平方根とは?
正の数$a$の2乗は$a^2$となります。また、$a$と符号を反転させた負の数$-a$も2乗すると$a^2$となります。
このとき、$a$と$-a$は絶対値が等しい数です。また、$a^2$は必ず正の値を持ちます。
このとき、$a$と$-a$は絶対値が等しい数です。また、$a^2$は必ず正の値を持ちます。
では逆に2乗して$a^2$になる数はなにかというと上記より$a$と$-a$の2つといえます。
この2乗して$a^2$になる$a$と$-a$のことを$a^2$の平方根といい、正の数$a$のことを正の平方根、負の数$-a$のことを負の平方根といいます。この2つをまとめて$\pm
a$とも書くことができます。
$0$の平方根は、2乗して$0$となる数は$0$のみであることから$0$ただ1つです。
$a^2$の場合は2乗を外して符号をつけるだけでしたが、$a^2=b$とおいたときの$b$の平方根の表し方は正の平方根は$\sqrt{b}$、負の平方根は$-\sqrt{b}$となります。$\sqrt{\quad}$は根号という記号で、例えば$\sqrt{2}$は「ルート2」と読みます。
\begin{align*}\begin{array}{c|c}&\textbf{平方根}&\textbf{正の平方根}&\textbf{負の平方根}\\
\hline a^2&\pm a&a&-a\\ \hline
b&\pm\sqrt{b}&\sqrt{b}&-\sqrt{b}\\
\hline0&0\end{array}\\ (a>0,b>0)\end{align*}
平方根の計算法則
平方根の計算法則は以下のようなものです。
正の実数$a, b, k$と$0$以外の任意の実数$c$について
これらが成り立つことを1つ1つ確かめてみます。
\begin{align}\sqrt{a}\times\sqrt{b}&=\sqrt{ab}\\[1em]\sqrt{k^2a}&=k\sqrt{a}\\[1em]\frac{\sqrt{a}}{\sqrt{b}}&=\sqrt{\frac{a}{b}}\\[1em]\sqrt{c^2}&=|c|\end{align*}
平方根の計算法則が成り立つことは両辺を2乗して等しくなることから確かめることができます。
$(1)\sqrt{a}\times\sqrt{b}=\sqrt{ab}$
$a>0,b>0$より、$\sqrt{a}>0,\sqrt{b}>0$であり、$\sqrt{a}\times\sqrt{b}>0$です。
また、$ab>0$であり、$\sqrt{ab}>0$です。
また、$ab>0$であり、$\sqrt{ab}>0$です。
\begin{align*}(左辺)^2&=\bigl(\sqrt{a}\times\sqrt{b}\bigr)^2\\[0.5em]&=\bigl(\sqrt{a}\bigr)^2\bigl(\sqrt{b}\bigr)^2\\[0.5em]&=ab\\[1em](右辺)^2&=\bigl(\sqrt{ab}\bigr)^2\\[0.5em]&=ab\end{align*}
両辺ともに正かつ2乗が$ab$であることから、両辺ともに$ab$の正の平方根であり
\[\large\sqrt{a}\times\sqrt{b}=\sqrt{ab}\]
が成り立つことがわかります。
$(2)k\sqrt{a}=\sqrt{k^2a}$
$a>0,k>0$より、$\sqrt{a}>0$であり、$k\sqrt{a}>0$です。
また、$k^2a>0$であり、$\sqrt{k^2a}>0$です。
また、$k^2a>0$であり、$\sqrt{k^2a}>0$です。
\begin{align*}(左辺)^2&=\bigl(k\sqrt{a}\bigr)^2\\[0.5em]&=k^2\bigl(\sqrt{a}\bigr)^2\\[0.5em]&=k^2a\\[1em](右辺)^2&=\bigl(\sqrt{k^2a}\bigr)^2\\[0.5em]&=k^2a\end{align*}
両辺ともに正かつ2乗が$k^2a$であることから、両辺ともに$k^2a$の正の平方根であり
\[\large k\sqrt{a}=\sqrt{k^2a}\]
が成り立つことがわかります。
$k$が任意の実数である場合は$(4)$に従います。
$(3)\dfrac{\sqrt{a}}{\sqrt{b}}=\sqrt{\dfrac{a}{b}}$
$a>0,b>0$より、$\sqrt{a}>0,\sqrt{b}>0$であり、$\dfrac{\sqrt{a}}{\sqrt{b}}>0$です。
また、$\dfrac{a}{b}>0$であり、$\sqrt{\dfrac{a}{b}}>0$です。
また、$\dfrac{a}{b}>0$であり、$\sqrt{\dfrac{a}{b}}>0$です。
\begin{align*}\left(\frac{\sqrt{a}}{\sqrt{b}}\right)^2&=\frac{\bigl(\sqrt{a}\bigr)^2}{\bigl(\sqrt{b}\bigr)^2}\\[0.5em]&=\frac{a}{b}\\[1em]\left(\sqrt{\frac{a}{b}}\right)^2&=\frac{a}{b}\end{align*}
両辺ともに正かつ2乗が$\dfrac{a}{b}$であることから、両辺ともに$\dfrac{a}{b}$の正の平方根であり
\[\large\frac{\sqrt{a}}{\sqrt{b}}=\sqrt{\frac{a}{b}}\]
が成り立つことがわかります。
$(4)\sqrt{c^2}=|c|$
$\sqrt{c^2}$は$c^2$の正の平方根です。
$c^2$の平方根は$-c$と$c$で、正の平方根である、すなわち$\sqrt{c^2}$と等しいのは、
$c$が負の数、すなわち$c<0$のとき
$\text{(i),(ii)}$をまとめれば
$c^2$の平方根は$-c$と$c$で、正の平方根である、すなわち$\sqrt{c^2}$と等しいのは、
$c$が負の数、すなわち$c<0$のとき
\[\sqrt{c^2}=-c\tag{i}\]
$c$が正の数、すなわち$c>0$のとき
\[\sqrt{c^2}=c\tag{ii}\]
となります。
$\text{(i),(ii)}$をまとめれば
\[\sqrt{c^2}=\begin{cases}-c&(c<0)\\[0.5em]c&(c>0)\end{cases}\]
となります。
ここで、$c$の絶対値について考えると
\[|c|=\begin{cases}-c&(c<0)\\[0.5em]c&(c>0)\end{cases}\]
です。
したがって、$\sqrt{c^2}$と$|c|$で同じ結果となるということは等しいということなので、
\[\large\sqrt{c^2}=|c|\]
が成り立つことがわかります。
(2025/6)内容を一部修正しました。
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