二等辺三角形の性質を調べるところから始めて最終的に30°−60°−90°の直角三角形の3辺の比を求めてみます。
ただし、三角形の内角の和や三角形の合同、三平方の定理はすでにわかっているものとします。
二等辺三角形の性質
二等辺三角形とは2辺の長さが等しい三角形のことです。
この三角形の性質を調べます。
AB=ACである二等辺三角形
ABCの頂点
Aから底辺
BCへ垂線をおろし、その足を
Dとすると、2つの直角三角形
△ABD,△ACDができます。
△ABDと
△ACDに着目すると、
- 共通の辺なのでAD=AD
- 二等辺三角形の定義よりAB=AC
- AD⊥BCより∠ADB=∠ADC=90°
直角三角形の斜辺と他の1辺がそれぞれ等しいので合同であることがわかります。
したがって、
BD=CD、
∠ABD=∠ACD、
∠BAD=∠CADが成り立ちます。
すなわち、以下のことがいえます。
- 二等辺三角形の底辺の両端の角(底角)は等しい。
-
二等辺三角形の頂点から底辺へおろした垂線は底辺の垂直二等分線かつ頂角の二等分線。
正三角形の性質
正三角形とは、二等辺三角形の1つで3辺の長さが等しい三角形のことです。
この三角形の性質を調べます。
正三角形
ABCは、定義より
AB=BC=CAです。
AB=CAであることに着目すると、
二等辺三角形の性質1.より
∠BAC=∠BCA(∠ACB)⋯(1)
AB=BCであることに着目すると、
二等辺三角形の性質1.より∠ABC=∠ACB⋯(2)
(1),(2)より
∠ABC=∠BCA=∠CAB(∠BAC)となり、3つの内角が等しいことがわかります。
そこで、それぞれの内角の大きさを
αとおくと、三角形の内角の和は
180°であることより
∠ABC+∠BCA+∠CAB=180°α+α+α=180°3α=180°α=60°
となり、以下のことがいえます。
正三角形の内角の大きさはすべて60°。
正三角形からできる直角三角形の性質
正三角形の1つの頂点から対辺へおろした垂線で分割されてできる直角三角形の性質を調べます。
正三角形
ABCの頂点
Aから対辺
BCへ垂線をおろし、その足を
Dとすると2つの直角三角形
△ABD,△ACDができます。
△ABDと
△ACDに着目すると、
- 正三角形の性質より∠ABD=∠ACD=60°
-
二等辺三角形の性質2.と正三角形の性質よりADは∠BAC=60°の二等分線なので∠BAD=∠CAD=30°
- AD⊥BCより∠ADB=∠ADC=90°
であるので、
△ABD,△ACDはどちらも
30°−60°−90°の直角三角形であることがわかります。
また、正三角形の定義より
AB=BC=CAなので、各辺の長さを
aとおき、
二等辺三角形の性質2.より
ADは辺
BCの垂直二等分線なので
BD=CDであり、各線分の長さを
bとおくと、
BC=BD+CDより
a=b+ba=2b
となります。
さらに、
△ABDについて三平方の定理より
AB2=AD2+BD2a2=AD2+b2(2b)2=AD2+b24b2=AD2+b2AD2=3b2AD=√3b(∵AD>0)
となるため、辺
ADの長さは
√3bであることがわかります。
すると、
30°−60°−90°の直角三角形である
△ABDの3辺の比は
AD:BD:AB=b:√3b:a=b:√3b:2b=1:√3:2
となることがわかります。