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2023年4月14日

投げ上げたボールの最高点を求める

「Aさんがボールを投げ上げたところ$2[\mathrm{m}]$先にある高さ$3[\mathrm{m}]$の塀の上にある瓶に当たった。
ボールがAさんから瓶までの地点間を$5:3$に内分する位置で最高点に到達したとき、最高点におけるボールの高さを求めよ。

ボールがAさんの手を離れた直後のボールの位置はAさんの頭上で高さは$2[\mathrm{m}]$とし、瓶に当たるとはAさんから$2[\mathrm{m}]$先、高さ$3[\mathrm{m}]$の位置をボールの中心が通過する軌道を描いたものとする。
また、空気抵抗は無視する。」


 投げ上げた物体が描く軌道は放物線となります。したがって、2次関数をもちいてボールの軌道を表すことができます。

解法その1

x軸を地面とし、Aさんの立っている地点を原点とします。
座標軸の単位の長さを$1[\mathrm{m}]$とすると、投げ上げた瞬間のボールの位置は座標で$(0,2)$、瓶のある位置は$(2,3)$となります。投げ上げたボールの描く放物線はこの2点を通ります。

ボールの軌道をグラフで考える
また、投げ上げたボールの最高点は放物線の頂点であり、そのx座標は放物線の軸上にあります。Aさんから瓶までの地点間の距離は$2[\mathrm{m}]$で最高点のある地点はこれを$5:3$に内分するのでx座標は
\[2\cdot\frac{5}{5+3}=\frac{5}{4}\]
となり、放物線の軸は$x=\dfrac{5}{4}$であるとわかります。
すると、放物線の方程式となる2次関数は$y=a\left(x-\dfrac{5}{4}\right)^2+q$とおくことができます。
これに$(0,2)$を代入すると
\begin{align*}2&=a\left(0-\frac{5}{4}\right)^2+q\\[0.5em]&=\frac{25}{16}a+q\\[0.5em]\frac{25}{16}a+q&=2 \tag{i.1}\end{align*}
$(2,3)$を代入すると
\begin{align*}3&=a\left(2-\frac{5}{4}\right)^2+q\\[0.5em]&=a\left(\frac{3}{4}\right)^2+q\\[0.5em]&=\frac{9}{16}a+q\\[0.5em]\frac{9}{16}a+q&=3\tag{i.2}\end{align*}
$\mathrm{(i.1)}$と$\mathrm{(i.2)}$を連立し、$\mathrm{(i.1)-(i.2)}$すると$a=-1$。
これを$\mathrm{(i.1)}$に代入すると
\begin{align*}-\frac{25}{16}+q&=2\\[0.5em]q&=\frac{57}{16}\end{align*}
となります。

よって、求める2次関数は$y=-\left(x-\dfrac{5}{4}\right)^2+\dfrac{57}{16}$で最大値は$\dfrac{57}{16}$なので、最高点におけるボールの高さは$\dfrac{57}{16}=3.5625[\mathrm{m}]$となります。


