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2022年8月8日

2次方程式の解の公式と判別式

 2次方程式$ax^2+bx+c=0$の解の公式は
\[x=\frac{-b\pm\sqrt{b^2-4ac}}{2a}\]
となります。

なぜ、このような式になるのでしょうか?
また、判別式$D=b^2-4ac$とはどのような関係があるのでしょうか?


 2次方程式の解の公式は以下のように導くことができます。
2次方程式$ax^2+bx+c=0$の左辺を平方完成すると
\begin{align*}a\left(x^2+\frac{b}{a}x\right)+c&=a\left[\left\{x^2+\frac{b}{a}x+\left(\frac{b}{2a}\right)^2\right\}-\left(\frac{b}{2a}\right)^2\right]+c\\[0.5em]&=a\left\{x+\frac{b}{a}x+\left(\frac{b}{2a}\right)^2\right\}-\frac{b^2}{4a}+c\\[0.5em]&=a\left(x+\frac{b}{2a}\right)^2-\frac{b^2-4ac}{4a}\end{align*}
となるので、$x$について解くと
\begin{align*}a\left(x+\frac{b}{2a}\right)^2-\frac{b^2-4ac}{4a}&=0\\[0.5em]\left(x+\frac{b}{2a}\right)^2-\frac{b^2-4ac}{4a^2}&=0\\[0.5em]\left\{\left(x+\frac{b}{2a}\right)+\frac{\sqrt{b^2-4ac}}{2a}\right\}\left\{\left(x+\frac{b}{2a}\right)-\frac{\sqrt{b^2-4ac}}{2a}\right\}&=0\\[0.5em]x+\frac{b}{2a}=\pm\frac{\sqrt{b^2-4ac}}{2a}\\[0.5em]x=\frac{-b\pm\sqrt{b^2-4ac}}{2a}\end{align*}
となります。

 ここで$\sqrt{b^2-4ac}$に着目すると、これが実数であるためには$b^2-4ac\geqq0$である必要があるので、この条件を利用して実数解の個数を判別します。そのための式が判別式$D=b^2-4ac$です。
  • $D>0$のとき、解は$x=\dfrac{-b-\sqrt{D}}{2a},\dfrac{-b+\sqrt{D}}{2a}$の2通りに分かれるので実数解は2個あります。
  • $D=0$のとき、解は$x=\dfrac{-b-0}{2a},x=\dfrac{-b+0}{2a}$となるので、結局実数解は$x=\dfrac{-b}{2a}$の1個だけになります。
  • $D<0$のとき、$\sqrt{D}$は実数でなく虚数となるので、実数解は0個となる代わりに虚数解が2個あります。

 2次方程式$ax^2+bx+c=0$の$b$が偶数の場合を考えます。
このとき任意の整数$b'$をもちいて$b=2b'$と表せるから、2次方程式$ax^2+2b'x+c=0$の解の公式は
\begin{align*}x&=\frac{-2b'\pm\sqrt{(2b')^2-4ac}}{2a}\\[0.5em]&=\frac{-2b'\pm\sqrt{4(b'^2-ac)}}{2a}\\[0.5em]&=\frac{-2b'\pm2\sqrt{b'^2-ac}}{2a}\\[0.5em]&=\frac{-b'\pm\sqrt{b'^2-ac}}{a}\end{align*}
となります。

このことから2次方程式$ax^2+2b'x+c=0$の判別式は$b'^2-ac$となります。この判別式は$D$の中の特殊な例なので$D'$と書かれたり、$D$を$4$で割ったものに等しいので$D/4$と書かれます。


2次方程式の解の公式と判別式

一般的な2次方程式$ax^2+bx+c=0$

判別式
\[D=b^2-4ac\]
解の公式
\[x=\frac{-b\pm\sqrt{b^2-4ac}}{2a}=\frac{-b\pm\sqrt{D}}{2a}\]

1次の項の係数が偶数の2次方程式$ax^2+2b'x+c=0$

判別式
\[D'=D/4=b'^2-ac\]
解の公式
\[x=\frac{-b'\pm\sqrt{b'^2-ac}}{a}=\frac{-b'\pm\sqrt{D'}}{a}\]

判別式と解の個数の関係

  • $D,D'>0$:実数解2個
  • $D,D'=0$:実数解1個(重解)
  • $D,D'<0$:実数解0個、虚数解2個

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