2数の相加平均と相乗平均の大小関係は
a+b2≧√ab(a≧0,b≧0)a+b2≧√ab(a≧0,b≧0)
等号成立はa=ba=b
3数の相加平均と相乗平均の大小関係は
となります。
a+b+c3≧3√abc(a≧0,b≧0,c≧0)a+b+c3≧3√abc(a≧0,b≧0,c≧0)
等号成立はa=b=ca=b=c
これらはなぜ成り立つのでしょうか?
2数の相加平均と相乗平均の大小関係
両辺を2倍して移項した
a+b−2√ab≧0(a≧0,b≧0)a+b−2√ab≧0(a≧0,b≧0)(1)
が成り立つことを確かめます。
左辺に着目し、√a=s,√b=t√a=s,√b=tとおくと
(左辺)=(√a)2+(√b)2−2√a√b=s2+t2−2st=(s−t)2(左辺)=(√a)2+(√b)2−2√a√b=s2+t2−2st=(s−t)2
となります。
a≧0,b≧0a≧0,b≧0よりs,ts,tは実数、s−ts−tも実数となります。実数の2乗は00以上の値となるので(s−t)2≧0(s−t)2≧0、すなわち
(√a−√b)2=a+b−2√ab≧0(√a−√b)2=a+b−2√ab≧0
となって(1)(1)が成り立ちます。
等号が成立する、すなわち(√a−√b)2=0(√a−√b)2=0となる条件は√a=√b√a=√b、すなわちa=ba=bのときとなります。
3数の相加平均と相乗平均の大小関係
両辺を3倍して移項した
a+b+c−33√abc≧0(a≧0,b≧0,c≧0)a+b+c−33√abc≧0(a≧0,b≧0,c≧0)(2)
が成り立つことを確かめます。
左辺に着目し、3√a=s,3√b=t,3√c=u3√a=s,3√b=t,3√c=uとおくと
(左辺)=(3√a)+(3√b)+(3√c)−33√a3√b3√c=s3+t3+u3−3stu=(s+t+u)(s2+t2+u2−st−tu−us)(左辺)=(3√a)+(3√b)+(3√c)−33√a3√b3√c=s3+t3+u3−3stu=(s+t+u)(s2+t2+u2−st−tu−us)
となります。
それぞれの因数に着目します。
a≧0,b≧0,c≧0a≧0,b≧0,c≧0よりs≧0,t≧0,u≧0s≧0,t≧0,u≧0なのでs+t+u≧0 ⋯(i)s+t+u≧0 ⋯(i)です。
また、
a≧0,b≧0,c≧0a≧0,b≧0,c≧0よりs≧0,t≧0,u≧0s≧0,t≧0,u≧0なのでs+t+u≧0 ⋯(i)s+t+u≧0 ⋯(i)です。
また、
s2+t2+u2−st−tu−us=12(2s2+2t2+2u2−2st−2tu−2us)=12{(s2−2st+t2)+(t2−2tu+u2)+(u2−2us+s2)}=12{(s−t)2+(t−u)2+(u−s)2}s2+t2+u2−st−tu−us=12(2s2+2t2+2u2−2st−2tu−2us)=12{(s2−2st+t2)+(t2−2tu+u2)+(u2−2us+s2)}=12{(s−t)2+(t−u)2+(u−s)2}
となり、(s−t)2≧0,(t−u)2≧0,(u−s)2≧0(s−t)2≧0,(t−u)2≧0,(u−s)2≧0なので、12{(s−t)2+(t−u)2+(u−s)2}≧0 ⋯(ii)12{(s−t)2+(t−u)2+(u−s)2}≧0 ⋯(ii)です。
(i),(ii)(i),(ii)より
(s+t+u)(s2+t2+u2−st−tu−us)=a+b+c−33√abc≧0(s+t+u)(s2+t2+u2−st−tu−us)=a+b+c−33√abc≧0
となって(2)(2)が成り立ちます。
等号が成立しa+b+c−33√abc=0a+b+c−33√abc=0となるのは(i),(ii)(i),(ii)それぞれの等号が成立するときとなります。
(i)s+t+u=0s+t+u=0
s≧0,t≧0,u≧0s≧0,t≧0,u≧0より等式を満たす条件はs=t=u=0s=t=u=0、すなわちa=b=c=0 ⋯(iii)a=b=c=0 ⋯(iii)となります。
(ii)12{(s−t)2+(t−u)2+(u−s)2}=012{(s−t)2+(t−u)2+(u−s)2}=0
12{(s−t)2+(t−u)2+(u−s)2}=0(s−t)2+(t−u)2+(u−s)2=012{(s−t)2+(t−u)2+(u−s)2}=0(s−t)2+(t−u)2+(u−s)2=0
(s−t)2≧0,(t−u)2≧0,(u−s)2≧0(s−t)2≧0,(t−u)2≧0,(u−s)2≧0より等式を満たす条件は
(s−t)2=0 かつ (t−u)2=0 かつ (u−s)2=0⇔s=t かつ t=u かつ u=s⇔s=t=u(s−t)2=0 かつ (t−u)2=0 かつ (u−s)2=0⇔s=t かつ t=u かつ u=s⇔s=t=u
すなわちa=b=c ⋯(iv)です。
(iii),(iv)より(2)の等号成立条件はa=b=cとなります。
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