解法その2

 ボールの軌道を座標平面に落とし込んで考える部分までは解法その1と同じです。

放物線はその軸に関して線対称なので、投げ上げた地点から最高点までの距離と等距離の地点でボールの高さは投げ上げた直後の高さと等しくなります。

外分比を求める
この地点は上図のように考えれば、Aさんから瓶までの地点間を$5:1$に外分することがわかります。
したがって、ボールの高さが投げ上げた直後の高さと等しくなる地点のx座標は
\[2\cdot\frac{5}{5-1}=\frac{5}{2}\]
となります。そして、このときのボールの座標は$\left(\dfrac{5}{2},2\right)$となります。
放物線の方程式を$y=ax^2+bx+c\ (a,b,c:実数)$とおきます。
$(0,2),(2,3),\left(\dfrac{5}{2},2\right)$を通るので、それぞれ代入すると
\begin{align*}(0,2)\\ 2&=c\\[0.5em]c&=2 \tag{ii.1}\\[1.5em](2,3)\\ 3&=a\cdot2^2+b\cdot2+c\\[0.5em]&=4a+2b+c\\[0.5em]4a+2b+c&=3 \tag{ii.2}\\[3em]\left(\frac{5}{2},2\right)\\ 2&=a\cdot\left(\frac{5}{2}\right)^2+b\cdot\frac{5}{2}+c\\[0.5em]&=\frac{25}{4}a+\frac{5}{2}b+c\\[0.5em]\therefore25a+10b+4c&=8 \tag{ii.3}\end{align*}
となるので、$\mathrm{(ii.1),(ii.2),(ii.3)}$を連立して$a,b,c$を求めます。
$\mathrm{(ii.1)}$を$\mathrm{(ii.2),(ii.3)}$それぞれに代入して整理すると
\begin{cases}4a&+2b&=1\qquad\cdots(2.4)\\[0.5em]25a&+10b&=0\qquad\cdots(2.5)\end{cases}
$\mathrm{(ii.4)×5-(ii.5)}$より
\begin{align*}-5a&=5\\[0.5em]a&=-1\end{align*}
これを$\mathrm{(ii.4)}$に代入すると
\begin{align*}4\cdot(-1)+2b&=1\\[0.5em]2b&=5\\[0.5em]b&=\frac{5}{2}\end{align*}
したがって、求める放物線の方程式は$y=-x^2+\dfrac{5}{2}x+2$であるとわかるので、これを平方完成します。
\begin{align*}y&=-x^2+\frac{5}{2}x+2\\[0.5em]&=-\left(x^2-\frac{5}{2}x\right)+2\\[0.5em]&=-\left(x-\frac{5}{4}\right)^2+\frac{25}{16}+2\\[0.5em]\therefore y&=-\left(x-\frac{5}{4}\right)^2+\frac{57}{16}\end{align*}
この2次関数における最大値は$\dfrac{57}{16}$なので、最高点におけるボールの高さは$\dfrac{57}{16}=3.5625[\mathrm{m}]$となります。

解法その3

 放物線が$(0,2),(2,3),\left(\dfrac{5}{2},2\right)$を通るという部分までは解法その2と同じです。

3点をy軸方向に-2だけ平行移動
2点が同じy座標$2$なので、これが$0$になるように3点すべてをy軸方向に$-2$だけ平行移動します。
すると平行移動後の3点の座標は$(0,0),(2,1),\left(\dfrac{5}{2},0\right)$となります。
これら3点を通る放物線はx軸との共有点のx座標が$x=0,\dfrac{5}{2}$となるので方程式を$y=ax\left(x-\dfrac{5}{2}\right)$とおくことができます。
これは$(2,1)$を通るので、代入すると
\begin{align*}1&=a\cdot2\cdot(2-\frac{5}{2})\\[0.5em]&=-a\\[0.5em]a&=-1\end{align*}
したがって、平行移動後の放物線の方程式は$y=-x\left(x-\dfrac{5}{2}\right)$であることがわかります。
平行移動前の求める放物線の方程式はy軸方向に$2$だけ平行移動した$y=-x\left(x-\dfrac{5}{2}\right)+2$となります。
これを展開、平方完成すると
\begin{align*}y&=-x\left(x-\dfrac{5}{2}\right)+2\\[0.5em]&=-x^2+\frac{5}{2}x+2\\[0.5em]\therefore y&=-\left(x-\frac{5}{4}\right)^2+\frac{57}{16}\end{align*}
この2次関数における最大値は$\dfrac{57}{16}$なので、最高点におけるボールの高さは$\dfrac{57}{16}=3.5625[\mathrm{m}]$となります。

 放物線の方程式を求める際においた2次関数の形はそれぞれ、解法その1は標準形、解法その2は一般形、解法その3は因数分解形となっています。
どのように解くかで適する2次関数の形が変わります。
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