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2024年10月22日

座標空間内の2点間の距離

 座標空間内の2点$A(x_a,y_a,z_a),B(x_b,y_b,z_b)$間の距離$AB$は
\[\large AB=\sqrt{(x_b-x_a)^2+(y_b-y_a)^2+(z_b-z_a)^2}\]
と表すことができます。

なぜこのように表すことができるのかを考えてみます。


1. x,y,z座標のうち少なくとも2つが等しいとき

 2つの点のx,y,z座標のうち少なくとも2つが等しいときとは例えば$x_a=x_b$かつ$y_a=y_b$のようなときのことで、2点$A,B$とも適切な平行移動を行えば同じ座標軸上に移せるような位置にあります。
このとき「数直線上の2点間の距離」より$AB$を求めることができます。
2点の座標のうち少なくとも2つが等しいときの2点間の距離
上に例示した$x_a=x_b$かつ$y_a=y_b$のときは、線分$AB$はz軸に平行であるので
\[AB=|z_b-z_a|\]
により求めることができます。
同様にして$y_a=y_b$かつ$z_a=z_b$のときは、線分$AB$はx軸に平行であるので
\[AB=|x_b-x_a|\]
$z_a=z_b$かつ$x_a=x_b$のときは、線分$AB$はy軸に平行であるので
\[AB=|y_b-y_a|\]
となります。

なお、2つの点のx,y,z座標のすべてが等しい、すなわち$x_a=x_b$かつ$y_a=y_b$かつ$z_a=z_b$のとき、点$A,B$は同じ点であるので$AB=0$となります。


2. x,y,z座標のうちただ1つが等しいとき

 2つの点のx,y,z座標のうちただ1つが等しいときとは例えば$x_a=x_b$のようなときのことで、2点$A,B$とも2つの座標軸を含む平面上にあります。
このとき、「座標平面上の2点間の距離」より$AB$を求めることができます。
2点の座標のうちただ1つが等しいときの2点間の距離
上に例示した$x_a=x_b$のときは、線分$AB$はyz平面上にあるので
\[AB=\sqrt{(y_b-y_a)^2+(z_b-z_a)^2}\]
により求めることができます。
同様にして$y_a=y_b$のとき、線分$AB$はzx平面上にあるので
\[AB=\sqrt{(z_b-z_a)^2+(x_b-x_a)^2}\]
$z_a=z_b$のとき、線分$AB$はxy平面上にあるので
\[AB=\sqrt{(x_b-x_a)^2+(y_b-y_a)^2}\]
となります。

3. x,y,z座標のいずれも異なるとき

 2つの点のx,y,z座標のいずれも異なるときとは$x_a\neq x_b$かつ$y_a\neq y_b$かつ$z_a\neq z_b$のときのことです。
このとき、点$A,B$のいずれかと1.を満たし、かつもう一方と2.を満たす点$C$をとって$△ABC$をつくり、三平方の定理を利用して$AB$を求めます。
2点の座標のどれも異なるときの2点間の距離
ここでは点$A$と1.を満たし、かつ点$B$と2.を満たす点$(x_a,y_a,z_b)$を$C$とします。
辺$AC$の長さは1.より$|z_a-z_b|$、辺$BC$の長さは2.より$\sqrt{(x_b-x_a)^2+(y_b-y_a)^2}$となります。
z軸はxy平面に垂直なので、z軸に平行な辺$AC$とxy平面と平行な平面上にある辺$BC$も垂直です。
したがって、$△ABC$は$∠C$が直角である直角三角形であることがわかります。
すると、三平方の定理
\[AB^2=BC^2+AC^2\]
が成り立つので、ここから辺$AB$の長さを求めると
\begin{align*}AB^2&=\bigl(\sqrt{(x_b-x_a)^2+(y_b-y_a)^2}\bigr)^2+|z_a-z_b|^2\\[0.5em]&=(x_b-x_a)^2+(y_b-y_a)^2+|z_a-z_b|^2\\[0.5em]&=(x_b-x_a)^2+(y_b-y_a)^2+(z_a-z_b)^2&(\because|x|^2=x^2)\\[0.5em]AB&=\sqrt{(x_b-x_a)^2+(y_b-y_a)^2+(z_a-z_b)^2}&(\because AB>0)\end{align*}
となります。
これは1.、2.の場合も満たします。
例えば$x_a=x_b=p$かつ$y_a=y_b=q$($p,q:$すべての実数)のとき、1.によれば$AB$は
\[AB=|z_b-z_a|\]
となり、3.によれば
\begin{align*}AB&=\sqrt{(p-p)^2+(q-q)^2+(z_b-z_a)^2}\\[0.5em]&=\sqrt{0+0+(z_b-z_a)^2}\\[0.5em]&=\sqrt{(z_b-z_a)^2}\\[0.5em]&=|z_b-z_a|&(\because \sqrt{x^2}=|x|)\end{align*}
となり$AB$を表す式が一致します。
これは$x_a=x_b$または$y_a=y_b$または$z_a=z_b$のときに含まれる他の場合においても同様です。
したがって、点$A,B$がどこにあるかにかかわらず、これら2点間の距離$AB$は
\[\large AB=\sqrt{(x_b-x_a)^2+(y_b-y_a)^2+(z_b-z_a)^2}\]
と表せることがわかります。

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