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2024年9月8日

垂線で分割された三角形の辺の一部の長さは?

CHの長さは?
「上図のように$∠A=60°$である$△ABC$の頂点$A$から辺$BC$へ垂線$AH$をおろしたとき、$AH=6,BH=3$となった。このときの$BH$の長さを求めよ。」

2つの直角三角形に分けて考える
 この問題は、$△ABC$を2つの直角三角形$△ABH,△ACH$に分けて考えて解きます。

2通りの方法で解いてみます。

1. 面積を利用

 まずは三平方の定理を利用して辺$AB,AC$の長さをそれぞれ求めます。
$△ABH$に着目して、三平方の定理より
\[AB^2=AH^2+BH^2\]
が成り立ちます。
$AH=6,BH=3$を代入して$AB$を求めると
\begin{align*}AB^2&=6^2+3^2\\[0.5em]&=36+9\\[0.5em]&=45\\[0.5em]AB&=\sqrt{45}&(\because AB>0)\\[0.5em]&=3\sqrt{5}\end{align*}
となります。
同様に、$△ACH$に着目して、三平方の定理と$CH=x$より
\begin{align*}AC^2&=AH^2+CH^2\\[0.5em]&=6^2+x^2\\[0.5em]&=36+x^2\\[0.5em]AC&=\sqrt{36+x^2}&(\because AC>0)\end{align*}
と求められます。
AB,ACの長さ
2辺$AB,AC$の長さとその間の角$∠A$がわかったので$△ABC$の面積は
\begin{align*}\triangle ABC&=\frac{1}{2}AB\cdot AC\sin\angle A\\[0.5em]&=\frac{1}{2}\cdot3\sqrt{5}\cdot\sqrt{36+x^2}\sin60°\\[0.5em]&=\frac{1}{2}\cdot3\sqrt{5}\cdot\sqrt{36+x^2}\cdot\frac{\sqrt{3}}{2}\\[0.5em]&=\frac{3\sqrt{540+15x^2}}{4}\tag1\end{align*}
となります。
また、辺$BC$を底辺とすれば辺$BC$と垂線$AH$の長さで$△ABC$の面積を求めることができます。
辺$BC$の長さは$BH=3,CH=x,BC=BH+CH$より$BC=3+x$なので
\begin{align*}\triangle ABC&=\frac{1}{2}BC\cdot AH\\[0.5em]&=\frac{1}{2}(3+x)\cdot6\\[0.5em]&=9+3x\tag2\end{align*}
となります。
$(1),(2)$はともに$△ABC$の面積なので
\[\frac{3\sqrt{540+15x^2}}{4}=9+3x\]
これを解きます。
両辺を$\dfrac{4}{3}$倍して
\[\sqrt{540+15x^2}=4(3+x)\]
両辺を2乗して
\begin{align*}540+15x^2&=16(3+x)^2\\[0.5em]&=144+96x+16x^2\end{align*}
整理すると
\[x^2+96x-396=0\]
2次方程式の解の公式(係数$b$が偶数の場合)より
\begin{align*}x&=-48\pm\sqrt{48^2-(-396)}\\[0.5em]&=-48\pm\sqrt{48^2+396}\tag{*}\\[0.5em]&=-48\pm\sqrt{(6\cdot8)^2+36\cdot11}\\[0.5em]&=-48\pm\sqrt{6^2\cdot8^2+6^2\cdot11}\\[0.5em]&=-48\pm\sqrt{6^2(8^2+11)}\\[0.5em]&=-48\pm6\sqrt{8^2+11}\\[0.5em]&=-48\pm6\sqrt{75}\\[0.5em]&=-48\pm6\cdot5\sqrt{3}\\[0.5em]&=-48\pm30\sqrt{3}\end{align*}
$x$は線分$BH$の長さなので$x>0$、$(*)$より$48=\sqrt{48^2}<\sqrt{48^2+396}=30\sqrt{3}$なので$-48+30\sqrt{3}>0$、明らかに$-48-30\sqrt{3}<0$であることから
\[x=-48+30\sqrt{3}\]
すなわち、$\mathbf{BH=-48+30\sqrt{3}}$であることがわかります。

2. 加法定理を利用

∠BAH=α,∠CAH=βとおいて三角比を利用する
 $\tan$の加法定理を利用します。
$△ABH$に着目し、$∠BAH=α$とおくと
\begin{align*}\tan\alpha&=\frac{BH}{AH}\\[0.5em]&=\frac{3}{6}\\[0.5em]&=\frac{1}{2}\tag3\end{align*}
となります。
また、$△ACH$に着目し、$∠CAH=β$とおくと
\begin{align*}\tan\beta&=\frac{CH}{AH}\\[0.5em]&=\frac{x}{6}\tag4\end{align*}
となります。
ここで、$∠BAC=∠BAH+∠CAH$より$60°=α+β$なので
\[\tan60°=\tan(\alpha+\beta)\]
であり、$\tan$の加法定理より
\[\tan(\alpha+\beta)=\frac{\tan\alpha+\tan\beta}{1-\tan\alpha\tan\beta}\]
なので、
\[\tan60°=\frac{\tan\alpha+\tan\beta}{1-\tan\alpha\tan\beta}\]
となります。
$(3),(4)$を代入して$x$について解くと
\begin{align*}\tan60°&=\frac{\cfrac{1}{2}+\cfrac{x}{6}}{1-\cfrac{1}{2}\cdot\cfrac{x}{6}}\\[0.5em]\sqrt{3}&=\frac{\cfrac{3+x}{6}}{\cfrac{12-x}{12}}\\[0.5em]&=\frac{2(3+x)}{12-x}\\[0.5em](12-x)\sqrt{3}&=2(3+x)\\[0.5em]12\sqrt{3}-\sqrt{3}x&=6+2x\\[0.5em](2+\sqrt{3})x&=12\sqrt{3}-6\\[0.5em]&=6(2\sqrt{3}-1)\\[0.5em]x&=\frac{6(2\sqrt{3}-1)}{2+\sqrt{3}}\\[0.5em]&=\frac{6(2\sqrt{3}-1)}{2+\sqrt{3}}\cdot\frac{2-\sqrt{3}}{2-\sqrt{3}}\\[0.5em]&=\frac{6(2\sqrt{3}-1)(2-\sqrt{3})}{(2+\sqrt{3})(2-\sqrt{3})}\\[0.5em]&=\frac{6(5\sqrt{3}-8)}{4-3}\\[0.5em]&=6(5\sqrt{3}-8)\\[0.5em]&=30\sqrt{3}-48\end{align*}
となります。
すなわち、$\mathbf{BH=30\sqrt{3}-48}$であることがわかります。

なお、$-48+30\sqrt{3}=30\sqrt{3}-48$なので、どちらの方法でも得られる線分$BH$の長さは同じです。

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