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2022年8月2日

整数Nの整数倍の余り、2乗の余り

「整数$N$は$5$で割ると$2$余る。このとき次の数を$5$で割ったときの余りを求めよ。

(1)$3N$

(2)$N^2$

(3)$N^2+3N+1$」

 このような問題はどのように解けばよいでしょうか?

 整数$N$は$5$で割ると$2$余るということは、言い換えれば整数$N$より$2$小さい数であれば$5$で割り切れるということです。このときの商を$k$とすれば
\[(N-2)÷5=k\]
と書くことができ、これを変形すれば
\begin{align*}N-2&=5k\\ \\ N&=5k+2&\cdots(a)\end{align*}
となります。
(a)の式は整数$N$は$5$で割ると商は$k$、余りが$2$である数であることを表しています。

(1)$3N$

 (a)の両辺を$3$倍すると
\begin{align*}3N&=3(5k+2)\\ \\ &=15k+6\\ \\ &=15k+5+1\\ \\ &=5(3k+1)+1\end{align*}
のように変形でき、$3N$を$5$で割ったときの商は$3k+1$、余りは$1$であるとわかります。

 ここで、$N$を$5$で割ったときの余り$2$を$3$倍したものから$3N$を$5$で割ったときの余りを求めていることに着目すると、$N$を$m$倍した$mN$を$5$で割ったときの余りを求めるには
\begin{align*}mN&=m(5k+2)\\ \\ &=5mk+2m\end{align*}
となることを考えると$5mk$は$5$の倍数なので$5$で割り切れて余りは$0$になるから、$2m$を$5$で割ったときの余りが$mN$を$5$で割ったときの余りとなります。

この性質がわかっていればこのように解くこともできます。

$3N$を$5$で割ったときの余りは、$N$を$5$で割ったときの余りを3倍したものを$5$で割ったときの余りと等しいから
\[2×3÷5=1\ 余り1\]
したがって、$3N$を$5$で割ったときの余りは$1$


(2)$N^2$

 (a)の両辺を2乗すると
\begin{align*}N^2&=(5k+2)^2\\ \\ &=25k^2+20k+4\\ \\ &=5(5k^2+4k)+4\end{align*}
のように変形でき、$N^2$を5で割ったときの商は$5k^2+4k$、余りは$4$であるとわかります。

 ここで、$N$を$5$で割ったときの余り$2$を2乗したものから$N^2$を$5$で割ったときの余りを求めていることに着目すると、$N$を$m$乗した$N^m$を$5$で割ったときの余りを求めるには、二項定理より
\begin{align*}N^m&=(5k+2)^m\\ \\ &=(5k)^m+m(5k)^{m-1}\cdot2+{_mC_2}(5k)^{m-2}\cdot2^2+\cdots\\ &\qquad+{_mC_{m-2}}(5k)^2\cdot2^{m-2}+m\cdot5k\cdot2^{m-1}+2^m\\ \\ &=5k\{(5k)^{m-1}+m(5k)^{m-2}\cdot2+\cdots\\ &\qquad+{_mC_{m-2}}\cdot5k\cdot2^{m-2}+m\cdot2^{m-1}\}+2^m\end{align*}
となることを考えると、$5k\{(5k)^{m-1}+m(5k)^{m-2}\cdot2+\cdots$の項は$5$の倍数なので$5$で割り切れて余りは$0$になるから、$2^m$を$5$で割ったときの余りが$N^m$を$5$で割ったときの余りとなります。

この性質がわかっていればこのように解くこともできます。

$N^2$を$5$で割ったときの余りは、$N$を$5$で割ったときの余りを2乗したものを$5$で割ったときの余りと等しいから
\[2^2÷5=0\ 余り4\]
したがって、$N^2$を$5$で割ったときの余りは$4$


(3)$N^2+3N+1$

 (1)、(2)の辺々を足し、両辺に$1$を足すと
\begin{align*}N^2+3N+1&=\{5(5k^2+4k)+4\}+\{5(3k+1)+1\}+1\\ \\ &=5(5k^2+7k+1)+6\\ \\ &=5(5k^2+7k+1)+5+1\\ \\ &=5(5k^2+7k+2)+1\end{align*}
と変形でき、$N^2+3N+1$を5で割ったときの商は$5k^2+7k+2$、余りは$1$であるとわかります。

 ここで、$N^2$を$5$で割ったときの余りと$3N$を$5$で割ったときの余り、$1$を$5$で割ったときの余りの和から$N^2+3N+1$を$5$で割ったときの余りを求めていることに着目すると、$M=5l+m$、すなわち$5$で割ると$m$余る整数$M$と整数$N$の和$M+N$を$5$で割ったときの余りを求めるには
\begin{align*}M+N&=(5l+m)+(5k+2)\\ \\ &=5(k+l)+(m+2)\end{align*}
となることを考えると、$5(k+l)$は5の倍数なので$5$で割り切れて余りが$0$になるから、$m+2$を$5$で割ったときの余りが$M+N$を$5$で割ったときの余りとなります。

この性質がわかっていればこのように解くこともできます。

$N^2+3N+1$を$5$で割ったときの余りは、$N^2$を$5$で割ったときの余りと$3N$を$5$で割ったときの余りと$1$を$5$で割ったときの余りの和を$5$で割ったときの余りと等しいから
\[(1+4+1)÷5=1\ 余り1\]
したがって、$N^2+3N+1$を$5$で割ったときの余りは$1$であるとわかります。
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