複素数の偏角
複素数の偏角にはその動径が表す角度すべてが当てはまるので、動径の表す角度の1つをとしたならばそれにの整数倍を加えたもの、すなわち(整数)で表される角度すべてが複素数の偏角となります。
したがって、複素数の極形式がであるならば
が成り立ちます。
またはとなるようにとったのことを主値といい、これをもちいることで動径の表す角度をただ1つに決めることができます。
複素数の偏角ををもちいて表すとで、上述より
となり、複数の値をもちます。
あるいは合同式により
複素数の偏角の主値ををもちいて表す場合は大文字ので表し、
となります。
すなわち、との関係はより
と書けます。
偏角の性質
偏角の和
この点のみを見れば
が成り立ちそうですが、必ずしも成り立つわけではありません。
上述の複素数の性質より
でも成り立ちます。これはでない場合、すなわちが成立しない場合も存在するということです。
に着目すると
とおくと
となります。
これを合同式で書けば
となります。
に着目すると
これを合同式で書けば
であるとき、その和は主値の範囲を超えることがあるので
と書けます。
(は主値を$-\pi<\text{Arg}\ z\leqq\pi$とした場合のみ)
となり、合同式では
偏角の差
偏角の和と同様、複素数の性質より
が成り立つので、
とおけば
となり、合同式では
と書けます。
であるとき、その差は主値の範囲を超えることがあるので
と書けます。
(は主値を$-\pi<\text{Arg}\ z\leqq\pi$とした場合のみ)
となり、合同式では
偏角の整数倍
偏角の和と同様、複素数の性質より
が成り立つので、
とおけば
となり、合同式では
と書けます。
であるとき、その整数倍は主値の範囲を超えることがあるので
となり、合同式では
と書けます。
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