座標空間内の2点$\text{A}(x_a,y_a,z_a),\text{B}(x_b,y_b,z_b)$間の距離$\text{AB}$は
\[\large\text{AB}=\sqrt{(x_b-x_a)^2+(y_b-y_a)^2+(z_b-z_a)^2}\]
と表すことができます。
なぜこのように表すことができるのかを考えてみます。
1. x,y,z座標のうち少なくとも2つが等しいとき
2つの点のx,y,z座標のうち少なくとも2つが等しいときとは例えば$x_a=x_b$かつ$y_a=y_b$のようなときのことで、2点$\text{A, B}$とも適切な平行移動を行えば同じ座標軸上に移せるような位置にあります。
このとき「数直線上の2点間の距離」より$\text{AB}$を求めることができます。
このとき「数直線上の2点間の距離」より$\text{AB}$を求めることができます。
同様にして$y_a=y_b$かつ$z_a=z_b$のときは、線分$\text{AB}$はx軸に平行であるので
\[\text{AB}=|x_b-x_a|\]
$z_a=z_b$かつ$x_a=x_b$のときは、線分$\text{AB}$はy軸に平行であるので
\[\text{AB}=|y_b-y_a|\]
となります。
なお、2つの点のx,y,z座標のすべてが等しい、すなわち$x_a=x_b$かつ$y_a=y_b$かつ$z_a=z_b$のとき、点$\text{A, B}$は同じ点であるので$\text{AB}=0$となります。
2. x,y,z座標のうちただ1つが等しいとき
2つの点のx,y,z座標のうちただ1つが等しいときとは例えば$x_a=x_b$のようなときのことで、2点$\text{A, B}$とも2つの座標軸を含む平面上にあります。
このとき、「座標平面上の2点間の距離」より$\text{AB}$を求めることができます。
このとき、「座標平面上の2点間の距離」より$\text{AB}$を求めることができます。
上に例示した$x_a=x_b$のときは、線分$\text{AB}$はyz平面上にあるので
\[\text{AB}=\sqrt{(y_b-y_a)^2+(z_b-z_a)^2}\]
により求めることができます。
同様にして$y_a=y_b$のとき、線分$\text{AB}$はzx平面上にあるので
\[\text{AB}=\sqrt{(z_b-z_a)^2+(x_b-x_a)^2}\]
$z_a=z_b$のとき、線分$\text{AB}$はxy平面上にあるので
\[\text{AB}=\sqrt{(x_b-x_a)^2+(y_b-y_a)^2}\]
となります。
3. x,y,z座標のいずれも異なるとき
2つの点のx,y,z座標のいずれも異なるときとは$x_a\neq x_b$かつ$y_a\neq
y_b$かつ$z_a\neq z_b$のときのことです。
このとき、点$\text{A, B}$のいずれかと1.を満たし、かつもう一方と2.を満たす点$\text{C}$をとって$△\text{ABC}$をつくり、三平方の定理を利用して$\text{AB}$を求めます。
このとき、点$\text{A, B}$のいずれかと1.を満たし、かつもう一方と2.を満たす点$\text{C}$をとって$△\text{ABC}$をつくり、三平方の定理を利用して$\text{AB}$を求めます。
ここでは点$\text{A}$と1.を満たし、かつ点$\text{B}$と2.を満たす点$(x_a,y_a,z_b)$を$\text{C}$とします。
辺$\text{AC}$の長さは1.より$|z_a-z_b|$、辺$\text{BC}$の長さは2.より$\sqrt{(x_b-x_a)^2+(y_b-y_a)^2}$となります。
z軸はxy平面に垂直なので、z軸に平行な辺$\text{AC}$とxy平面と平行な平面上にある辺$\text{BC}$も垂直です。
辺$\text{AC}$の長さは1.より$|z_a-z_b|$、辺$\text{BC}$の長さは2.より$\sqrt{(x_b-x_a)^2+(y_b-y_a)^2}$となります。
z軸はxy平面に垂直なので、z軸に平行な辺$\text{AC}$とxy平面と平行な平面上にある辺$\text{BC}$も垂直です。
したがって、$△\text{ABC}$は$∠\text{C}$が直角である直角三角形であることがわかります。
すると、三平方の定理
これは1.、2.の場合も満たします。
\[\text{AB}^2=\text{BC}^2+\text{AC}^2\]
が成り立つので、ここから辺$\text{AB}$の長さを求めると
\begin{align*}\text{AB}^2&=\bigl(\sqrt{(x_b-x_a)^2+(y_b-y_a)^2}\bigr)^2+|z_a-z_b|^2\\[0.5em]&=(x_b-x_a)^2+(y_b-y_a)^2+|z_a-z_b|^2\\[0.5em]&=(x_b-x_a)^2+(y_b-y_a)^2+(z_a-z_b)^2&(\because|x|^2=x^2)\\[0.5em]AB&=\sqrt{(x_b-x_a)^2+(y_b-y_a)^2+(z_a-z_b)^2}&(\because \text{AB}>0)\end{align*}
となります。これは1.、2.の場合も満たします。
例えば$x_a=x_b=p$かつ$y_a=y_b=q$($p,q:$すべての実数)のとき、1.によれば$\text{AB}$は
\[\text{AB}=|z_b-z_a|\]
となり、3.によれば
\begin{align*}\text{AB}&=\sqrt{(p-p)^2+(q-q)^2+(z_b-z_a)^2}\\[0.5em]&=\sqrt{0+0+(z_b-z_a)^2}\\[0.5em]&=\sqrt{(z_b-z_a)^2}\\[0.5em]&=|z_b-z_a|&(\because
\sqrt{x^2}=|x|)\end{align*}
となり$\text{AB}$を表す式が一致します。
これは$x_a=x_b$または$y_a=y_b$または$z_a=z_b$のときに含まれる他の場合においても同様です。
したがって、点$\text{A, B}$がどこにあるかにかかわらず、これら2点間の距離$\text{AB}$は
\[\large \text{AB}=\sqrt{(x_b-x_a)^2+(y_b-y_a)^2+(z_b-z_a)^2}\]
と表せることがわかります。
Share: