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2024年7月21日

平均の速さは?

平均の速さは?
「$20$kmの道のりを出発直後から道のりのちょうど中間までを時速$6$km、残りを時速$4$kmで進んだ。このときの平均の速さは時速何kmか?」

 平均の速さとは、同じ道のりを同じ時間をかけて進むような一定の速さのことをいいます。
したがって、平均の速さを求めるためには道のり全体の長さと道のり全体を進んだ時間が必要になります。しかし、問題には道のり全体を進んだ時間が書かれていないので、これを先に求めます。
道のり全体を進んだ時間は以下の計算式を利用して求めます。
みはじの図
$20$kmの道のりのうち$10$kmを時速$6$km、残り$10$kmを時速$4$kmで進んだので、時速$6$kmで進んだ時間は
\[10\ [\text{km}]\div6\ [\text{km/時}]=\frac{5}{3}\ [時間]\]
時速$4$kmで進んだ時間は
\[10\ [\text{km}]\div4\ [\text{km/時}]=\frac{5}{2}\ [時間]\]
となり、$20$kmの道のりを進むのにかかった時間は
\begin{align*}\frac{5}{3}+\frac{5}{2}&=\frac{10}{6}+\frac{15}{6}\\[0.5em]&=\frac{25}{6}\ [時間]\end{align*}
であることがわかります。
したがって、問題の場合の平均の速さは
\begin{align*}20\ [\text{km}]\div\frac{25}{6}\ [時間]&=20\times\frac{6}{25}\\[0.5em]&=\frac{120}{25}\\[0.5em]&=\frac{24}{5}\ [\text{km/時}]\end{align*}
小数表記では時速$4.8$kmと求められます。

 平均の速さを時速$6$kmと時速$4$kmでそれぞれ進むことから
\[(6+4)\div2=5\ [\text{km/時}]\]
と求めるのは誤りです。これは時速$6$kmと時速$4$kmのちょうど中間の速さであって平均の速さではありません。
例えば、$20$kmの道のりのうち出発直後からほんの数mまでを時速$6$kmで進み、残りをすべて時速$4$kmで進んだとすると、ほぼ道のり全体を時速$4$kmで進んだので平均の速さもほぼ時速$4$kmになるはずです。
しかし、中間の速さでは例の場合でも時速$5$kmのままで与えられた条件に関係なく変わりません。
したがって、中間の速さと平均の速さは同じものでないことがわかります。
中間の速さと平均の速さが等しくなるのはそれぞれの速さで同じ時間進んだときだけです。
例えば、時速$6$kmと時速$4$kmでそれぞれ$2$時間ずつ進めばちょうど$20$kmの道のりを進み切ることができます。
このときの平均の速さは
\begin{align*}20\div(2+2)&=20\div4\\[0.5em]&=5\ [\text{km/時}]\end{align*}
となり、中間の速さと一致します。
文字を使って考えると以下のようになります。
 時速$A$kmと時速$B$kmでそれぞれ$T$時間ずつ進んで道のり$L$kmをちょうど進みきったとき、平均の速さは
\[\frac{L}{T+T}=\frac{L}{2T}\]
で求められます。
ここで、道のり$L$kmは
\[L=AT+BT=(A+B)T\]
で表すことができるので、これを平均の速さに代入すると
\begin{align*}\frac{L}{2T}&=\frac{(A+B)T}{2T}\\[0.5em]&=\frac{A+B}{2}\end{align*}
となり、速さ$A,B$の中間の速さに等しくなることがわかります。

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