。
これは$n$を$n-1$に置き換えても同様なので、$n$が大きくなっていくと等比数列の項$a r^{n-1}$は常に負のまま$0$に近づいていく($0$に収束する)こともわかります。
またこのことから、$n$が大きくなっていくと$a r^n$は常に負のまま$0$に近づいていくこともわかります。
これは$n$を$n-1$に置き換えても同様なので、$n$が大きくなっていくと等比数列の項$a r^{n-1}$は常に負のまま$0$に近づいていく($0$に収束する)こともわかります。
$r=1$のとき
$r=1$のとき、
\[a r^{n-1}=a\]
となるので、$n$にかかわらず等比数列の項$a
r^{n-1}$は常に$a$である($a$に収束する)ことがわかります。
$r>1$のとき
$r>1$は
\[r^1>r^0\]
と書くことができ、両辺に$a$を掛けると、$a<0$より
\begin{equation}a r^1<a r^0\end{equation}
となります。
$ar^ n<a r^{n-1}$が成り立つと仮定し、両辺に$r$を掛けると
\begin{equation}a r^{n+1}<a r^n\end{equation}
が成り立つことがわかります。
$(7)$は仮定$ar^ n<a
r^{n-1}$の$n=1$における不等式なので、$(8)$より$n\geqq2$においても仮定が成り立つことが数学的帰納法によってわかります。
またこのことから、$n$が大きくなっていくと$ar^n$は小さくなっていくということもわかります。
これは、$n$を$n-1$に置き換えても同様であり、$n$が大きくなっていくと等比数列の項$a r^{n-1}$は小さくなっていくことがわかります。
またこのことから、$n$が大きくなっていくと$ar^n$は小さくなっていくということもわかります。
これは、$n$を$n-1$に置き換えても同様であり、$n$が大きくなっていくと等比数列の項$a r^{n-1}$は小さくなっていくことがわかります。
次に、$a<0$より$a=-|a|$と書けるので
\[a r^{n-1}=-|a| r^{n-1}\]
となります。
$|a|
r^{n-1}$は、$|a|>0$かつ$r>1$のときなので$a>0$かつ$r>1$のときと同様に考えて$n$が大きくなると限りなく大きくなれることがわかります。
したがって、符号が反転している$-|a|
r^{n-1}$、すなわちこのときの等比数列の項$a
r^{n-1}$は$n$が大きくなると限りなく小さくなれることがわかります。
以上より、$n$が大きくなっていくと等比数列の項$a r^{n-1}$は限りなく小さくなる(負の無限大に発散する)ことがわかります。
$a>0$かつ$r<0$のとき
$-1<r<0$のとき
$-1<r<0$より$r=-|r|$と書けるので
\begin{align*}a
r^{n-1}&=a\bigl(-|r|\bigr)^{n-1}\\[0.5em]&=a(-1)^{n-1}|r|^{n-1}\\[0.5em]&=(-1)^{n-1}\cdot
a |r|^{n-1}\end{align*}
となります。
$a |r|^{n-1}$について、$a>0$かつ
ただし、$a>0$より$a=|a|$であることから
\begin{align*}-1<r<0&\Leftrightarrow-1<-|r|<0\\[0.5em]&\Leftrightarrow0<|r|<1\end{align*}
であることより、上述の$a>0,0<r<1$のときと同様に考えて、常に正のまま$0$に近づいていく($0$に収束する)といえることがわかります。
ただし、$a>0$より$a=|a|$であることから
\begin{align*}a |r|^{n-1}&=|a||r|^{n-1}\\[0.5em]&=|a|\bigl|
r^{n-1}\bigr|&\left(\because |x|^p=\bigl|
x^p\bigr|\right)\\[0.5em]&=\bigl| a r^{n-1}\bigr|&(\because
|x||y|=|xy|)\end{align*}
となり、$a |r|^{n-1}$のもつ性質は$a r^{n-1}$の絶対値の性質となります。
また、$(-1)^{n-1}$について、$n-1$が奇数($n$が偶数)のとき$(-1)^{n-1}=-1$となり、$n-1$が偶数($n$が奇数)のとき$(-1)^{n-1}=1$となることがわかります。
すなわち、$(-1)^{n-1}$は正の値と負の値を交互にとります。
すなわち、$(-1)^{n-1}$は正の値と負の値を交互にとります。
したがって、$(-1)^{n-1}$と$a |r|^{n-1}$の積である等比数列の項$a
r^{n-1}$は、$n$が大きくなっていくと正の値と負の値を交互にとりながら$0$に近づいていく($0$に収束する)ことがわかります。
$r=-1$のとき
$r=-1$のとき、
\[a r^{n-1}=a(-1)^{n-1}\]
と書けます。
すると、$(-1)^{n-1}$について、$n-1$が奇数($n$が偶数)のとき$(-1)^{n-1}=-1$となり、$n-1$が偶数($n$が奇数)のとき$(-1)^{n-1}=1$となることから、
\[a
r^{n-1}=\left\{\begin{array}{l}-a&(n:偶数)\\[0.5em]a&(n:奇数)\end{array}\right.\]
となることがわかります。
したがって、等比数列の項$a
r^{n-1}$は、$n$が大きくなっていくと$a$と$-a$を交互にとる(振動する)ことがわかります。
$r<-1$のとき
$r=-|r|$より
\[a r^{n-1}=(-1)^{n-1}\cdot a |r|^{n-1}\]
です。
$a |r|^{n-1}$について、$a>0$かつ
これも、$a>0$より$a=|a|$であることから
\begin{align*}r<-1&\Leftrightarrow
-|r|<-1\\[0.5em]&\Leftrightarrow |r|>1\end{align*}
