三角形の1つの内角とその三角形の内心または外心と他の頂点を結んだときにできる角の大きさにはどのような関係があるでしょうか?
$△\text{ABC}$の内角$∠\text{A}$に着目し、内心$\text{I}$または外心$\text{O}$と他の頂点を結んだときにできる角$∠\text{BIC},∠\text{BOC}$が$∠\text{A}$をもちいてどのように表すことができるのかを調べてみます。
内心のつくる角
したがって、$△\text{ABC}$の内心$\text{I}$と各頂点を結ぶ線分$\text{AI,BI,CI}$はそれぞれ$∠\text{A},∠\text{B},∠\text{C}$の二等分線となるので、$∠\text{IAB}=∠\text{IAC}=α,$$∠\text{IBA}=∠\text{IBC}=β,$$∠\text{ICA}=∠\text{ICB}=γ$とおくことができます。
$△\text{ABC}$において、内角の和は
\begin{align*}∠\text{A}+∠\text{B}+∠\text{C}&=180°\\[0.5em]∠\text{A}+(∠\text{IBA}+∠\text{IBC})+(∠\text{ICA}+∠\text{ICB})&=180°\\[0.5em]∠\text{A}+2\beta+2\gamma&=180°\end{align*}
となり、$β+γ$について解くと
\begin{align*}2\beta+2\gamma&=180°-∠\text{A}\\[0.5em]2(\beta+\gamma)&=180°-∠\text{A}\\[0.5em]\beta+\gamma&=\frac{180°-∠\text{A}}{2}\tag1\end{align*}
となります。
$△\text{IBC}$において、内角の和は
\begin{align*}∠\text{BIC}+∠\text{IBC}+∠\text{ICB}&=180°\\[0.5em]∠\text{BIC}+\beta+\gamma&=180°\end{align*}
となり、$β+γ$について解くと
\[\beta+\gamma=180°-∠\text{BIC}\tag2\]
となります。
$(1),(2)$より
\begin{align*}\frac{180°-∠\text{A}}{2}&=180°-∠\text{BIC}\\[0.5em]∠\text{BIC}&=180°-\frac{180°-∠\text{A}}{2}\\[0.5em]\therefore∠\text{BIC}&=\frac{∠\text{A}+180°}{2}\end{align*}
$∠\text{B}$と$∠\text{AIC}$、$∠\text{C}$と$∠\text{AIB}$に関してもこれと同様の式を導くことができます。
したがって、三角形の内角の大きさを$θ$、内心と他の頂点を結んでできる角の大きさを$φ$とおくと、$φ$は$θ$をもちいて
\[\large\varphi=\frac{\theta+180°}{2}\]
という式で表せることがわかります。
なお、$θ$を$φ$をもちいて表すと
\[\theta=2\varphi-180°\]
となります。
外心のつくる角
すると、$△\text{ABC}$の各辺は外接円の弦となり、外心$\text{O}$と各頂点を結ぶと弦$\text{AB}$に対する中心角・円周角はそれぞれ$∠\text{AOB},
∠\text{C}$、弦$\text{BC}$に対する中心角・円周角はそれぞれ$∠\text{BOC},
∠\text{A}$、弦$\text{CA}$に対する中心角・円周角はそれぞれ$∠\text{COA}, ∠\text{B}$となります。
円周角の定理より
\begin{align*}∠\text{AOB}&=2∠\text{C}\\[1em]∠\text{BOC}&=∠ \text{A}\\[1em]∠\text{COA}&=∠\text{B}\end{align*}
が成り立ちます。
したがって、三角形の内角の大きさを$θ$、内心と他の頂点を結んでできる角の大きさを$ψ$とおくと、$ψ$は$θ$をもちいて
\[\large\psi=2\theta\]
という式で表せることがわかります。
なお、$θ$を$ψ$をもちいて表すと
\[\theta=\frac{\psi}{2}\]
となります。
(2024/11)内容を一部変更しました。
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