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2024年4月8日

極座標から直交座標への変換 直交座標から極座標への変換

 極座標から直交座標、直交座標から極座標への変換はどのようにするのでしょうか?


 三角関数の定義を利用してもう一方の座標へ変換します。
三角関数の定義
三角関数の単位円による定義は、直交座標平面上の原点$O$を中心とする単位円のx軸の正の部分から反時計回りに$θ$の角をなす半径$OP$の単位円周上の端点$P$の座標を$(\cosθ,\sinθ)$とする、というものです。
直交座標を三角関数をもちいて表す
さらに、原点$O$を中心とする半径$r$(ただし、$r>0$)の円のx軸の正の部分から反時計回りに$θ$の角をなす半径の円周上の端点$Q$の座標$(x,y)$について
\begin{equation}(x,y)=(r\cos\theta,r\sin\theta)\end{equation}
が成り立ちます。

極座標から直交座標への変換

極座標から直交座標への変換
 極座標平面の始線の伸びる方向を正とする数直線$A$と数直線$A$を原点を中心に反時計回りに$\dfrac{\pi}{2}$だけ回転させたような数直線$B$を引きます。それぞれの数直線の単位長さは動径の単位長さに等しく、数直線の$0$はどちらも交点である原点に位置しています。
数直線$A$はx軸、数直線$B$はy軸と対応させることで、$(1)$が成り立ちます。
したがって、極座標が$(r,θ)$である点$P$の直交座標$(x,y)$は
\[\large(x,y)=(r\cos\theta,r\sin\theta)\tag1\]
より求められることがわかります。
これは原点の極座標$(0,θ)$を直交座標に変換するときも$r<0$のときも成り立ちます。

$(0,θ)$のとき

 $(1)$をもちいて直交座標に変換すると
\begin{align*}(x,y)&=(0\cos\theta,0\sin\theta)\\[0.5em]&=(0,0)\end{align*}
となるため、$r=0$のときも$(1)$が成り立つことがわかります。

$r<0$のとき

 $r=-r'$(ただし、$r'>0$)とおくと極座標の性質より$(r,θ)=(r',θ+\pi)$なので直交座標は
\[(x,y)=\bigl(r'\cos(\theta+\pi),r'\sin(\theta+\pi)\bigr)\tag{*}\]
となります。
また、$(1)$をもちいて直交座標に変換すると
\begin{align*}(x,y)&=(r\cos\theta,r\sin\theta)\\[0.5em]&=(-r'\cos\theta,-r'\sin\theta)\\[0.5em]&=\bigl(r'(-\cos\theta),r'(-\sin\theta)\bigr)\\[0.5em]&=\bigl(r'\cos(\theta+\pi),r'\sin(\theta+\pi)\bigr)\end{align*}
となり、$(*)$を得るので$r<0$のときも$(1)$が成り立つことがわかります。

直交座標から極座標への変換

直交座標から極座標への変換
 x軸の正の部分と始線を対応させると、$(1)$の$r$は極座標の動径座標、$θ$は偏角座標に相当します。
動径座標$r$は原点$O$から点$Q$までの距離でもあるので
\begin{align*}r&=\sqrt{(x-0)^2+(y-0)^2}\\[0.5em]&=\sqrt{x^2+y^2}\end{align*}
より求められます。
点$Q$の直交座標より
\begin{align*}\sin\theta&=\frac{y}{r}\\[0.5em]&=\frac{y}{\sqrt{x^2+y^2}}\\[1em]\cos\theta&=\frac{x}{r}\\[0.5em]&=\frac{x}{\sqrt{x^2+y^2}}\end{align*}
が成り立つことから、偏角座標$θ$は連立方程式
\[\begin{cases}\sin\theta=\dfrac{y}{\sqrt{x^2+y^2}}\\[1em]\cos\theta=\dfrac{x}{\sqrt{x^2+y^2}}\end{cases}\tag{*}\]
の解として求められます。
したがって、点$P$の直交座標$(x,y)$を極座標$(r,θ)$に変換するには、$r,θ$を
\begin{equation}\begin{aligned}&\large r=\sqrt{x^2+y^2}\\[1em]&\large\begin{cases}\sin\theta=\dfrac{y}{\sqrt{x^2+y^2}}\\[1em]\cos\theta=\dfrac{x}{\sqrt{x^2+y^2}}\end{cases}\end{aligned}\end{equation}
より求めればよいことがわかります。
しかし、$r=0$となる原点$O$においては$(*)$の分母が$0$となってしまい偏角座標$θ$が求められないので、場合分けして極座標を
\begin{equation}\large(0,\theta)\qquad(\theta:任意の実数)\end{equation}
とします。
 また、$(2)$より求められる動径座標の値は$r>0$に限られます。
$r<0$である極座標に変換するには以下のようにします。
 直交座標が$(x,y)$、極座標が$(r,θ)$(ただし、$r>0$)である点$P$と原点$O$に関して対称な位置にある点$Q$の極座標について考えます。このとき、点$P$の座標には$(2)$が成り立っています。
点$Q$の直交座標を$(x',y')$、極座標を$(r',θ)$とおきます。
点$Q$は点$P$と原点$O$に関して対称な位置にあるので、点$P$の座標をもちいて
\begin{align*}(x',y')&=(-x,-y)\tag{**}\\[1em](r',\theta')&=(-r,\theta)\tag{***}\end{align*}
と表されます。
すると
\begin{align*}r'&=-r\\[0.5em]&=-\sqrt{x^2+y^2}\\[0.5em]&=-\sqrt{(-x')^2+(-y')^2}&\bigl(\because(**)\bigr)\\[0.5em]&=-\sqrt{{x'}^2+{y'}^2}&\bigl(\because (-a)^2=a^2\bigr)\\[1em]\sin\theta&=\frac{y}{r}\\[0.5em]&=\frac{-y}{-r}\\[0.5em]&=\frac{y'}{r'}&\bigl(\because(**),(***)\bigr)\\[0.5em]&=\frac{y'}{-\sqrt{{x'}^2+{y'}^2}}\\[1em]\cos\theta&=\frac{x}{r}\\[0.5em]&=\frac{-x}{-r}\\[0.5em]&=\frac{x'}{r'}&\bigl(\because(**),(***)\bigr)\\[0.5em]&=\frac{x'}{-\sqrt{{x'}^2+{y'}^2}}\end{align*}
が成り立つことがわかります。
したがって、直交座標$(x,y)$を$r<0$である極座標$(r,θ)$に変換するには
\begin{equation}\begin{aligned}&\large r=-\sqrt{x^2+y^2}\\[1em]&\large\begin{cases}\sin\theta=\dfrac{y}{-\sqrt{x^2+y^2}}\\[1em]\cos\theta=\dfrac{x}{-\sqrt{x^2+y^2}}\end{cases}\end{aligned}\end{equation}
より求めればよいことがわかります。
 $(2),(3),(4)$によって1つの直交座標を極座標へ変換すると複数の極座標が現れますが、これは極座標の性質によるものです。
原点以外の点の直交座標と極座標が1対1対応となるような変換とするために通常$(2)$をもちい、$θ$の範囲を$0\leqqθ<2\pi$とします。

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