であることより、上述の$a>0,r>1$のときと同様に考えて、限りなく大きくなる(正の無限大に発散する)といえることがわかります。
これも、$a>0$より$a=|a|$であることから
\[a |r|^{n-1}=\bigl| a r^{n-1}\bigr|\]
なので、$a |r|^{n-1}$のもつ性質は$a r^{n-1}$の絶対値の性質となります。
また、$(-1)^{n-1}$について、$n-1$が奇数($n$が偶数)のとき$(-1)^{n-1}=-1$となり、$n-1$が偶数($n$が奇数)のとき$(-1)^{n-1}=1$となることから、$(-1)^{n-1}$は正の値と負の値を交互にとります。
したがって、$(-1)^{n-1}$と$a |r|^{n-1}$の積である等比数列の項$a
r^{n-1}$は、$n$が大きくなっていくと正の値と負の値を交互にとりながら絶対値を限りなく大きくなっていく(振動する)ことがわかります。
$a<0$かつ$r<0$のとき
$-1<r<0$のとき
$r=-|r|$、$a<0$より$a=-|a|$であることから
\begin{align*}a
r^{n-1}&=-|a|\cdot(-|r|)^{n-1}\\[0.5em]&=(-1)|a|(-1)^{n-1}|r|^{n-1}\\[0.5em]&=(-1)^n
|a||r|^{n-1}\end{align*}
となります。
$|a||r|^{n-1}$について、$|a|>0$かつ
ただし、
\[-1<r<0\Leftrightarrow 0<|r|<1\]
であることより、上述の$a>0,0<r<1$のときと同様に考えて、常に正のまま$0$に近づいていく($0$に収束する)といえることがわかります。
ただし、
\[|a||r|^{n-1}=\bigl| a r^{n-1}\bigr|\]
であることから、$|a||r|^{n-1}$のもつ性質は$a
r^{n-1}$の絶対値の性質となります。
また、$(-1)^n$について、$n$が奇数のとき$(-1)^n=-1$となり、$n$が偶数のとき$(-1)^n=1$となることがわかります。
すなわち、$(-1)^n$は正の値と負の値を交互にとります。
すなわち、$(-1)^n$は正の値と負の値を交互にとります。
したがって、$(-1)^n$と$|a||r|^{n-1}$の積である等比数列の項$a
r^{n-1}$は、$n$が大きくなっていくと正の値と負の値を交互にとりながら絶対値が$0$に近づいていく($0$に収束する)ことがわかります。
$r=-1$のとき
$r=-1,a=-|a|$より
\begin{align*}a
r^{n-1}&=-|a|\cdot(-1)^{n-1}\\[0.5em]&=|a|(-1)^n\end{align*}
と書けます。
すると、$(-1)^n$について、$n$が奇数のとき$(-1)^n=-1$となり、$n$が偶数のとき$(-1)^n=1$となることから、
\[a
r^{n-1}=\left\{\begin{array}{rll}-|a|&=a&(n:奇数)\\[0.5em]|a|&=-a&(n:偶数)\end{array}\right.\]
となることがわかります。
したがって、等比数列の項$a
r^{n-1}$は、$n$が大きくなっていくと$a$と$-a$を交互にとる(振動する)ことがわかります。
$r\leqq-1$のとき
$r=-|r|, a=-|a|$より
\[a r^{n-1}=(-1)^n |a||r|^{n-1}\]
となります。
$|a||r|^{n-1}$について、$|a|>0$かつ
ただし、
\[r<-1\Leftrightarrow |r|>1\]
であることより、上述の$a>0,r>1$のときと同様に考えて、限りなく大きくなっていく(正の無限大に発散する)といえることがわかります。
ただし、
\[|a||r|^{n-1}=\bigl| a r^{n-1}\bigr|\]
であることから、$|a||r|^{n-1}$のもつ性質は$a
r^{n-1}$の絶対値の性質となります。
また、$(-1)^n$について、$n$が奇数のとき$(-1)^n=-1$となり、$n$が偶数のとき$(-1)^n=1$となることがわかります。
すなわち、$(-1)^n$は正の値と負の値を交互にとります。
すなわち、$(-1)^n$は正の値と負の値を交互にとります。
したがって、$(-1)^n$と$|a||r|^{n-1}$の積である等比数列の項$a
r^{n-1}$は、$n$が大きくなっていくと正の値と負の値を交互にとりながら絶対値が限りなく大きくなっていく(振動する)ことがわかります。
まとめ
以上の場合分けは同じ結論となったものでまとめることができます。
まず、$0<r<1,-1<r<0$のとき、$n$が大きくなったときの等比数列の項$a
r^{n-1}$は必ず$0$に収束することがわかります。
これら$r$の範囲はまとめて$|r|<1$と書くことができます。
これら$r$の範囲はまとめて$|r|<1$と書くことができます。
次に、$r>1,r<-1$のとき、$n$が大きくなったときの等比数列の項$a
r^{n-1}$は必ず発散することがわかります。
これら$r$の範囲はまとめて$|r|>1$と書くことができます。
これら$r$の範囲はまとめて$|r|>1$と書くことができます。
したがって、$n$が大きくなったときの等比数列の項$a
r^{n-1}$は公比$r$によって以下のように場合分けすることができます。
- $|r|<1$のとき:$0$に収束する。
- $r=1$のとき:$a$に収束する。
- $|r|>1,r=-1$のとき:発散する。
また、以下のように発散する場合をより細かく分けることもできます。
- $|r|<1$のとき:$0$に収束する。
- $r=1$のとき:$a$に収束する。
- $a>0$かつ$r>1$のとき:正の無限大に発散する。
- $a<0$かつ$r>1$のとき:負の無限大に発散する。
- $r\leqq-1$のとき:振動する。
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