平方完成とは、2次式$ax^2+bx+c$を$a(x+p)^2+q$という2乗の項と定数項の和の形に変形することをいいます。
平方完成の手順は
- $x^2+2px$部分を見つけて$p$を求める
- $p^2$を付け足して取り除く
- $(x+p)^2$をつくる
2次式$2x^2-5x+2$を例として平方完成をしてみます。
1. $x^2+2px$部分を見つけて$p$を求める
$x^2+2px$は、$(x+p)^2$を展開した$x^2+2px+p^2$の定数項$p^2$を除いた部分となります。
これは$x^2$の項と$x$の項の和なので、例の2次式においては$2x^2-5x$部分のこととなります。
これは$x^2$の項と$x$の項の和なので、例の2次式においては$2x^2-5x$部分のこととなります。
$x^2$の項の係数を$1$にしたいので、該当部分を括弧でくくって$x^2$の項の係数をくくり出します。
\begin{align*}2x^2-5x+2&=(2x^2-5x)+2\\[0.5em]&=2\left(x^2-\frac{5}{2}x\right)+2\end{align*}
括弧内の$x^2-\dfrac{5}{2}x$と$x^2+2px$を比較すると$2p=-\dfrac{5}{2}$であることがわかるので、$p=-\dfrac{5}{4}$と求められます。
$p$の値は$x^2$の項の係数をくくり出した後の$x$の項の$\dfrac{1}{2}$倍となります。
2. $p^2$部分を付け足して取り除く
括弧で括った$x^2+2px$部分に$p^2$部分を付け加え、同時に$p^2$部分を引いて取り除きます。
\begin{align*}2\mathbf{\left(x^2-\frac{5}{2}x\right)}+2&=2\mathbf{\left[\left\{x^2-\frac{5}{2}x\textcolor{red}{+\left(-\frac{5}{4}\right)^2}\right\}\textcolor{blue}{-\left(-\frac{5}{4}\right)^2}\right]}+2\end{align*}
赤く示した部分が$p^2$を付け加えている部分、青く示した部分が$p^2$を取り除いている部分です。これらは互いに打ち消し合うので、この変形前と式のもつ性質は変化していません。
3.へ進む前に$x^2+2px+p^2$部分を残したまま整理しておきます。
\begin{align*}&2\left[\left\{x^2-\frac{5}{2}x+\left(-\frac{5}{4}\right)^2\right\}-\left(-\frac{5}{4}\right)^2\right]+2\\[0.5em]=&2\left\{x^2-\frac{5}{2}x+\left(-\frac{5}{4}\right)^2\right\}-2\left(-\frac{5}{4}\right)^2+2\\[0.5em]=&2\left\{x^2-\frac{5}{2}x+\left(-\frac{5}{4}\right)^2\right\}-\frac{25}{8}+2\\[0.5em]=&2\left\{x^2-\frac{5}{2}x+\left(-\frac{5}{4}\right)^2\right\}-\frac{9}{8}\end{align*}
3. $(x+p)^2$をつくる
$x^2+2px+p^2$部分は$(x+p)^2$の形に因数分解できます。
\[2\left\{x^2-\frac{5}{2}x+\left(-\frac{5}{4}\right)^2\right\}-\frac{9}{8}=2\left(x-\frac{5}{4}\right)^2-\frac{9}{8}\]
これが$2x^2-5x+2$を平方完成した形となります。
任意の2次式$ax^2+bx+c$($a,b,c:$定数、$a\neq0$)を同様の手順で平方完成すると以下のようになります。
\begin{align*}ax^2+bx+c&=a\left(x^2+\frac{b}{a}x\right)+c\\[0.5em]&=a\left[\left\{x^2+\frac{b}{a}x+\left(\frac{b}{2a}\right)^2\right\}-\left(\frac{b}{2a}\right)^2\right]+c\\[0.5em]&=a\left\{x^2+\frac{b}{a}x+\left(\frac{b}{2a}\right)^2\right\}-a\left(\frac{b}{2a}\right)^2+c\\[0.5em]&=a\left\{x^2+\frac{b}{a}x+\left(\frac{b}{2a}\right)^2\right\}-\frac{b^2}{4a}+c\\[0.5em]&=a\left\{x^2+\frac{b}{a}x+\left(\frac{b}{2a}\right)^2\right\}-\frac{b^2-4ac}{4a}\\[0.5em]&=a\left(x+\frac{b}{2a}\right)^2-\frac{b^2-4ac}{4a}\end{align*}
これが平方完成の公式となります。
(2024/6)内容を修正しました。
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