幾何平均定理(Geometric mean theorem)がなぜ成立するのかを確かめてみました。
幾何平均定理とは、∠\text{A}=90°となる直角三角形\text{ABC}の頂点\text{A}から\text{BC}に垂線を下ろしその交点を\text{D}とします。垂線\text{AD}の長さをh、\text{BD, DC}の長さをそれぞれm, nとすると、これらの関係は
h=\sqrt{mn}
となるという定理です。
これが成立することを確かめてみます。
△\text{ABD}と△\text{CAD}に着目します。
∠\text{ADB}=∠\text{CDA}=90°\tag{a}
で、三角形の内角の和は180°であるから
\begin{align*}∠\text{ABD}+∠\text{BAD}&=90°\tag{b}\\[1em]∠\text{CAD}+∠\text{ACD}&=90°\tag{c}\end{align*}
また、△\text{ABC}において∠\text{BAC}=90°であるから
∠\text{ABC}+∠\text{ACB}=90°
∠\text{ABC}と∠\text{ABD}、∠\text{ACB}と∠\text{ACD}は共通の角であるから
∠\text{ABD}+∠\text{ACD}=90°\tag{d}
\text{(b), (d)}より
∠\text{BAD}=∠\text{ACD}\tag{e}
\text{(c), (d)}より
∠\text{ABD}=∠\text{CAD}\tag{f}
\text{(a), (e), (f)}より3組の角が等しいので△\text{ABD}と△\text{CAD}は相似です。
相似な図形の対応する2辺の比は等しいので
\begin{align*}\text{AD}:\text{BD}&=\text{CD}:\text{AD}\\[0.5em]h:m&=n:h\\[0.5em]h^2&=mn\\[0.5em]h&=\sqrt{mn}&(\because
h>0)\end{align*}
となり、幾何平均定理が成り立つことがわかります。
幾何平均は相乗平均とも言います。相乗平均といえば「相加平均と相乗平均の大小関係」があります。これに対しこの幾何平均定理を利用して図形をもちいた説明を与えることができます。
斜辺が直角からの垂線との交点によって長さがm, nに分けられているとすると
外接円の直径はm+nであるから半径は\dfrac{m+n}{2}、
直角三角形の垂線の長さは幾何平均定理より\sqrt{mn}となります。
外接円の直径はm+nであるから半径は\dfrac{m+n}{2}、
直角三角形の垂線の長さは幾何平均定理より\sqrt{mn}となります。
垂線の長さは半径を最大としてそれ以上の長さになることはないので
\frac{m+n}{2}\geqq\sqrt{mn}
が成り立ちます。
垂線の長さが半径と等しくなるとき、直角三角形は直角二等辺三角形となり垂線は斜辺に対する垂直二等分線となるため、
\begin{align*}m=nのとき\\ &\frac{m+n}{2}=\sqrt{mn}\end{align*}
となることがわかります。
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