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2025年3月26日

等差数列の和

 初項$a$、公差$d$の等差数列の初項から第$n$項までの和は
\[\large\frac{n}{2}\bigl\{2a+(n-1)d\bigr\}\]
初項$a$から末項$l$までの$n$個の項の和は
\[\large\frac{n}{2}(a +l)\]
で求めることができます。
なぜこれらの式で等差数列の和が求められるのでしょうか?

等差数列の和は、$1$から$100$までの自然数の和を求めるときの方法を利用します。
$1$から$100$までの自然数を小さい順に足し、その和を$S$とすると
\[S=1+2+3+\cdots+98+99+100\]
となります。
今度は$1$から$100$までの自然数を大きい順に足します。この和も$S$となるので
\[S=100+99+98+\cdots+3+2+1\]
と書けます。
これらの式の辺々を加えると
\begin{array}{lrllllll}&S=&1&+2&+3&+\cdots&+98&+99&+100\\ +)&S=&100&+99&+98&+\cdots&+3&+2&+1\\[0.5em]\hline&2S=&(1+100)&+(2+99)&+(3+98)&+\cdots&+(98+3)&+(99+2)&+(100+1)\\[0.5em]&=&101&+101&+101&+\cdots&+101&+101&+101\end{array}
となり、$1$から$100$までの自然数の個数は$100$なので、$101$の項が$100$個あることから
\[2S=101\times100\]
と書けます。これを$S$について解くと
\begin{align*}2S&=10100\\[0.5em]S&=\frac{10100}{2}\\[0.5em]&=5050\end{align*}
となり、$1$から$100$までの自然数の和は$5050$と求めることができます。

 初項$a$、公差$d$の等差数列の一般項は
\[a_n=a+(n-1)d\]
と書けます。
したがって、初項から第$n$項までを順に足していったときの和$S_n$は
\begin{equation}\begin{aligned}S_n&=a+(a +d)+(a+2d)+\cdots\\ &\quad+\bigl\{a+(n-3)d\bigr\}+\bigl\{a+(n-2)d\bigr\}+\bigl\{a+(n-1)d\bigr\}\end{aligned}\end{equation}
となります。
今度は、第$n$項から初項までを順に足していくと、この和も$S_n$となるので
\begin{equation}\begin{aligned}S_n=&\bigl\{a+(n-1)d\bigr\}+\bigl\{a+(n-2)d\bigr\}+\bigl\{a+(n-3)d\bigr\}+\cdots\\ &\quad+(a+2d)+(a +d)+a\end{aligned}\end{equation}
と書けます。
$(1)+(2)$より
\begin{array}{lrllllll}&S_n=&a&+(a +d)&+(a+2d)&+\cdots&+\bigl\{a+(n-3)d\bigr\}&+\bigl\{a+(n-2)d\bigr\}&+\bigl\{a+(n-1)d\bigr\}\\[0.5em]+)&S_n=&\bigl\{a+(n-1)d\bigr\}&+\bigl\{a+(n-2)d\bigr\}&+\bigl\{a+(n-3)d\bigr\}&+\cdots&+(a+2d)&+(a +d)&+a\\[0.5em]\hline&2S_n=&\bigl\{2a+(n-1)d\bigr\}&+\bigl\{2a+(n-1)d\bigr\}&+\bigl\{2a+(n-1)d\bigr\}&+\cdots&+\bigl\{2a+(n-1)d\bigr\}&+\bigl\{2a+(n-1)d\bigr\}&+\bigl\{2a+(n-1)d\bigr\}\end{array}
となり、初項から第$n$項までの項数は$n$なので、$2a+(n-1)d$の項が$n$個あることから
\[2S_n=\bigl\{2a+(n-1)d\bigr\}n\]
と書けます。これを$S$について解くと
\begin{align*}S_n&=\frac{\bigl\{2a+(n-1)d\bigr\}n}{2}\\[0.5em]\therefore \large S_n&\large=\frac{n}{2}\bigl\{2a+(n-1)d\bigr\}\tag{*}\end{align*}
となり、これが等差数列の初項から第$n$項までの和を表す式となります。
また、第$n$項を末項$l$とすると$l=a+(n-1)d$となるので、これを$(*)$に代入すると
\begin{align*}S_n&=\frac{n}{2}\Bigl[a+\bigl\{a+(n-1)d\bigr\}\Bigr]\\[0.5em]\therefore\large S_n&\large=\frac{n}{2}(a +l)\end{align*}
となります。

 ちなみに、初項$1$、公差$1$の等差数列は自然数を小さい順に並べた数列であり、その初項から第$n$項までの和$S$は$(*)$に$a=1,d=1$を代入した
\begin{align*}S&=\frac{n}{2}\bigl\{2\cdot1+(n-1)\cdot1\bigr\}\\[0.5em]&=\frac{n}{2}\bigl\{2+(n-1)\bigr\}\\[0.5em]\therefore S&=\frac{n(n+1)}{2}\end{align*}
となります。

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