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2022年2月2日

ナポレオンの定理をベクトルを使って確かめる

 ナポレオンの定理が正しいことをベクトルを使って確かめてみます。
ナポレオンの定理
図1 ナポレオンの定理
 ナポレオンの定理とは、三角形の各辺を1辺とする正三角形を描くと各正三角形の重心を線で結ぶと正三角形ができるという定理です。

△ABCとベクトル
図2 △ABCとベクトル
 点Oから△ABCの各頂点を終点とするベクトルを\vec{A}=(x_1,y_1),\vec{B}=(x_2,y_2),\vec{C}=(x_3,y_3)とします。ただしA、B、Cの3点が一直線上にないことが条件です。すなわち
\begin{gather*}&\vec{A}\neq k\vec{B}かつ\vec{B}\neq l\vec{C}かつ\vec{C}\neq m\vec{A}\\[0.5em] &\vec{AB}\neq k\vec{BC}または\vec{BC}\neq k\vec{CA}または\vec{CA}\neq k\vec{AB}\end{gather*}
図3 \vec{OG_1}を構成するベクトル
△ABCと正三角形ABDと正三角形ABDの重心G_1に着目し、\vec{OG_1}について考えます。
\vec{AB}
\begin{align*}\vec{AB}&=\vec{B}-\vec{A}\\[0.5em] &=(x_2 -x_1,y_2 -y_1)\end{align*}
ABの中点をHとして\vec{AH}
\begin{align*}\vec{AH}&=\frac{1}{2}\vec{AB}\\[0.5em] &=\frac{\vec{B}-\vec{A}}{2}\\[0.5em]&=\left(\frac{x_2 -x_1}{2},\frac{y_2 -y_1}{2}\right)\end{align*}

\vec{HG_1}\vec{AH}に垂直です。また、DHはAHの\sqrt{3}倍で点G_1はDHを2:1に内分します。

ここで、\vec{X}に垂直で大きさが等しいベクトルを\vec{X}^Vと表記することにして
\begin{align*}\vec{HG_1}&=\frac{\sqrt{3}}{3}\vec{AH}^V\\[0.5em] &=\frac{\sqrt{3}}{3}\left(\frac{\vec{B}-\vec{A}}{2}\right)^V\end{align*}
このベクトル成分は、図3より\vec{AH}の向きと比較して\vec{HG_1}は時計回りの回転をしているから
\vec{X}=(x,y)\Rightarrow\vec{X}^V=(-y,x)
とすれば良いので
\begin{align*}\vec{HG_1}&=\frac{\sqrt{3}}{3}\left(\frac{y_1 -y_2}{2},\frac{x_2 -x_1}{2}\right)\\[0.5em]&=\left(\frac{\sqrt{3}(y_1 -y_2)}{6},\frac{\sqrt{3}(x_2 -x_1)}{6}\right)\end{align*}
したがって\vec{OG_1}
\begin{align*}\vec{OG_1}&=\vec{A}+\vec{AH}+\vec{HG_1}\\[0.5em]   &=\left(\frac{3(x_1+x_2)+\sqrt{3}(y_1-y_2)}{6},\frac{3(y_1+y_2)+\sqrt{3}(x_2-x_1)}{6}\right)\end{align*}
また、\dfrac{\sqrt{3}}{6}x_n=s_n,\dfrac{\sqrt{3}}{6}y_n=t_nとおけば
\vec{OG_1}=(\sqrt{3}(s_1+s_2)+t_1-t_2,\sqrt{3}(t_1+t_2)+s_2-s_1)
と表すことができます。
\vec{OG_2}の成分の場合はs_1,s_2,t_1,t_2をそれぞれs_2,s_3,t_2,t_3へ、\vec{OG_3}の成分の場合はそれぞれs_3,s_1,t_3,t_1へ置き換えれば良いので
\begin{align*}\vec{OG_2}&=(\sqrt{3}(s_2+s_3)+t_2-t_3,\sqrt{3}(t_2+t_2)+s_3-s_2)\\[1em]\vec{OG_3}&=(\sqrt{3}(s_3+s_1)+t_3-t_1,\sqrt{3}(t_3+t_1)+s_1-s_3)\end{align*}
となります。
以上から\vec{G_1 G_2},\vec{G_1 G_3}
\begin{align*}\vec{G_1 G_2}&=(\sqrt{3}(s_3-s_1)-t_1+2t_2-t_3,\sqrt{3}(t_3-t_1)+s_1-2s_2+s_3)\\[1em]\vec{G_1 G_3}&=(\sqrt{3}(s_3-s_2)-2t_1+t_2+t_3,\sqrt{3}(t_3-t_2)+2s_1-s_2-s_3)\end{align*}
と表わせます。

