角の二等分ベクトルはどのように求めるのでしょうか?
角の二等分ベクトルを角の二等分線の作図法を参考に2通りの方法で求めてみます。
2つの異なるベクトル
⃗a,⃗bについて考えます。
角の二等分線の作図法を参考にすると、まずは大きさが同じで
⃗a,⃗bとそれぞれ向きが同じであるベクトルをおく必要があります。
したがって、
⃗a,⃗bそれぞれの単位ベクトル
⃗a|⃗a|,⃗b|⃗b|をおきます。各ベクトル自身の大きさで割っている(実数倍している)ので各単位ベクトルの向きはそれぞれ
⃗a,⃗bと同じで大きさは
1になります。
ここから2通りの方法で求めてみます。
1. 二等辺三角形の利用
2つの単位ベクトルの差は
⃗a|⃗a|−⃗b|⃗b|と書けます。
⃗a|⃗a|,⃗b|⃗b|,⃗a|⃗a|−⃗b|⃗b|の3ベクトルによって二等辺三角形ができ、
⃗a,⃗bの始点である頂点からのびる中線は垂直二等分線であり、かつ求める角の二等分線(角の二等分ベクトル)です。
このことから、角の二等分ベクトル
⃗pは
⃗bと
12(⃗a|⃗a|−⃗b|⃗b|)の合成で表されるので
⃗p=⃗b+12(⃗a|⃗a|−⃗b|⃗b|)=⃗a2|⃗a|+⃗b2|⃗b|=12(⃗a|⃗a|+⃗b|⃗b|)
実数倍したベクトルも元のベクトルと向きは同じなので係数を
1にするために2倍した角の二等分ベクトル
⃗Pは
⃗P=2⃗p=⃗a|⃗a|+⃗b|⃗b|
となります。
2. ひし形の利用
⃗aの単位ベクトルの終点に
⃗bの単位ベクトルを移動、あるいは
⃗bの単位ベクトルの終点に
⃗aの単位ベクトルを移動させます。
すると、2つの単位ベクトルの和はひし形の対角線にあたります。ひし形の対角線は2つの単位ベクトルのなす角の二等分線であるので、角の二等分ベクトル
⃗Pは
⃗P=⃗a|⃗a|+⃗b|⃗b|
となります。
以上から、2つの異なるベクトル
⃗a,⃗bの角の二等分ベクトルは
⃗a|⃗a|+⃗b|⃗b|
で求められることがわかりました。