2次方程式ax^2+bx+c=0の解の公式は
x=\frac{-b\pm\sqrt{b^2-4ac}}{2a}
となります。
なぜ、このような式になるのでしょうか?
また、判別式D=b^2-4acとはどのような関係があるのでしょうか?
2次方程式の解の公式は以下のように導くことができます。
2次方程式ax^2+bx+c=0の左辺を平方完成すると
\begin{align*}a\left(x^2+\frac{b}{a}x\right)+c&=a\left[\left\{x^2+\frac{b}{a}x+\left(\frac{b}{2a}\right)^2\right\}-\left(\frac{b}{2a}\right)^2\right]+c\\[0.5em]&=a\left\{x+\frac{b}{a}x+\left(\frac{b}{2a}\right)^2\right\}-\frac{b^2}{4a}+c\\[0.5em]&=a\left(x+\frac{b}{2a}\right)^2-\frac{b^2-4ac}{4a}\end{align*}
となるので、xについて解くと
\begin{align*}a\left(x+\frac{b}{2a}\right)^2-\frac{b^2-4ac}{4a}&=0\\[0.5em]\left(x+\frac{b}{2a}\right)^2-\frac{b^2-4ac}{4a^2}&=0\\[0.5em]\left\{\left(x+\frac{b}{2a}\right)+\frac{\sqrt{b^2-4ac}}{2a}\right\}\left\{\left(x+\frac{b}{2a}\right)-\frac{\sqrt{b^2-4ac}}{2a}\right\}&=0\\[0.5em]x+\frac{b}{2a}=\pm\frac{\sqrt{b^2-4ac}}{2a}\\[0.5em]x=\frac{-b\pm\sqrt{b^2-4ac}}{2a}\end{align*}
となります。
ここで\sqrt{b^2-4ac}に着目すると、これが実数であるためにはb^2-4ac\geqq0である必要があるので、この条件を利用して実数解の個数を判別します。そのための式が判別式D=b^2-4acです。
- D>0のとき、解はx=\dfrac{-b-\sqrt{D}}{2a},\dfrac{-b+\sqrt{D}}{2a}の2通りに分かれるので実数解は2個あります。
- D=0のとき、解はx=\dfrac{-b-0}{2a},x=\dfrac{-b+0}{2a}となるので、結局実数解はx=\dfrac{-b}{2a}の1個だけになります。
- D<0のとき、\sqrt{D}は実数でなく虚数となるので、実数解は0個となる代わりに虚数解が2個あります。
2次方程式ax^2+bx+c=0のbが偶数の場合を考えます。
このとき任意の整数b'をもちいてb=2b'と表せるから、2次方程式ax^2+2b'x+c=0の解の公式は
\begin{align*}x&=\frac{-2b'\pm\sqrt{(2b')^2-4ac}}{2a}\\[0.5em]&=\frac{-2b'\pm\sqrt{4(b'^2-ac)}}{2a}\\[0.5em]&=\frac{-2b'\pm2\sqrt{b'^2-ac}}{2a}\\[0.5em]&=\frac{-b'\pm\sqrt{b'^2-ac}}{a}\end{align*}
となります。
このことから2次方程式ax^2+2b'x+c=0の判別式はb'^2-acとなります。この判別式はDの中の特殊な例なのでD'と書かれたり、Dを4で割ったものに等しいのでD/4と書かれます。
2次方程式の解の公式と判別式
一般的な2次方程式ax^2+bx+c=0
判別式
D=b^2-4ac
解の公式
x=\frac{-b\pm\sqrt{b^2-4ac}}{2a}=\frac{-b\pm\sqrt{D}}{2a}
1次の項の係数が偶数の2次方程式ax^2+2b'x+c=0
判別式
D'=D/4=b'^2-ac
解の公式
x=\frac{-b'\pm\sqrt{b'^2-ac}}{a}=\frac{-b'\pm\sqrt{D'}}{a}
判別式と解の個数の関係
- D,D'>0:実数解2個
- D,D'=0:実数解1個(重解)
- D,D'<0:実数解0個、虚数解2個
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