 \vec{G_1 G_2},\vec{G_1 G_3}を使ってナポレオンの定理が正しいことを確かめるには、ベクトルの内積
\begin{align*}\vec{X}=(x,y),&\vec{Y}=(p,q)\\[0.5em] \vec{X}\cdot\vec{Y}&=px+qy\\[0.5em]   &=|\vec{X}||\vec{Y}|\cos\theta\end{align*}
より\cos\theta=\dfrac{px+qy}{|\vec{X}||\vec{Y}|}
この式から\theta=60°であることと|\vec{X}|=|\vec{Y}|であることが示せれば良いので、内積と各ベクトルの大きさを調べてみます。
(これは△G_1 G_2 G_3が頂角60°の二等辺三角形であることを示すことで正三角形であることが示されることに相当します。)
\begin{align*}\vec{G_1 G_2}\cdot\vec{G_1 G_3}&=\{\sqrt{3}(s_3-s_1)-t_1+2t_2-t_3\}\{\sqrt{3}(s_3-s_2)-2t_1+t_2+t_3\}\\ &\quad+\{\sqrt{3}(t_3-t_1)+s_1-2s_2+s_3\}\{\sqrt{3}(t_3-t_2)+2s_1-s_2-s_3\}\\[0.5em]&=2\{{s_1}^2+{s_2}^2+{s_3}^2-s_1 s_2-s_2 s_3-s_3 s_1\\ &\quad-\sqrt{3}(s_1 t_2-s_1 t_3-s_2 t_1+s_2 t_3+s_3 t_1-s_3 t_2)\\ &\quad+{t_1}^2+{t_2}^2+{t_3}^2-t_1 t_2-t_2 t_3-t_3 t_1\}\\[1.5em]|\vec{G_1 G_2}|&=[\{\sqrt{3}(s_3-s_1)-t_1+2t_2-t_3\}^2\\ &\quad+\{\sqrt{3}(t_3-t_1)+s_1-2s_2+s_3\}^2]^\frac{1}{2}\\[0.5em]&=2\{{s_1}^2+{s_2}^2+{s_3}^2-s_1 s_2-s_2 s_3-s_3 s_1\\ &\quad-\sqrt{3}(s_1 t_2-s_1 t_3-s_2 t_1+s_2 t_3+s_3 t_1-s_3 t_2)\\ &\quad+{t_1}^2+{t_2}^2+{t_3}^2-t_1 t_2-t_2 t_3-t_3 t_1\}^{\frac{1}{2}}\\[1.5em]|\vec{G_1 G_3}|&=[\{\sqrt{3}(s_3-s_2)-2t_1+t_2+t_3\}^2\\ &\quad+\{\sqrt{3}(t_3-t_2)+2s_1-s_2-s_3\}^2]^\frac{1}{2}\\[0.5em]&=2\{{s_1}^2+{s_2}^2+{s_3}^2-s_1 s_2-s_2 s_3-s_3 s_1\\ &\quad-\sqrt{3}(s_1 t_2-s_1 t_3-s_2 t_1+s_2 t_3+s_3 t_1-s_3 t_2)\\ &\quad+{t_1}^2+{t_2}^2+{t_3}^2-t_1 t_2-t_2 t_3-t_3 t_1\}^{\frac{1}{2}}\end{align*}
ここで
\begin{align*}u&={s_1}^2+{s_2}^2+{s_3}^2-s_1 s_2-s_2 s_3-s_3 s_1\\ &\quad-\sqrt{3}(s_1 t_2-s_1 t_3-s_2 t_1+s_2 t_3+s_3 t_1-s_3 t_2)\\ &\quad+{t_1}^2+{t_2}^2+{t_3}^2-t_1 t_2-t_2 t_3-t_3 t_1\end{align*}
とおけば
\begin{align*}|\vec{G_1 G_2}|&=|\vec{G_1 G_3}|=2\sqrt{u}\\[0.5em]  \cos\theta&=\frac{2u}{2\sqrt{u}\cdot2\sqrt{u}}\\[0.5em]&=\frac{1}{2}\\[0.5em]\theta&=60°\end{align*}
となるので、ナポレオンの定理が正しいことを確かめることができました。

 以下に紹介する動画のような方法でもナポレオンの定理の証明ができます。
外部リンク:Napoleon's theorem | Proof | - YouTube


外部リンク:ナポレオンの定理 - Wikipedia


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